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35話 部長対牛鬼

 翌朝、九郎が起きると、テントの外に男子部員数人が倒れている。

 みんな、玉枝と飲んで酔いつぶれ、テントに戻ることが出来なかった者たちだ。

 すでに玉枝は起きて料理を始めている。それをあやめと美琴が手伝っている。九郎は3人に挨拶する。

 「おはよう。早いね。」「おはよう。目が覚めちゃった。」

九郎が顔を洗って戻ってくるとつよしが起きてくる。

 「つよし、おはよう。」「おはよう、九郎。」

部長と2人の先輩も起きてくる。部長が言う。

 「無事なのはこれだけか。みんな玉枝さんとキスしたくて飲んでいたからな。」「競っていたんですか。」

あかねは驚いて聞く。

 「そうだ、誰かが玉枝さんとキスしたいと言い出して、酒で勝てたらキスをしてもらえることになったんだ。」

 「私勝っちゃった。」

玉枝が嬉しそうに言う。部長は玉枝をほめたたえる。

 「美しいうえに酒豪とは恐れ入りました。」

九郎は頭が痛くなる。そして、部長に言う

 「今日のハイキングはどうするんですか。」「動けるもので行けばいい。」

大半の者がリタイヤ決定である。生き残った者は朝食を食べる。

 パンにソーセージともやしを炒めたものである。

 もやしがしゃきしゃきでおいしい。

 玉枝たちは人数分の弁当を作る。ハイキングは川沿いの遊歩道を上流の滝を目標に行くもので片道1時間ちょっとの予定である。

 8人はゆっくりと歩いていく。まだ、昼までかなり時間があるのである。

 あやめが九郎に言う。

 「気持ちいいわね。」「うん、川も近くだからね。」

九郎が答えると玉枝が近づいて来て言う

 「妖怪に近づいているわ。」「その妖怪、危ないの。」

 「気配が強いからそこそこ強いかもしれないけど危険かどうかは分からないわ。」

今向かっているのは川の滝つぼである。滝つぼに着くと玉枝が言う。

 「ここにいるわよ。」「僕には見えないよ。」

玉枝は滝つぼに近づいていく。すると水の中から牛の頭をした化け物が現れる。それはあやめにも見えている。

 「何あれ。」「見えているの。」

部長が

 「たまえさん、危ない。」

と言うと駆け出す。そして牛の頭の化け物にフライング・ドロップキックをおみまいする。

 牛の頭の化け物は倒れる。玉枝は慌てて言う。

 「牛鬼よ、危険だから離れて。」「俺は玉枝さんを守ります。」

部長はやる気満々である。牛鬼は起き上がると部長にボディブローをかます。部長は牛鬼にラリアットをかます。

 部長と牛鬼は技の応酬をする。部長と牛鬼のプロレスは部長に不利に働く。部長はだんだん追い込まれていく。

 玉枝は九つの青い炎を作りだすと牛鬼にぶつける。牛鬼は青い炎包まれてもがく。水に潜るが炎は消えない。

 牛鬼は焼かれて消えていく。その光景をみんな唖然としてみている。するとひげを生やした魚に手と足をつけたような妖怪が出てくる。

 この妖怪は、皆に見えていないようだ。妖怪は玉枝にお辞儀すると言う。

 「これは、かのたまも・・・」「玉枝よ。た・ま・え」

 「あのあなた様は・・・」「た・ま・え」

 「玉枝様ありがとうございます。あの牛鬼には苦しめられてきました。」「礼には及びません。」

 「せめてこれをお納めください。」

妖怪は水晶の塊を玉枝に渡す。すると妖怪は姿を消す。みんな玉枝の周りに集まる。つよしが聞く。

 「玉枝さん、今のは何ですか。」「お姉さんはお祓いの仕事をしているんだ。」

九郎はとっさに嘘をつく。しかし、みんな納得してくれる。

 滝つぼでお弁当を食べて。休憩する。玉枝は九郎に水晶の塊を渡す。

 「これ玉枝さんがもらったものでしょ。」「九郎ちゃんにあげるわ。」

九郎は水晶をリュックサックの中に入れる。あかねが九郎に言う

 「部長すごかったね。」「妖怪相手によくやるよ。」

 「最後は玉枝さんが倒したけどね。」「玉枝さん強いんだな。」

この後、九郎とあやめは雑談して過ごす。つよしと美琴は二人の世界に浸っている。

 休憩が終わるとキャンプ場に向けて出発する。



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