第70話 ヨロイ島到着
海賊を退けたマキナは航海を続行、無事にヨロイ島に着いた。
浜辺に帆船を停め、砂浜に足を踏み入れる。
手前には森林が見え、奥には帆船から見えた巨大な火山がある。
「着いたー、ふぇ!?」
アリアは砂浜で足を滑らせ、マキナの背中に突っ込む。
「大丈夫か?」
「いてて、ごめんねマー兄」
マキナの手を取り、アリアは立ち上がる。
「砂がきめ細かいわね、アタシも誰かそばにいないと転んじゃうかも……!」
「よしステラ、私に任せてくれ」
「コツを掴んだわ」
瞳を輝かせるベローネを無視し、砂浜を安定した足取りで歩くステラ。
「とりあえず、まずは火山を目指すか」
自然の鉱物は、地層や岩山にあるのが常だ。
ヒヒイロカネだってそこにあるはず。
「あの火山、今も噴火するのかな?」
「ちょっと恐いわね……」
アリアとステラは、モクモクと黒い煙を上げる火山を見ながら言った。
大昔に噴火をしたきりだ、恐らく大丈夫だろう。
4人は目の前の森林を通り抜け、集落の跡地に出る。
井戸や家屋、教会のような巨大な建造物もあったが、いずれも朽ち果て、緑に飲み込まれていた。
地面にはたくさんの錆びた剣や槍が突き刺さっており、刻の流れを感じさせる。
「まるで武器の墓場だな……」
マキナは唖然とする。
モンスターの駆除に失敗したことが一目で分かる光景だ。
【武器ステータス】で更なる確認。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
武器:鋼のランス
威力:210
耐久値:(0/120)
※この武器は使用不可能です。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
武器:ブロードソード
威力:220
耐久値:(0/100)
※この武器は使用不可能です。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「性能も悪くない、これだけの装備でも負けるのか」
「放棄された数も多い。クフラル王国はよほど大規模な部隊で挑んだのだな」
あくまで大昔に起きた戦闘、だが油断は出来ない。
モンスターは環境でその姿を変える。
厳しい場所なら、生き残っている種はそれだけ強いということだ。
そんな時、鉄同士が擦れ合う音が聞こえてきた。生き物の気配だ。
「お出ましって訳ね」
ヨロイリザード、鎧のような皮膚を持つモンスターだ。
群れの数は5匹と少ないが、中々の巨体だ。
1匹が咆哮を上げ、臨戦態勢に入る。
「よっし、張り切っていくわよ!」
「待ってくれ」
リンドヴルムを構えるステラを、マキナが静止する。
「何よ、どうした訳?」
「試したい武器がある」
マキナは【収納】で武器を装備。
――氷獄鎌デスサイズ、氷のような刀身を持つ、冷気が込められた鎌の魔導武器だ。
「その武器……どこかで見たことある!」
「『影の悪魔』のギルドリーダー、漆黒のルゴスの武器と同系統と見た」
「そうだ、少し仕様を変えてある」
楽園竜で得た素材を使い完成に至った、マキナの新たなる力。
マキナはデスサイズを構え、投擲する。
デスサイズは回転しながらヨロイリザードに突っ込む。
ザシュッ!!
氷の刀身がヨロイリザードの硬い皮膚を斬り裂き、全て一撃で倒される。
「あんなに硬そうな皮膚なのに、簡単に切り裂いちゃった……!」
アリアはポカンと口を開ける。
デスサイズは勢いのまま、円を描いてマキナの元に戻る。
「鎌は形状と相まって投擲が出来る。それに鎌と氷属性の相性は抜群だ、上手くいってよかった」
マキナは漆黒のルゴスとの闘いの最中、密かに大鎌デスサイズを評価していた。
振り下ろしの威力が逃げないように計算された形状、重心、厚み、デザイン……。
――素材が揃ったら絶対に作ろう。
そんなことを考え、実践の日を迎えられたのだ。
「自分の設計が上手くいくのは良いな、武器製作はこれだからやめられない」
マキナはホクホク顔でデスサイズを【収納】で仕舞う。
「あ〜マー兄ニヤついてる〜」
「そんなことない」
「ふふ、武器の話をしてるときの君は幸せそうだなマキナ」
「……俺は産まれて1度も笑ったことが無い」
「アンタすぐバレる嘘付くわね」
ステラはぴしゃりと言った。
すると、近くの倒壊した掲示板がマキナの目に入る。
「……ここの地図か?」
巨大な火山、先程通ってきた森林、現在地と思われる集落も載っている。
全体的にボロボロだが辛うじて読める。
どうやら、火山の近くに神殿があるらしい。
「通り道だし行ってみるか」
「良いわね、何かお宝でも見つかれば儲けものだしね……!」
「ステラちゃんお宝好きだねぇ」
「もちろんよ。ヒヒイロカネも良いけど、やっぱりアタシらの旨みも大事なわけよ!」
ステラは胸を躍らせる。
確かに何度も来られるような場所ではないし、探索出来る所は回っていこう。
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