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夜勤族の妄想物語3 -6.あの日の僕ら2~涙がくれたもの~-  作者: 佐行 院


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16/83

⑯~⑰

食事を続ける2人。


-⑯ 昔のあの事-


 覆面パトカーで文香が美恵から聞いた名前に震えていた頃、公園では守が真帆の暴飲暴食っぷりに震えていた。そう、真帆は好美や桃と同様に、いや2人以上の大食いだったのだ。先程真帆が大きめの皿にかなりの量を盛って来たので食べ切れるか最初心配だったが、今は財布の方が心配になってきた。


真帆「よし、お代わり盛って来よーっと。」

守「おいおい、まだ食うのか?」

真帆「勿論だよ、守兄ちゃんはビールのお代わり良いの?」

守「いや、今から行こうかと思って。」

真帆「じゃあついでに真帆の分も宜しく。」

守「またかよ。」


 完全に真帆の独壇場でビュッフェ感覚になってしまっている、食べ放題の焼き肉屋や某有名チェーンの餃子ならどれだけ食べるのだろうか。

 守がビールを持って席に着いた数分後、真帆はまた大量の料理を皿に盛って帰って来た。先程の1皿目並み、いやそれ以上だ。一体何台のキッチンカーをはしごしたのだろうか。

 2人が食事を再開すると、真帆が唐突に切り出した。


真帆「ねぇ、何でさっき美麗みれいお姉ちゃんの名前が出たの?」

守「ああ・・・、昔の事を思い出してな。」

真帆「それ聞いても良い話?」

守「俺から話すのは少し酷な気がするな、美麗メイリーが良いなら良いけど。」


 すると守の背後から聞き覚えのある女性の声が。


女性「何?呼んだ?」

守「美麗メイリー!!」

真帆「美麗みれいお姉ちゃん!!」

美麗「守君と真帆ちゃんじゃない、もしかして2人出来てるの?」

守「いや、腹減ったから飯食ってるだけだよ。それにしても今日は店に出なくて良いのか?」

美麗「パパが人数が揃っているから大丈夫だって、それに今日は仕事も休みだったの。」


 美麗は全国でチェーン展開をする宅配ピザ屋の会社に就職して休みの日は松龍の手伝いをする日々を送っていた、勿論時給制でのお小遣い制度は未だに健在だ。


美麗「それより何で私の名前が出たの?」

守「ああ・・・、昔の事を思い出してな。ただその事を真帆ちゃんに話しても良いのかなって考えてたんだよ、ほら秀斗の・・・。」

美麗「ああ・・・、そういう事ね。じゃあ私から話すからビール買ってきて。」

守「お前もかよ・・・。」


挿絵(By みてみん)


 美麗に小銭を渡された守はビールを買いに席を立った、酒の屋台に客が少し並んではいたが難なく購入できた。

 守が席に戻ると美麗の話を聞いた真帆が大粒の涙を流していた。


美麗「真帆ちゃんって優しいのね、私の為に泣いてくれてるの?」

真帆「だってそんな話聞いたら泣かない訳に行かないじゃん、それに美麗お姉ちゃん寂しくないの?」

美麗「大丈夫、今は別に彼氏が出来たから。」

守「そう言えば安正は?」

美麗「今日は仕事が立て込んでいるんだって、この前安正の家に行ったら大量の資料とにらめっこしてたよ。」

守「そんで?美麗は何やってたの?」

美麗「えっと・・・、あれ?どこだろ。」


 美麗は辺りを見廻して何かを探していた、休日の合った誰かと出かけていたのだろうか。


美麗「あ、いたいた!!おーい、守君がいたよ!!」


 美麗の視線の方向で裕孝と香奈子が手を振り返していた、2人ともキッチンカーで注文した春巻きを待っている様だ。よく見てみると2人の手には指輪が光っていた。


守「そう言えばもうすぐだったな。」

美麗「そうなの、それで今日は結婚式場の下見に行ってたんだよ。」

守「え?美麗も行ってたの?」

美麗「勿論だよ、私がいてこその下見じゃん。」

守「邪魔にならなかったのかよ・・・。」


 すると熱々の春巻きを受け取った香奈子が駆け寄って来た、少し興奮している様だ。


-⑰ 一緒だった理由-


 守達のテーブルに駆け寄った香奈子は揚げたての春巻きに齧りついて口をハフハフさせていた、暑さを凌ごうと美麗からビールを奪い取り一気に吞み干した。


挿絵(By みてみん)


香奈子「やっぱ合うわ、最高!!」

美麗「私のビール!!守君買いなおしてきて!!」

守「何で俺だよ、自分で行ってこい。」

香奈子「あ、私の分も宜しく。」

美麗「ぶーっ。」


 美麗は頬を膨らませながら駆け足でビールを買いに行った、それを見送って守が香奈子に話しかけた。


守「結婚式場の下見に行ってたんだろ?美麗が一緒に行っても良かったのか?」

香奈子「何言ってんのよ、美麗がいてこその下見じゃない。」


 香奈子も美麗と同じ事を言っている、どういう事だろうか。不思議に思う守の目の前に大量のビールが置かれた。


美麗「お待たせ、重かった!!」

守「お前これだけ全部呑むつもりか?」

美麗「守君も呑んで良いよ、勿論真帆ちゃんもね。」

真帆「ありがとう、美麗お姉ちゃん。」


 守はさっきから気になっていた事を聞いてみた。


守「そう言えばさ、「美麗がいてこその下見」って言ってたけどどういう事だよ。」

香奈子「美麗ね、何処の雑誌よりも結婚式場に詳しいのよ。」

美麗「そこら中の結婚式場の経営者は知り合いだらけだからね、凄いでしょ。」


 自慢できることなのだろうか、と言うよりどうやって知り合ったかが気になるのだが。

 そんな中、裕孝がやっとのこさで追いついた。


裕孝「香奈子、行くの早いよ。」

香奈子「ごめん、早く食べたくて。」

守「おう、来てたんだな。」

裕孝「守もな、それにしても珍しい組み合わせじゃんか。森田と一緒なんてよ。」

真帆「貢先輩、お久しぶりです!!」


 真帆は裕孝と同じく陸上部だったので、かなり礼儀正しく接した。所謂体育会系という奴だろうか。


裕孝「それにしても聞いてくれよ、美麗って凄いんだぜ。あいつが顔を出すだけで何処の結婚式場でもすぐに見学させてくれるんだよ。」

守「そこまでなのか?」


 守が美麗の方をチラッと見ると美麗は踏ん反りがえっていた、これにも既視感を感じた。

 一方その頃、松龍に1本の電話が入った、出前の注文だろうか。


龍太郎「もしもし、松龍です。はい・・・、「出前」・・・、はい・・・、「炒飯と餃子」ね?焼き加減は?「両面焼き」、分かりました、お電話有難うございます。」

王麗「父ちゃん、どうした?」

龍太郎「「出前」だ、「炒飯と餃子」「両面焼き」だって。」

王麗「「炒飯」は「キムチ」かい?「五目」かい?」


 龍太郎は最後の質問に対して少し重々しく答えた。


龍太郎「「五目」・・・、だってよ・・・。」


 夫婦が料理を作り終え岡持に入れると、ホールにいたバイトが受け取ろうとした。


龍太郎「すまんな、これは俺が行かなきゃいけないみたいなんだよ。今の間は暇だと思うからホールと母ちゃん、任せておいていいか?」

バイト「勿論っす、行ってらっしゃい!!」


 龍太郎は岡持を固定すると原付で何処かへ走り去っていった。


王麗「父ちゃんが行くとなると・・・、これは相当だね・・・。」


 王麗の一言は何を意味しているのだろうか、バイトには全く分からなかった。


龍太郎が行った先は・・・?

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