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101話 夏祭りへ行く

 玉枝は、昼食を作っている。九郎は、あやめをどうやって誘うか考えている。しかし、彼に良い案は浮かばない。

 彼は正々堂々とホテルに誘おうかとも思う。あやめは嫌がったり、恥ずかしがったりするだろうか。

 玉枝が、料理をテーブルに並べる。マグロの漬け丼と豆腐のすまし汁である。

 九郎が「いただきます」をして食べ始める。しかし、玉枝は、食事をすぐに下げてしまう。九郎が玉枝に言う。

 「玉枝さん、まだ食べているよ。」「九郎ちゃん、他ごとを考えて食べているでしょ。失礼よ。」

 「ごめん、あやめをどうやってホテルに刺そうか考えていたんだ。」「普通に寄って行こうでよいでしょ。」

 「それでいいのかな。」「あやめちゃんは嫌がったりしないわよ。」

 「うん、そうだね。」

玉枝は、もう一度、食事を出しながら言う。

 「ちゃんと味わって食べてね。」「はい、いただきます。」

今度は味わって食べ始める。九郎が玉枝に言う。

 「あっさりしておいしいよ。」「うれしいわ。」

玉枝が喜ぶ。九郎は食事が終わると着替える。玉枝も浴衣姿になる。

 九郎と玉枝は、出かけるまでのんびり話をしてすごす。

 午後3時半、2人は久沓神明社へ歩いて出かける。2人は神社の鳥居の所に来ると約束の時間まで10分あるため、時間をつぶす。

 九郎は午後4時ちょうどにあやめの家にインターフォンを鳴らす。すると玄関の引き戸が開き、一久が顔を出す。

 「九郎君、今日は頼むよ。」「はい、あやめをお借りします。」

 「いつでも譲渡するよ。」「僕たちはまだ学生ですから。」

すると一久が玄関の中に引き込まれる。九郎はまたかと思う。あやめが代わりに出てくる。彼女は肩で息をしている。

 玄関の中で一久が倒れているが九郎は見なかったことにする。あやめは白地に紺のアヤメの柄の浴衣を着ている。

 「似合っているよ。」「ありがとう。」

玉枝が気配を小さくしてあやめから見えなくなる。九郎があやめに言う。

 「行こうか。」「はい。」

2人は歩いてバス停に行き、隣町へ行くバスに乗る。あやめが九郎に言う。

 「今日、晴れてよかったね。」「うん、この前みたいに邪魔が入らないことを願っているよ。」

20分ほどバスに乗って、祭り会場に近いバス停で2人は降りる。


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