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77話 夏祭り

 九郎とあやめが、実家に来て1週間になる。今日は夏祭りの日である。

 あやめは浴衣を着る。九郎はあやめの浴衣姿を見て褒める。

 「あやめ、似合っているよ。」「ありがとう。」

白地に紺のアヤメ柄の浴衣を着たあやめが喜ぶ。玉枝も浴衣姿になる。白地に赤い牡丹の柄である。

 「九郎ちゃん、どお。」「似合っているよ。」「うれしい。」

玉枝は九郎に抱き着く。彼は玉枝の色香に耐えるように精神統一する。

 あやめが九郎を睨む。九郎は、ごまかすようにあやめに言う。

 「あやめ、どうかした?」「今、玉枝さん抱き着いているでしょ。」

九郎はあやめの鋭さに驚く。

 「そんなことないよ。」「本当?」

 「あやめちゃん、鋭いね。」

玉枝が暴露する。あやめは九郎を追及する。

 「どうして、嘘つくの。」「いや、何となく。やましいことはないよ。」

 「なら、本当のこと言えばいいでしょ。」「ごめん。」

 「あやめちゃん、許してあげて。」「玉枝さん、ずるいです。」

あやめはむくれる。九郎は、しばらくあやめをなだめることになる。

 夕方になり、九郎とあやめは、夏祭りに出かける。神社の参道には屋台が並んでいる。

 2人は、まずたこ焼きを買って食べる。すると玉枝がクロワッサンたい焼きを見つける。2人は試しに買ってみる。

 2人が食べながら歩いていると30代前半の男が2人に近づいて来る。九郎はすぐにショッピングモールにいた霊能力者だと気づく。

 男が九郎に話しかける。

 「この前あったばかりだね。」「何か用ですか。」

 「君が両手に花を持っているから、うらやましくて声をかけたんだよ。」「何言っているんですか、僕たちは2人ですよ。」

 「気づいていないのかい。牡丹の花柄の浴衣を着た美人さんを連れているでしょ。」「やはり、見えているんですね。」

 「ああ、見えているよ。私は陰陽師だからね。」「用があるのは、僕ですか玉枝さんですか。」

 「連れている美人さんは玉枝というのか。ここは人がいるから場所を移そう。」「分かりました。」

九郎たちは参道を離れて、境内に行く。男は、戸惑ったように九郎に言う。

 「確かに人は少ないがここでいいのか。」「そうですね。」

境内には暗闇に紛れてアベックが何組か自分たちの世界に浸っている。

玉枝が気配を大きくして姿を現す。


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