表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『グラウンドの亡霊たち』 ―血と汗と裏切りの果てに―  作者: キロヒカ.オツマ―


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

91/96

第89章 東条の影



 洞窟内は静寂に包まれていた。

 竜司はレンチを握りしめ、沙希の手を強く握った。

 「ここから先は……奴の本体と直接対峙することになる」

 沙希は小さく頷き、目に決意の光を宿す。

 「でも……私たち、負けられない……」


 外では、海を渡って島全体を見張る東条の部隊が静かに動く。

 夜風に乗って微かな機械音が洞窟内にも届く。

 竜司は耳を澄ませ、東条の手下の配置を頭に叩き込む。


 突然、洞窟の奥から無線のノイズが響く。

 《竜司……よくここまで逃げられたな》

 低く冷たい声が洞窟内に響き渡る。

 「東条……」

 竜司の口元が引き締まる。

 沙希も震える声で言った。

 「本当に……奴、来るの?」


 無線の先から、金属音と共に巨大な影が動く気配が伝わる。

 「奴……直接来る……」

 竜司はレンチを強く握り、呼吸を整えた。


 洞窟の入り口に光が差し込み、巨大な影が姿を現す。

 東条本体だ。黒いスーツに身を包み、目には冷酷な光が宿る。

 「よくここまで来たな……だが、終わりだ」

 その言葉と共に、手下たちも洞窟内に進入し、戦闘態勢に入る。


 竜司は沙希を庇いながら前に出る。

 「絶対に、負けられない!」

 沙希も小さく頷き、両手でコンテナを抱える。

 「竜司……行こう!」


 洞窟内は混戦状態に陥る。

 銃声、金属音、叫び声──すべてが反響し、方向感覚を狂わせる。

 竜司はレンチを振り、迫る敵を次々と制圧する。

 沙希もコンテナを抱えつつ、相手の視界を妨害しながら進む。


 だが、東条はただの人間ではなかった。

 戦闘中、彼の周囲には小型ドローンが飛び交い、二人を狙う。

 竜司は一瞬の判断で洞窟の壁に投げつけ、ドローンを破壊する。

 火花が飛び散り、洞窟内が赤く染まった。


 戦いの最中、竜司は沙希に囁く。

 「ここでコンテナを安全な場所に移すんだ!」

 沙希は命令を理解し、洞窟の奥へと走る。

 竜司はレンチを持ち、東条に立ち向かう。


 東条は冷笑しながら手を上げ、無線で指示を飛ばす。

 《無駄だ、奴らを止めろ!》

 手下たちが再び攻撃を仕掛けてくる。


 だが、その瞬間、竜司はエリカが残した小型爆発物の一つを取り出した。

 「これで……!」

 洞窟内に設置すると、爆発物が炸裂し、入口付近を一瞬封鎖する。

 火花と煙が洞窟を満たし、敵の視界を奪う。


 その隙に、沙希はコンテナを安全な位置に運び、竜司と合流する。

 「できた……!」

 竜司は頷き、汗と血で濡れた顔をしかめる。

 「これで奴の計画は止められる……かもしれない」


 だが、東条の声が再び洞窟内に響いた。

 《次はもっと大きな手を打つ……逃げ場はないぞ、竜司》

 竜司は拳を握り、冷たい決意を胸に刻む。

 「……奴の恐怖には負けない。俺たちが生き延びる」


 洞窟の中、二人はお互いの手を握り直し、次の行動を決める。

 カストリの原料は確保され、追手の混乱は生じた。

 だが、東条の恐ろしさは依然として残る──

 次に訪れる戦いが、この島での決定的な対決になることを、竜司は直感していた。


 夜の闇に包まれた洞窟の中、二人の決意はさらに固く結ばれ、東条との最終決戦への道を歩み始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ