無慈悲な決戦(6)
「ハイド、弓を貸してくれ」
「ほらよケビン、使えるのか」
「小技ならね」
ハイドはケビンに弓を投げ渡した。
弓を受け取ると右手が光り、多数の光の矢が放たれた。
「マナ、危ない!ぐわぁ」
「ショウ君!」
「ルキア、ショウの回復を、ヴァン行くぞ」
「おお!」
テルとヴァンがケビンに攻撃を仕掛ける。
ケビンの右手が光り、多数の光の矢が放たれた。
テルが盾で光の矢を防ぎながら槍で攻撃、ヒラリとかわされるがヴァンが大斧で攻撃、ハイドが割って入り大斧の柄をつかみ止める、ハイドが極夜でヴァンを攻撃、ヴァンは大斧を離し攻撃をかわす。
大斧は地面に捨てられた、ヴァンは片手剣を抜いた。
「ほう、流石にやるね」
「余裕だな、なめてると熱い思いをするぜ」
『・・・・・我が意のままに灰塵とかせ』
マナの火魔法がハイドを攻撃、炎の柱が上がり周囲を熱線がはしる。
「そうか、以前も同じ魔法をくらったね」
「そんな、効いてない、なんて」
「耐性があっても、ちゃんと熱いんだぞ」
ハイドの火魔法がマナを攻撃、僕は風魔法で上昇気流をおこし炎を防ぐ。
「ショウちゃん動いちゃ、傷口が広がっちゃう」
「マナ、撃てるか?」
「任せて」
ヴァンがハイドを剣で攻撃して魔法を止める、テルはケビンを攻撃して弓を使わせない。
「ヴァン!撃つよ『・・・・・我が手に集い水塊となれ』」
水の塊がハイドを弾き飛ばす。
僕は弓でケビンを攻撃して動きを封じる、テルの槍がケビンの腹に突き刺さる。
「ぐ!」
ケビンは錬金術で槍を折る、後ろに大きく飛び距離をとった。
「クソ、槍が」
「大丈夫だよ」
僕は錬金術で槍を変形させ切先を作った、短くはなったが十分使える。
「ショウはハイドを奴は俺が抑える」
「よろしく」
「集まって、強化するよ」
ルキアは強化魔法を使った。
テルはケビンとの距離をつめ攻撃を仕掛ける、ケビンは攻撃を避けながら光の矢を使う機会をうかがっている。しかし、接近戦では弓を構える隙がない。
立ち上がったハイドがヴァンに極夜で攻撃、剣での打ち合いでヴァンが押されている。
「マナ、詠唱は?」
「いつでも打てるわ」
「僕は右、マナは左」
「了解」
左右に分かれヴァンを援護する。
ハイドはヴァンとの打ち合いを止め走り出した。
「?!」
「ルキア!逃げろ」
それぞれが攻めに動いた隙、孤立したルキアをハイドが襲う。
「キャ!」
切り伏せられたルキアから大量の血が流れる。
「これで回復できないな」
ヴァンが走りハイドを攻撃、僕は回復薬をマナに渡しヴァンの援護にまわる。
「貴様は俺が殺す!」
ヴァンの必死の攻撃だが、さっきより動きが遅い。
術者が気を失い魔法が解けたとしたら、僕は弓でハイドに牽制の矢を放つも効果はなく、ハイドの蹴りがヴァンのミゾオチをとらえた。
膝から崩れ落ちるヴァン、ハイドが極夜を振り下ろす。
間一髪、僕は白夜で攻撃を受け止める。しかし、剣圧に押され僕とヴァンは後ろへ弾き飛ばされた。
追い打ちの炎が僕達に放たれた。
テルが僕達の前に立ち、盾で炎を防ぎ耐える。
「いつまで、もつかな」
「『・・・・・我が手に集い水塊』・・・キャ!」
光の矢がマナをつらぬく。
炎に焼かれテルも倒れた。
「ふう、てこずったな」
「まだだよ、あと2人」
僕は立ち上がり白夜を構える、飛ばされた衝撃で弓の弦が切れている。
「ヴァン、立てるか?」
「ボディーに蹴りが入って、足が動かない」
「稼げるだけ、時間を稼ぐよ」
僕は白夜を鞘に納めて、両手を体の上にあげた。
「?、降参だと!ふざけるな」
「君には便利な技を見せてもらったから、生かしてあげるよ」
「勝手に決めるな、こいつには色々邪魔された」
「錬金術師として、彼には利用価値があると思うよ」
僕は手のひらを空に向け、魔族から見えないように、魔力を集中させ魔方陣を描いた。セシリアさんのそれとは比べ物にならない程、小さな小さな魔方陣だ。
僕は両手を正面に出し、ありったけの魔力を送り込んだ、無数の矢が放たれた。
「!」
「人間に出来るなんて」
「ケビン、うぁ」
ケビンはハイドを突き飛ばした。
光の矢がケビンの体をつらぬく、血しぶきが舞い地面を赤く染めた。
「おい、ケビン、そんな・・・」
ハイドはこっちを睨みながら近づく。
魔力を使い果たした僕は、その場に立っているしかなかった。
ザクッ!
極夜が僕の腹に突き刺さる。
声もなく僕は後ろに倒れた、そこにハイドはゆっくりと近づき、僕の胸倉をつかみ立ち上がらせる。
ザクッ!
極夜が僕の腹に深く突き刺さる。
「このまま内臓をえぐり出してやる」
「グ、グアア、ァァァァ」
僕はハイドの右腕を両手でつかむ、しかし、力が入らない、極夜はさらに深く体をつらぬく。
流れ出す血は暖かく、体は冷たい。
ハイドの腕は暖かく、血の巡りを感じた。
『血が流れてる 生きているから 生物だから
河の流れのように 水が流れてる 水・・・
そうだ 生物の体は殆ど水 水は分解できる』
両手に魔力を込め錬金術で水を酸素と水素に分解・・・魔力が無い。
「ショウ、目を開けろよ。死んでいく人間の仄暗い瞳は最高なんだぜ」
『魔力を どこでも どこかに ほんの少し』
「まだ、諦めてない目だな。貴様はどこまでも気に入らない奴だっだぜ」
内臓を掻き回す様に極夜が動く。
「あ、あぁぁ」
「そうだ、その瞳の色だ。お別れだショウ、ゆっくりとな」
薄れていく意識の中で僕は痛みから解放される。
仄暗い世界に落ちていく感覚が心地いい、闇が深くなる。仄暗い世界は苦痛も恐怖も感じない。微かな光が僕に行き先を教えてくれる。
この光は知っている、白夜の光だ。
『白夜 どうしたの 先に進めないよ 無理だよ
目を開けても見えない もう戦えない 終わりに
白夜 僕は君を持ち主に返さないと そうだね
君だけは輝いているね 光の魔力を宿した剣・・・』
≪ マリョク ヲ クダサイ ≫




