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第36話 いざ出発!


 出発当日の昼。

 『虹の蝶』ギルド前には、ほぼ全ての団員達が集まっていた。

 全員、マキナ達を見送りにやってきたのだ。


「皆さん、お気を付けて!」


「応援してますからね!」


「ああ、皆ありがとう」


「行ってくるね〜!」


「ま、アタシ達の活躍に期待していなさい」


「成果は必ず出す、私達なら大丈夫だ」


 そして、4人に近付く革靴の音。


「……」


 虹の蝶の死神、ネイル・ショットだ。


「ネイル、わざわざ来てくれたのか。嬉しいよ」


「……」


「俺達がいない間『虹の蝶』を頼むな」


「……!」


 ネイルは腕を伸ばし、親指を立てた。


「でもアタシ達、ギルド前に集合で良いんだよね?」


「一応その筈だ」


 ベローネが口を開く。

 マキナ達が招待状に返事を出した後、すぐに新しい手紙が送られてきた。

 内容によると、どうやら12時に『虹の蝶』のギルドに迎えが来るらしいのだが、一向にその気配が無い。


「時間的にもそろそろだ、私達はこのまま待っていれば大丈夫だろう」


「……ね〜ね〜」


 アリアはボーっと空を見上げながら言った。


「どうしたアリア、お腹でも空いたのか?」


「少し前に食べたばかりじゃない」


 そのまま上空に指を差す。


「何か来てるよ〜」


 その方向には、太陽を背に黒い点のようなものが数個見えた。


「「「?」」」


 その場にいた全員が首を傾げる。

 複数の黒い点はどんどん大きくなり、やがて一つの形を象(かたど)った。


 ギュロロロロロロロ!!!!


「ワ、ワイバーンッ!?」


 以前、マキナとベローネが遭遇した個体よりも一回り小さい。

 咆哮と共に、複数のワイバーンがマキナ達の目の前に降り立つ。首には、甲羅を持つ竜の紋章が描かれた前掛けが付いていた。


「もしかして、お迎えって……」


「どうやら彼らの事らしいな」


 ワイバーンは直ぐに脚を折り畳み、頭を下げた。

 人を騎乗出来るように訓練されているのが分かる。


 そして、一体のワイバーンがマキナの前に首を差し出す。

 よく見ると、前掛けに一通の手紙が送付されていた。


「読め、ってことか?」


 ギュロ〜!

 マキナは手紙を開き、内容を確認する。

 アリア達3人も横から手紙を覗く。


 「『虹の蝶』の皆様。今回は招待を快くお受け頂きありがとうございます。送迎のワイバーンを4頭向かわせましたので『楽園竜(アイランド・ドラゴン)』に着くまでの間、快適な空の旅を楽しんで頂ければと思います」


 「……4頭?」


 マキナ達はワイバーンの数を数える。


  ギュロロ!

  グモーン!

  ショオー!


 「……3頭しかいないな」


 マキナが口を開く。確かに何度数えても3匹だった。


 「何かの手違いかなー?」


 「一応この大きさの飛竜種でも2人までなら乗せられるはずだ」


 「なら問題ないわね。マキナ、しょうがないからアンタと一緒に乗ってあげるわ」


 「え、何で俺なんだ?」


 「ワイバーンは結局の所1人で乗ったほうが快適なのよ。だから私はその権利を譲ってあげる、リーダーのアンタもアタシの自己犠牲に付き合う義務があるわ!」


 ステラはビシッとマキナに指を差す。


 「そう、これはリーダーの運命(さだめ)よ!」


 「えー、私もマー兄と乗りたい!」


 「駄目よアリア、ここはアタシの心意気を立てて貰うわ」


 「ずるいずるいずるい〜!」


 アリアが駄々を捏(こ)ねる。


 「ちょっと待て、俺が誰かと乗るのは確定なのか?」


 「「そう!」」


 2人は同時に声を上げた。

 鬼気迫る表情にマキナは思わずたじろぐ。


 「わかった、それならもうジャンケンで決めてくれ......」


 「聞いた、ステラちゃん......!」


 「ふん、いいわ。軽く捻ってあげる!」


 アリアとステラは拳を握り、掛け声と共に振り下ろした。


 「「最初はグー、ジャンケンポン!!」」


 アリアはグー。


 ステラはパー。


 そして、

 もう一つチョキの手が伸びていた。


 「は、はああああああ!?!?!?」


 ステラが絶叫を挙げる。

 チョキの主はベローネだった。


 「ベローネ、アンタ何入ってんのよ!?」


 「楽しそうだったから、ついな」


 「ついな、じゃないわよ! 出さなかったらアタシ勝ってたじゃない!?」


 「何やら私も燃えてきたぞ。さぁ、2回目の勝負と行こうじゃないか!」


 「何でアンタが仕切ってんのよ!」


 アリアは悪い顔を浮かべる。


 「ふっふっふ、盛り上がってきたね......!」


 「上等じゃない! 勝つのはアタシよ!!」

 

 3人の間をバチバチと火花が鳴る。



 「「「ジャンケン、ポン!!!!」」」



 そして、再度のジャンケンが始まった。


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