124話 美琴、機嫌を悪くする
九郎は、どうしてつよしと美琴がアパートへ迎えに来たのかわからない。九郎はつよしに聞く。
「どうして、僕の所が集合場所になっているんだ。」「都合よかったからさ。」
美琴の家出を知らない九郎は話が見えてこない。美琴が九郎に言う。
「私、家出して、あやめの所にいるのよ。」「えっ、家出したの。」
「お父さん、酷いから出てきちゃった。」「それで僕の所に集合したの。」
「そうよ。集まるのにちょうどよかったのよ。」「前もって知らせてほしかったな。」
「サプライズよ。」「九郎、ごめんね。」
美琴は平然としている。その隣であやめが謝る。九郎は美琴が家出した理由が気になって聞く。
「お父さんが酷いってどういうこと。」「つよしが次男だから一緒に住もうとしているのよ。」
「でも、つよしとの結婚に反対していないでしょ。」「私はまだつよしと結婚するとは決めていないよ。」
美琴の言葉につよしはショックを受ける。
「僕は、みこ一筋なんだけど違ったのかな。」「私もつよしが好きだけど学生だから結婚まで考えていないわ。」
「僕はみこと結婚できるならみこのお父さんと住んでも構わないよ。」「お父さんの考えに賛成するの。考えられないわ。」
美琴は、つよしの言葉に機嫌を悪くする。九郎は、これは自分とあやめにも当てはまる問題だと考える。姿を消している玉枝が九郎とあやめにだけ聞こえるように言う。
「一久さんもきっと同じこと考えているわよ。」「僕もそう思うよ。」「私は一緒に暮らせればどこでもいいわ。」
「九郎ちゃんはどうするの。」「一久さんは、跡取りが欲しいと思っているはずだよな。」
「九郎ちゃんは結婚したら入り婿は決定しているわね。」「あやめと結婚できるなら。僕は構わないよ。」
「うれしいわ、九郎。」
あやめは九郎の言葉に喜ぶ。美琴が不機嫌そうに九郎とあやめに言う。
「さっきから2人して何をぼそぼそ話しているの。」
あやめがごまかすように美琴に言う。
「私と九郎ならどうするか話していたのよ。」「結果は出たの。」
「九郎が入り婿でも結婚してくれるって言ってくれたわ。」
美琴の目が九郎に向く。九郎は思わず逃げたくなるが何とか踏みとどまる。
「翼君は私のお父さんの考えに賛成なの。」「僕はあやめと一緒になれるのなら一久さんと暮らすことくらいなんでもないよ。」
「そう、お父さんに味方するのね。」「違うよ。よく話し合った方がいいと思うんだ。」
「私は話ができないから家出したのよ。」「みことお父さんだけじゃなくて、つよしも話に加わった方がいいと思うんだ。」
つよしが慌てて首を振る。美琴がつよしを見ると彼は冷や汗をかく。
「これは話し合いをする前にみこちゃんとつよしがよく話をした方がいいわね。」
玉枝が4人を見ながら独り言を言う。




