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第35話 竜上都市 楽園竜


 ジュダルとの一悶着から数日が経った。

 『虹の蝶』では特に変化のない、普段通りの時間が流れていた。


「武闘派ギルド『白銀の翼』。立て続けのクエスト失敗に協会も我慢の限界、翼をもがれた荒鷲(あらわし)に飛べる青空はない……か」


 マキナは新聞の一部を読み上げる。

 あの後すぐに『白銀の翼』はギルド活動の権利を剥奪され、事実上の廃業となった。

 何でも街で再会した時には、ジュダル以外の団員全てが脱退していた後らしい。

 元職場ではあったが、いざ無くなってもマキナには寂しい気持ちがこれっぽっちも沸いてはこなかった。


「……ま、そんなもんか」


 しかし、今話題になっているのはそれではない。


「遂に来たのか、楽園竜(アイランド・ドラゴン)が!」


「街中も大騒ぎだよ、楽園竜(アイランド・ドラゴン)の人達がやってくるなんて先の事だと思ってたんだから!」


「行きたいなぁ……楽園竜(アイランド・ドラゴン)


 『虹の蝶』の至る所で飛び交う『楽園竜(アイランド・ドラゴン)』という単語。


「はうう、私も行きたいなぁ」


 アリアが上の空で呟く。


「確か大陸中を走り回ってるんだっけ、その楽園竜(アイランド・ドラゴン)って?」


「ああ、この街付近には約10年周期で通過している」


 ステラの疑問にマキナが答える。


 ――楽園竜(アイランド・ドラゴン)

 4つの脚を持ち、背中に甲羅を背負うその姿はどちらかというと亀に近い。

 そして最大の特徴は、その甲羅の上に人々が大規模な街を作り(・・・・・・・・)生活している程に巨大なのだ。


 間違いなく世界最大の竜種である。

 大陸を渡り歩いているだけあり、街の露店には各地の工芸品や食べ物も豊富なのだ。


「ただ今回は3年早いな」


「え、そうなの?」


「俺が11歳の時にこの街を通過しているからな、間違いない」


「そっか、アンタ確か18だっけ」


「ねぇねぇ、私達で楽園竜(アイランド・ドラゴン)に行こうよ!!」


 アリアはキラキラした目でテーブルに身を乗り出す。


「もちろん、そのつもりだ」


 マキナの目は沸々と、静かに燃えていた。

 理由は1つ。


 楽園竜(アイランド・ドラゴン)にあるのは街だけではない。森林や山脈などの探索エリアがあり、独特の生態系、鉱物素材が多く存在する。

 つまり、そこにしかないレアアイテム、レア素材が手に入るのだ。


「この機を逃すわけにはいかない、絶対に……!」


 武器の素材は多ければ多いほど良い。

 楽園竜(アイランド・ドラゴン)の存在は、普段は冷静なマキナの心を燃え上がらせるのに充分だった。


「おお、気合い充分だねマー兄!」


「でもさ、あそこってある程度認められた人達じゃないと入れないんじゃなかったっけ? ただの観光ですら難しいって聞いたわよ」


「――その点は心配ない」


 振り返るとそこにはベローネがいた。


「おかえりベローネ、その様子だと指名のクエストは終わったみたいだな」


「ああ、『魔狂の牙』はこれで活動不可能になった。君のストームブリンガーのお陰だよ」


「凄い、流石ベローネさん!」


「まぁ今日の所は褒めてあげるわよ、アタシほどじゃないけどね」


「ありがとうステラ、私はとても嬉しいぞ」


「ふ、ふん! 何喜んでるのよ!?」


 ステラはプイッとそっぽを向いた。


「だが、調べによると団員を1人取り逃がしてしまったらしいんだ。後の捜索はギルド協会の方で行うとの事なので私は帰還したという訳だ。」


「そうか、無事に戻って来てくれてよかったよ」


「ベローネさん、さっきの心配ないってどういうこと?」


 ベローネは綺麗な装飾の施された便箋(びんせん)を取り出した。


「実は、楽園竜(アイランド・ドラゴン)側の方から我々4人に招待状が届いたんだ」


「え、そ〜なの!?」


「もうアタシらを認めてくれてるって訳だ」


 アリアは目を丸くし、ステラは得意げに笑った。


「行くぞ、楽園竜(アイランド・ドラゴン)に……!」


 4人の新たな冒険が今、始まろうとしていた。


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