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雫
はじまりは、終わり。終わりははじまりへと続く。
あの手が頭に触れたのを覚えている。あの手が最後になる瞬間を覚えている。
「ごめんな。これで大丈夫だから。マリアーナ。大丈夫だからな」
「お父様?」
お父様やめてよ、お父様。大丈夫ってなによ。やめて。お母様のところに行かないで。おいていかないで!お父様!
どうしてよ。
彼女の身体には、妖精王から渡されし、「風」が宿る。何色にも染まっていない、何色をももっていた身体に色を決めた妖精王。妖精王の体を分け、七柱の妖精が生まれる。妖精姫マリアーナを合わせ、八大妖精と呼ばれる存在だ。
どうしてよ、なにもなにもないのね、私には。
空は荒れ、風が吹き荒れる。雨もまばらに、陽は休みをとっている。だが、彼女の胸中は静かで、雫の音すら聞こえないのだった。




