ドレーゼンの解説
予定通りに事は進行した。しかし、結果は当てが外れてしまった。
魔族を取り逃がした事は残念でならない。特に女魔族、奴は錬金術師か魔技師、どちらかの技術者と考えられる。
幻獣の製造は錬金術、操作は念動術、これが基本だった。
魔導具を作る魔技師によって、念動術を必要としない、自立して行動する幻獣が完成してしまった。
これはダンジョン完成以降、懸念されていた事例だった。
セシリア殿の幻獣の研究は途中で止まり、さらに予算の都合で研究を引き継ぐ者がいなくなってしまった。せめて弱点や対処法方だけでも。そう考え、以前から使者を送っていた。
アグレイ殿の行動によって、王国軍にさらなる不信感を抱かせてしまい。色々と手を焼かされた。
頑なに断られていたが、やはり最後は家族だった。
以前より、王国軍は予算縮小の為、国境警備もままならない状態だった。
そこで私の祖父が異世界人を使った、対魔族の戦士育成を考え出した。
異世界人は特殊能力を保有している可能性が高く、成長すれば強力な戦士となる。しかし、なれない世界での生活や戦いを恐れ、逃げ出す者達が多かった。
30年ほど前から異世界人は、自分達を勇者と呼称し、積極的に戦い始めた。
詳しい事情は不明だが、好戦的な人間が増えたのだろう。
今回はホムンクルスの技術を使い、それぞれの戦闘力の底上げと職業の最適化に成功した。こちらは幻獣と違い量産化は難しい。
兵器の研究と準備としては、失策と言わざるおえない。
年寄り達の保守的な考え、利己的な予算の使い方、それでも我々は国を人民を生まれ故郷を守る為、戦い続けなければならない。
決戦の日が近づいている。




