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第52話 決戦当日!


 ロックトレント討伐の正午。

 予め、探索エリアは環境調査の為封鎖というアナウンスを流してもらうようお願いしていたので、他の冒険者は誰1人いない。


 マキナ達は装備を確認し、万全の状態で探索エリアに踏み込む。


 そして、入り口で彼らを出迎える人影があった。


「「『虹の蝶』の皆様、御武運をお祈りします!」」


 規律正しいアスガルド家騎士団と、


「「うおおおおマキナのダンナァ!! 1発ぶちかましてきてくれぇ!!」」


 猛々しい『ローズ団』の団員達。

 皆、マキナ達のロックトレント討伐の為の探索エリア封鎖に協力してくれたのだ。


「皆さんありがとうございます」


「我らアスガルド家騎士団、『虹の蝶』の皆様の頼みとあればお安い御用です!!」


「へへ、マキナのダンナ達の為だ、何だってやってやるぜ!」


 1番奥の鉱山エリアまでは距離がある。

 その為、マキナ達は用意された馬車に乗り込み、声援を浴びながら出発する。


 しばらくして鉱山エリア入り口に到着。

 ここからは険しい山道を進む為、徒歩での移動になる。すると、思わぬ人の出迎えを受けた。


「皆さ〜ん!」


「リサーナちゃん!?」


 そう、アスガルド家当主リサーナその人だった。周りには騎士団員達が陣形を組んで護衛をしている。


「てっきり御屋敷にいらっしゃるかと思いましたが......」


 流石のベローネも少し驚いた顔を見せた。

 決戦の場の近くに当主がいるとは誰も想像できなかった。


「いくら何でも危険すぎですよ」


「ごめんなさい、無理を言って来てしまいました……!」


 何せモンスターが彷徨う探索エリアだ、騎士団員が付いてるとはいえ心配にもなる。


「でも、どうしても、ギリギリのところで見送りたかったんです。『虹の蝶』の皆さんが帰って来た時に、真っ先にお迎え出来るように……!」


 すると、騎士団員の1人が口を開いた。


「我々としてもリサーナ様には御屋敷にいてほしかったのですが、物凄い剣幕で連れて行けと言うものですから。あんな血気迫るお姿は初めてであります!」


「こんな時に、当主が黙ってお留守番という訳には参りません!」


「そうだったんだ……ありがとうリサーナちゃん!」


 アリアはリサーナの手を握り、笑顔を浮かべた。


「それはそうと、私の他にも無理して来ている者がいるのです」


 すると、山道の方から大声が聞こえて来た。


「ワシも彼らと共に戦うぞ! 止めるんじゃ無い!」


「団長、おやめください!」


「やめとけ、そんな身体で何が出来んだよ!」


「うるさい、離せぇ!」


 全身包帯のベルフェムトが山道を進もうとしている所を、騎士団員とローズ団が必死に止めていたのだ。


 両手両足を押さえ付けられているにも関わらず、彼はジリジリと前に進んでいた。


「怪我してるってのに、よくやるよ」


 マキナは呆れながら呟く。

 完治してないにも関わらずあれだけ動けるとは、流石ニつ名を持つ冒険者だ。


「彼は私よりもタチが悪いのです」


 リサーナは腰に手を当て、ムッとした。

 するとベルフェムトがマキナ達に気付く。


「おおマキナ君! ということは『虹の蝶』が来たという訳だな!」


「ご無沙汰してます」


「なぁに君達だけに戦わせはせん、ワシも共に戦うぞ!」


「気持ちだけ受け取っておきます、後は俺達に任せてください」


「何故だ!?」


「足手纏いなのよ、大人しく寝てなさい」


 ステラの容赦ない発言が飛ぶ。


「君達までそんなことを言うのか!?」


「ベルフェムト氏に万に一つの事があれば誰が騎士団を率いるのですか、ここはより良い決断をして頂きます」


「ワ、ワシは何と言われようと絶対に戦うぞ! 楽園竜(アイランド・ドラゴン)の危機に馳せ参じなくて何が騎士団長だ!!」


「怪我してる騎士団長だからダメだよ!」


 何かもう、トレントと戦う前に体力を使いそうだった。 

 そんな会話を繰り広げていると、ローズが奥の岩壁を沿ってやってきた。


「東側の配置は完了したよ、蟻一匹見逃すことはないだろうね……ってどうしたんだい?」


「今少し混み合ってるんだ」


「へぇ、ありゃ騎士団長さんじゃないかい。何であんなにムキになってるんだい?」


 マキナは、ベルフェムトが怪我をしたままロックトレント討伐に参加するつもりだと説明した。


「なるほどねぇ、ならアタイに任せな」


 ローズは不敵な笑みを浮かべると、ベルフェムトに近づく。


「ちょいとアンタ」


「ん、何だ、君は確かローズ団の?」


 ボカッ!!

 声をかけるや否や、ローズはベルフェムトの腹を思いきり殴り付けた。


「げぼあああ!?!?」


「アタイがロックトレントだったらこれじゃ済まないだろうね」


 ベルフェムトは力なく倒れ、泡を吹いて気絶した。


「連れて行きな」


「へい!」


「お手数をお掛けしました……!」


 騎士団員とローズ団員が、ベルフェムトをせっせと運び出す。


「申し訳ございません、お見苦しい物をお見せしました」


「気にしないでおくれよ、アタイも手荒なことして悪かったね」


 謝るリサーナに対し、ローズは殴った手をひらひらさせながら答える。


「悪いな、『ローズ団』総出で手伝わせて」


「アタイらは『虹の蝶』の傘下に入ったんだ、これくらい当然じゃないかい」


 ローズはマキナの耳元で囁く。


「帰ってきたら、男と女(・・・)の話でもしようじゃないか」


「……は?」


 マキナはポカンとする。


「ま、そんな話も出来るように全員無事に戻ってくるんだ。命優先だよ、気張って行きな!」


 ローズはマキナの背中をバシンと叩くと、自分の持ち場に戻っていった。


 いきなり何を言い出すかと思えば……。

 とにかく討伐の準備は整った。


「後は俺達が倒せば万事解決だな」


 マキナは高く(そび)え立つ鉱山を見上げる。

 雲一つない青空、戦うには絶好の天気だ。


「よーし、皆、円陣組もう!」


 アリアはそう言いながらマキナの手を握る。


「急にどうした?」


「いても立っても居られなくなっちゃってさ!」


 今回はかなりの大仕事だ、パーティーを鼓舞するには良いかもしれない。


「何か、照れ臭いわね」


「良いじゃないか、私は賛成だぞ」


 その場で4人の円陣が組み出される。


「ほら、リサーナちゃんも!」


「え、私も良いのですか?」


「せっかく来てくれたんだもん、いいよねマー兄!」


「ああ、俺達は同じ目標の為に戦う仲間ですから」


 実際、リサーナの協力が無ければ今回の作戦は実現すらしなかった。彼女は傍観者じゃない。


「ありがとうございます……!」


 リサーナが加わり、5人の円陣になった。


「はいマー兄、後はお願い!」


「大事な所は俺に投げるんだな……」


 マキナは喉を整え、地面に向かって叫んだ。


「――俺達で、ロックトレントを討伐するぞ!!!!」


「「「「おおおおーーーー!!!!」」」」


 マキナ達5人の声に、周りの騎士団とローズ団も武器を掲げ、雄叫びを挙げた。


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