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リビドーゲージが限界突破!淫魔覚醒?~冴えない地味子が美少女達を籠絡する~  作者: 猫野 にくきゅう


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30/30

第30話 レディ・ドロップの逆襲と、快楽のわからせ

 写真部(実質的なパンチラ研究会)の廃部宣告から一夜明けた、翌日の午前授業。

 私は机に突っ伏しながら、自らの命運を賭けた、ある『破滅的な秘策』の決行に向けて静かに覚悟を固めていた。


(生徒会長とのコネなんてものは、1ミリも存在しない。正攻法で冴子先生と橙子さんを説得することも不可能。となれば……残された道はただ一つです)


 サキュバスとしての真の姿、『レディ・ドロップ』へと変身し、あの堅物教師と生真面目な委員長を直接『調教わからせ』し、言うことを聞かせる。


 極めて野蛮かつ短絡的な力技。

 しかも、強大な魔力を行使すれば、この街を巡回している天敵——『天使』にその波動を察知され、討伐されるリスクが跳ね上がる。


 物理的な死(天使による討伐)か、社会的な死(嘘がバレて写真部の皆から軽蔑されること)か。

 私の歪んだ天秤は、迷うことなく「社会的死の回避」へと傾いていた。


 * * *


(やるしかありません。そのためには、変身に足り得る莫大なエネルギー……『リビドー』の蓄積が必要です)


 私は前髪の奥からギラリと目を光らせ、授業中にもかかわらず、斜め前の席に座るクラスのギャル・軽井沢莉愛さんの背中へと視線をロックオンした。


 今日の莉愛さんは、退屈な日本史の授業に飽きたのか、机に突っ伏すようなだらしない姿勢をとっている。

 そのせいで、短く改造されたプリーツスカートが限界まで引き上げられ、今にもはち切れんばかりの健康的な太ももと、プリンとしたお尻の絶妙な起伏が、無防備に晒されていた。


(素晴らしい……。あの弾力、あの質量。タイトに引き伸ばされた生地の向こう側にある、若さと生命力の塊。私のサキュバスとしての本能が、激しく渇望しています……!)


 斜め後ろの席からは、私を監視する委員長・杉田橙子さんの氷のような非難の視線が突き刺さってくるのがわかる。

 しかし、今の私はそんなものを気にしている余裕はない。


 私は呼吸を極限まで浅くし、莉愛さんのお尻の曲線を脳内で舐め回すように、ひたすら凝視し続けた。


【蓄積リビドー:40%】……【75%】……。


 下腹部の奥で、ドロドロとした熱いマグマのような魔力が渦を巻き始める。

 制服の生地が擦れる微かな音。彼女から漂う甘いバニラの香水。そのすべてを貪欲に摂取し、私の体内の魔力変換炉へと叩き込んでいく。


【蓄積リビドー:99%】……。


 キィンコォン、カァンコォン。


 放課後を告げるチャイムが鳴り響いた瞬間。

 莉愛さんが大きく伸びをして、そのお尻が魅惑的なウェーブを描いた。


【蓄積リビドー:120%(限界突破)】


(——充填完了です。さあ、反撃の時間ショータイムを始めましょう)


 私は誰よりも早く席を立ち、熱を持った体を隠すようにして教室を後にした。


 * * * 


 放課後の生徒指導室。


 本来なら生徒が近寄らないその薄暗い密室には、学年主任の佐々木冴子先生と、委員長の杉田橙子さんの二人が残っていた。机の上には、昨日写真部から押収された『例の破廉恥な小説』と、廃部届の書類が置かれている。


「……まったく! 信じられません。私と先生がこんな破廉恥な行為に及ぶなど、不愉快極まりない文章です」


「ええ。潮見と写真部の連中には、徹底的に反省してもらわなければ——」


 ガチャリ。

 鍵がかかっていたはずのドアが、音もなく開いた。


「あら、ごきげんよう。ずいぶんと陰気な顔をして、お勉強の真っ最中かしら?」


「なっ……誰ですか、あなたは!?」


 生徒指導室に足を踏み入れた私の姿を見て、二人は息を呑んで硬直した。


 紺藍色のショートボブは、艶やかな深い夜の闇のようなロングヘアへと変貌。

 ダボダボだった制服は跡形もなく消え去り、抜群のプロポーションを際立たせる漆黒のドレスと、背中から生えた悪魔の羽、そして先端がハート型になった尻尾が揺れている。


 限界突破したリビドーによって顕現した、高位サキュバス『レディ・ドロップ』の姿である。


「ここをどこだと——」


 立ち上がろうとした冴子先生だったが、私がパチンと指を鳴らすと、二人の体は目に見えない魔力の鎖によって椅子に強く縛り付けられた。


「ひっ!? な、何これ、体が、動か……っ!」

「なんなのですか、これはっ! 離しなさい!」


 もがく二人を見下ろし、私はヒールを鳴らしてゆっくりと近づく。

 そして、机の上にあった野乃さんの原稿を手に取った。


「あなたたち、この素晴らしい芸術作品を随分とコケにしてくれたわね。……でも、無理もないわ。あなたたちのような堅物は、自分の殻を破る『本当の快感』を知らないのだから」


「な、何を言っているの……っ、本当の、快楽……?」


「ええ。私が直々に、あなたたちのカッチカチに凝り固まった脳味噌を、トロトロに溶かしてあげる。……感度、三千倍」


 私が魔力を込めた吐息をフッと吹きかけると、ピンク色の甘い霧が生徒指導室を満たした。


 その瞬間、冴子先生と橙子さんの体がビクゥッ! 

 と大きく跳ね上がった。


「あ、ぁあっ……!? ひ、ひぐっ……!」


「な、なんですかこれっ、空気が肌に触れるだけで、ぞわぞわして……あぁんっ!」


 感度を極限まで引き上げられた二人は、ただ呼吸をするだけで全身の性感帯が悲鳴を上げる状態に陥っていた。


「さあ、授業を始めるわよ。私がこの小説を朗読する間、たっぷりと『気持ちよく』してあげる。……この物語を耳にするたびに、至高の快楽がフラッシュバックするように、深く、深ぁく脳に刻み込んであげるわ」


『——冷たいリノリウムの床に、カツ、カツ、と鋭いヒールの音が響く』


 私が艶やかな声で冒頭を読み上げると同時に、魔力で生成した見えざる手が、二人の制服越しに敏感な胸の先端や太ももの内側をねっとりと撫で回す。


「ひゃあぁぁっ! 先生っ、冴子、先生ぇっ! だめ、そんなところ、触られっ……あはぁっ!」


 普段はキリッとしている橙子さんが、涙と涎を垂らしながら、だらしない声で喘ぎ始める。眼鏡はズレ、三つ編みは解け、完全なる発情状態だ。


『「杉田。日頃から規則に縛られ、我慢ばかりしているから、そんなところに溜め込んでしまうのよ……」』


「あ、ぁぁぁあっ! だめっ、読まないでっ、私を、私を辱めないでぇっ! でも、きもち、いいのぉぉっ……!」


 鉄の女と呼ばれた冴子先生も、自身の羞恥心を抉るような自らのドSなセリフを聞かされながら、同時に与えられる規格外の快感に完全に屈服していた。腰をガクガクと震わせ、椅子の上で身悶えしている。


「ふふっ、良い鳴き声ね。……ほら、この小説は、こんなにも素晴らしい快感をもたらしてくれる至高の芸術でしょう? 廃部なんて、とんでもないことだわ。そうよね?」


「は、はいぃぃっ! すばらしい、ですぅ! だから、もっと、もっとぉっ!」

「ふぁぁぁあっ! もう、廃部になんて、しませんからぁっ!」


 羞恥と快楽の波状攻撃によって、二人の自我は完全にドロドロのピンク色へと塗り替えられていった。

 もはや彼女たちの脳内では、『写真部の破廉恥な小説=抗えない極上の快感』というパブロフの犬にも似た絶対的な図式が完成していた。


 やがて、数分にも及ぶ濃厚な調教(朗読会)が終わり、限界を迎えた二人が「あはぁぁ〜っ……」とだらしない声を漏らして白目を剥き、快絶(快感による気絶)へと至ったのを確認すると——。


 ポンッ、という間抜けな音と共に、私を包んでいた漆黒の魔力が霧散した。


 * * *


「……っ、はぁっ、はぁっ、げほっ、ごほっ!」


 莫大なリビドーを使い果たし、レディ・ドロップから「ただの潮見雫」へと戻った私は、その場に膝から崩れ落ちた。


 魔力欠乏症により、体中の関節が軋み、激しい頭痛と吐き気が襲ってくる。

 全身は汗と冷や汗でぐっしょりと濡れ、まるで使い古されたボロ雑巾のような惨状だ。


(や、やりました……。なんとか、間に合いました……)


 私は朦朧とする意識の中で、気絶している二人の顔を見た。

 その表情は、先ほどの怒り狂っていた堅物なものとは打って変わり、酷く緩んだ、多幸感に満ちた(だらしない)笑みを浮かべている。


(これで……次に二人が目を覚ました時、この小説への嫌悪感は消え去り、なぜか『すごく良いものを読んだ』という好意的な記憶だけが残るはずです……。ええ、たぶん、おそらく、きっと……)


 もはや立ち上がる力すら残されていない私は、床を這いつくばるようにして生徒指導室を脱出した。


 窓の外では、夕暮れの空が茜色に染まっている。


(……アリス先輩、暦さん、紡ちゃん、野乃さん。私たちの居場所は、なんとか……守り抜きましたよ……うっ、胃が痛い……)


 もし今、天使に見つかれば抵抗する間もなく瞬殺されるだろう。

 そんな恐怖に怯えながら、私はガクガクと震える足を引きずり、ボロ雑巾のような姿で、這々の体で帰途につくのだった。

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