97話 五郎丸
鬼たちは、玉枝の燐火に包まれ力を削られていく。それでも鬼は玉枝に向かって突撃をやめない。
玉枝は、鬼の1匹に右の手のひらをかざす。すると鬼の動きが止まる。彼女が手を握ると鬼はつぶれる。
彼女は1匹づつ鬼をつぶしていく。九郎たちを襲った鬼は、水鏡の出した2匹の鬼が戦っている。
鬼は水鏡の鬼に引き裂かれて動かなくなる。
玉枝が5匹目の鬼をつぶし、残るは五郎丸だけになる。
「玉藻前、なぜ人間の味方をする。お前はこちら側だろう。」「鬼と一緒にしないで欲しいわ。」
「わしに勝てると思っているのか。」「負ける気はしないわ。」
五郎丸は鬼気を強めて、体にまとわりつく燐火を吹き消す。さらに玉枝を睨みつける。
玉枝が何かにぶつかったように弾き飛ばされる。
今度は、玉枝が両手をかざす。五郎丸がはじかれるが、意地を見せてその場に留まる。しかし、無理をしたのか血管が浮き出て、いたるところから出血する。
五郎丸は次の瞬間、玉枝の目の前に立ち、両手で玉枝を捕まえる。五郎丸は玉枝に言う。
「死ね。」
五郎丸は玉枝を引き裂く。彼は笑いながら言う。
「玉藻前も大したことないな。」
彼が手にしている玉枝の体か消える。そして、五郎丸の後ろから声が聞こえる。
「私の幻に勝ててうれしいの。」
五郎丸が振り返ると玉枝が立っている。彼女の周りには、9振りの刀が浮いている。
刀は飛び出し、五郎丸を串刺しにする。玉枝が五郎丸に言う。
「模造品だけど髭切のお味はどお。」「俺がこの程度で死ぬなどと思うなよ。」
「首が落ちたらどうかしら。」「ま、まて・・・」
玉枝は五郎丸の言葉に耳を貸さず、刀を一振り五郎丸から引き抜くと五郎丸の首をはねる。
五郎丸の鬼気が消えてゆく。
玉枝に水鏡が近づいていく。水鏡は玉枝に言う。
「お前は玉藻前だったのか。」「玉枝よ。今日は、九郎ちゃんを助けてくれたから礼を言うわ。」
「今日は引くが、慣れ合うつもりはないぞ。」「分かったわ。」
水鏡が去ろうとすると九郎が質問する。
「どうしてここに来たのですか。偶然じゃないですよね。」「お前たちの行動は監視されていると思え。」
水鏡は一言言って去って行く。




