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錬金術師見習いです。  作者: ダグラス
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ドラゴン襲来(7)

 ジャンケンは異世界にあるのだろうか?

 素朴は疑問を感じながら、4人のジャンケン大会を見守っている。ドラゴンに乗れるのは3人、僕は必須なので残る席をかけて勝負が始まった。

 結果、マナとルキアが勝った。

 内緒の話し、魔力を使うと指を開き難く出来る。当然の結果だ。



 満天の星空の中、空中散歩を楽しむ。

 昼間に乗った時は戦いの緊張で、景色を楽しむ余裕は無かった。


「星明りでも景色は綺麗だね!」

「そうだね!」

「河がキラキラだよ」


 あっという間にミドラスト河の上を飛んでいる。

 大河は星明りを写し出し、煌く光の道の上を飛んでいる。


「あ!見えてきた!」


 光の道の左右にオレンジ色の光が集まっている。

 家々のランプの明かりがほのかに光っている。河を下っているから、右側がアルストリア、左側がミドラトリアだ。


「夜は船着場が人が少ないと思います」

「承知した」


 屋台の明かりから離れた船着場の片隅に静かに着陸した。

 屋台の賑わいを抜けて商店街の裏通りへ、勝手口から裏庭に入ると、セシリアさんが出てきた。


「あらあら、ショウちゃん、素敵な御客様ね」

「色々ありまして、竜族の方々と僕の冒険者仲間です」

「夜分に申し訳ない」

「いいわ、竜族は『せっつく』種族だから」


 実験室でセシリアさんに魔石を渡し状況を話した。

 会話はエルフ語の為、マナとルキアは退屈そうにしていた。


「そうね、幻獣を作る方法はいくつかあるわ。でもね」


 魔石の力で幻獣を作る技術と、それを動かす技術は別物で、製造は錬金術、行動は念動術が必要になる。

 念動術とは、魔力を使い人や物を動かす技術の事。


「人形を作っても、それを操作する人がいないと、あやつり人形にならないわ」

「ダンジョンの中では、なぜ動くのですか?」

「魔導具に魔力を流すと魔法が発動するでしょ、同じように」


 幻獣の製造、維持、行動、数量などを調整する魔導具がダンジョンの深部に設置してある。これをダンジョンコアと呼ぶ。

 ダンジョンコアは自然界に流れる魔力を吸収して動く為、壊れるまで半永久的に動き続ける。


「私が作った『コア』は、この部屋より大きいの、ドラゴン1体を動かすなら、半分ぐらいに出来ると思うけど、小型化は簡単ではないのよ」

「すまない、我々にも分るように、話してくれないか」

「あら、ごめんなさい。簡単に言うと、この魔石だけでは赤いドラゴンを作れても、動かす事が出来ないの」

「では、操作した者が近くにいたと」

「かなり近くじゃないと、無理ね」

「うーむ。戦いのドサクサだ仕方がない」


 セシリアさんは僕に『コア』がないか探してみてと言った。もしも、小型化に成功していたら、この国だけの脅威ではなくなる。

 竜族も明日の朝から手伝うと、草原に戻るようせっついてきた。


「魔石が落ちた場所と同じだから、竜族に鼻を効かせて貰うといいわ」

「そうですね、ところでエミリさんは?」

「今、ポルトトに行ってるのよ」

「ポルトト、まさか!」

「用事が済んだら、直ぐに戻るのよ。女は待つ事が嫌いな生き物だから」


 ドラゴンに乗って、パストーレにトンボ返りする。

 馬車で数日の道のりが空を飛べば数時間、本気で魔力で飛ぶ飛行機を作ろうかと、薄明るくなる東の空を見ながら考えていた。





「ショウ、色々と助かったよ、ありがとう」

「いえ、なんだか中途半端で、すみません」

「後は牧場主達と交渉する、それと魔族の動きは注視するよ」

「よろしくお願いします」


 人間の言葉を話せる竜族が来た為、僕の通訳は要らなくなった。

 牧場主のマルクさんも竜族の戦いを見て、食料供給に積極的になった。僕達はこれからエストーニャに行き、王都へ報告の通信を入れて帰路に着く予定だ。


「ルキア、素晴らしい回復魔法をありがとう」

「えへへ、また乗せてね」

「俺達は、何もなし?」

「何もしてないでしょ」

「居ただけだったな」


 交渉も幻獣もコアも魔族も全てが、尻切れトンボだった。

 それでも竜族と仲良くなった事が、今後魔族と戦う時に大きく影響してくるはずだ。


「アルストリアの場所は覚えた、近いうちにセシリア殿に挨拶に行くよ」

「はい、伝えておきます」


 馬車に乗り込み出発する。


「運転手のおじちゃん、王都までは何日かかるの?」

「10日以上かな」

「10日・・・竜ちゃん!乗せてって」


 竜族の元に走るルキアを無視して馬車は走り出した。その後、3日ほどルキアは不機嫌だった。





『苦労して作った幻獣が壊される、竜族から目を付けられる、最悪だ』

『ショウの奴、また僕の邪魔を・・・』

『ドラゴンより強いドラゴンが出来たから、ドラゴンで実験したら人間に壊される、なんて皮肉なんで、ショウ』

『うるさいな!』

『それより、コアの小型化は出来たのか』

『小さくするのは簡単だよ、でも行動の型が単純になっちゃうよ』

『兵士としてなら、単純でも十分だろ』

『ハイドちゃんは見た目にこだわるから』

『もう1体、強いの作ってくれよ。それで駄目なら、そっちに任せるから』

『まったく、壊すのは簡単でも、作るのは大変なんだぞ』

『なんだぞ~』

『外観は書いてきた』

『なんだ、今度はドラゴンじゃないのか』

『飛ばないからコアは小さく出来るだろ』

『ハイドちゃんにしては地味ね』

『うるさいな!』

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