171話 抱きたい
一久は、九郎と玉枝に夕食を食べていくように言う。九郎はあやめと顔を合わせづらいので早く帰りたかったが、一久の申し出は断りづらい。
九郎と玉枝は夕食を食べていくことになる。夕食の席にはあやめもいる。あやめは九郎に言う。
「夕食食べていくんだ。早く玉枝さんと2人きりになりたいんじゃないの。」「そんなことないよ。あやめにも会いたいと思っているよ。」
九郎は本当はあやめとこんな形では顔を合わせづらい。あやめは九郎の顔をじっと見る。九郎はうそをついたことがばれたのではないかとひやひやする。
「ふ~ん、九郎はどうしたいわけ。」「あやめと仲直りしたいよ。」
「玉枝さんと別れたら仲直りするわよ。」「それはできないよ。玉枝さんも大切だから。」
「そうよね。」「・・・」
九郎とあやめの会話は途切れる。一久があやめに言う。
「九郎君を許してあげたらどうだね。」「これは、私と九郎の問題です。」
「私もおいしい夕食を食べたいと思っているよ。」「私の料理は口に合いませんか。」
かえでが一久に質問する。
「口に合いますよ。おいしいです。」「ならいいけど。」
九郎は食べながらどうすればいいのか考える。彼は玉枝とは絶対に分かれるつもりはない。しかし、あやめを諦めるつもりもない。
やはり、あやめには玉枝ごと受け入れてもらうしかない。九郎はあやめに言う。
「食事の後、あやめの部屋に言っていいかな。」「私の部屋に来てどうするつもり。もしかして、抱くつもりじゃないでしょうね。」
「抱きたいです。」「こ、こ、この、スケベ。」
あやめは真っ赤になって自分の部屋に戻って行く。玉枝が九郎を非難する。
「抱きたいはないと思うわよ。」「九郎君、ナイス。」
かえでが一久を張り倒す。九郎はあやめの部屋の前に行くが、彼女は部屋に入れてくれなかった。
アパートへ帰る途中、玉枝が九郎に言う。
「どうしてあんなこと言ったの。」「布団の中で話せば何とかなるかなと思いました。」
「そんなことないでしょ。スケベ。」
玉枝は笑う。彼女は怒っていないようだった。




