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29話 ハイキング部のシュラフ

 朝、九郎が起きると玉枝はすでに朝食をテーブルに並べている。はちみつを塗った食パンにスクランブルエッグ、サラダである。

 「おはよう。夢見は良かった?」「おはよう。覚えていないよ。」

九郎は「いただきます」をして食べ始める。玉枝が聞く。

 「キャンプはどんな服装で行くの。」「考えていなかったよ。」

 「休みに見に行きましょうよ。あやめちゃんを誘おうね。」「そうするよ。」

九郎は食べ終わると大学へ行くため着替える。玉枝も服を変える。

 今日は白のワイシャツにベージュのスリムパンツでネックレスをしている。

 インターフォンが鳴る。九郎がドアを開けるとあやめがいる。あやめは挨拶をすると本を取り出す。

 「借りた本面白かったわ。続き貸してくれる。」「いいよ。」

九郎は本を受け取ると次の本を貸す。

 「気に入ってくれてよかったよ。」「読みやすかったし、主人公が面白いわ。」

九郎はホッとする。玉枝が九郎に言う。

 「あやめちゃんを誘わないと。」

 「あやめ、キャンプに来ていく服、決めている?」「まだ決めていないわ。」

 「次の日曜日、キャンプの服を見に行かない。」「うん、行くわ。リュックサックも欲しいわ。」

 「じゃあ、日曜日迎えに行くよ。」「楽しみにしている。」

九郎とあやめは買い物の約束をするとアパートを出る。

 「九郎、キャンプ何買ったらいいかわかる。」「シュラフかな。」

 「あとは?」「部長に聞いてみようか。」

九郎とあやめは今日もハイキング部に行くことにする。

 大学に入るといつものようにつよしが声をかける。

 「おはよう、お二人さん。」「つよし、おはよう。」「おはよう。木村君。」

 「つよし、キャンプ何持っていくか決めているか。」「暗視スコープ。」

 「何に使うんだ。」「冗談だよ。」

九郎は不安になる。飢えたオオカミの群れの中であやめがいるのだのぞきをする輩がいないとは限らない。

 「私が付いているから大丈夫よ。」

玉枝は九郎の心を読んだように言う。

 講義後、九郎とあやめ、つよし、美琴の4人は部室に向かう。部室に入ると。部長と先輩2人がいる。九郎は部長に聞く。

 「キャンプには何をもっていけばよいですか。」「体だけで、必要なものは部室にあるが女子はシュラフを持って行った方がいいぞ。」

 「女子だけですか。」「男の寝たシュラフは使いたくないだろう。」

 「僕も持っていきます。」「遠慮はいらんぞ。」

 「あとは大丈夫ですか。」「マットがあるとよいかもしれんな。ごつごつしていては寝づらいだろ。」

 「そうですね。」「あとはこれを読んでおいてくれ。」

部長はキャンプのしおりを渡す。手書きでイラストも入っている力作である。部長はしおりをみんなに配って行く。

 九郎は部長について、この人は何をしているのかと心配になる。

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