104話 君の光が眩しくて
「もう! 危ないでしょう!」
「ご、ごめんなさい哀月。」
弾んだ拍子にフェンスを越えて落ちていったスーパーボール。咄嗟にキャッチしようと身を乗り出した西浦あかりが美南哀月に叱られている間に、吉川青空澄がエスカレーターを降りて取りに行っていた。
アカリの手を咄嗟に掴んだことによって、怪我することなく無事でいられた。彼女は間一髪のところで助けてくれた三門玲司に感謝の言葉を伝えようとしたが、自らの手のひらを見つめて固まっている彼の姿に声をかけるのを戸惑ってしまった。
「どうかした?」
横からの神楽坂陽光の声が聞こえ、レイジは我に帰った。硬直していたことには何ともないとあしらい、アカリの情報を整理していた。
あべこべな感情、不自然な言動。それが常にアカリの心から伝わってきた本心だった。しかしあの瞬間、手を繋いだあの瞬間だけは、今まで見えてこなかった真の本心が見えていた。
「見つけたよー! さっきのボール!」
下のフロアからアスミの声が響いてくる。レイジたちもエスカレーターを下り、そしてショッピングモールの外へ出た。
次の行き先は、ここから歩いて十分ほどの所にあるゲームセンターだ。中に入ってガチャガチャの台を見に行くも、ほとんどさっきのモールにあった物と同じだった。
「もういいだろ。」
「えー、じゃあレイジは行きたい場所あるの?」
レイジは隣の映画館を指差した。見たい映画が決まっているわけではないが、せっかく隣まで来たのに中へ入らずに帰るのももったいないと思ったのだ。
「そうね。映画館限定のガチャガチャがあるかもしれないし、行ってみようか。」
そして一行はゲームセンターを出て映画館へ入っていった。
シアターの入口の横にグッズ売り場がある。さっそくアスミとヨウコは見に行ったが、アカリは走り出さなかった。
「映画、好きなんですか?」
アカリは上映中の作品一覧を眺めるレイジに話しかけた。隣ではアイリも暇潰しに眺めている。
「アカリと一緒に見に行けたらなって思ってな……」
「な、何ですか、いきなり……」
アカリは周りに見られないように目元を隠す。きっと泣いているのだろう。
「……分かったよ、アカリの能力。」
レイジはアカリに聞こえないようにアイリに伝えた。彼女は驚いた表情を見せたが、彼を信頼した。
「応えてあげて、お願い。」
レイジは黙って頷き、アスミたちに館内を出ようと呼び掛けた。
「ねー、レイジ。バス後何分で来るの。」
「さっき時刻表見てきたばっかりだろ。遅れはないようだから、おとなしく待ってろ。」
レイジたちは最初のモールへ戻る。
発着場が近いため、今度は徒歩でなくバスだ。予定では到着まで後三分。運転手の心の声を聞いても、渋滞等による遅れは危惧してないことから通常通り着くと読める。
なぜこうもじっとしていられないのかというと、ベンチもなければ日陰も狭く、居心地が悪いからだ。
「だいたい日陰に入れてやってるだろ。」
「自分から出ていったじゃん。」
レイジは前を譲り、グループの中では一人だけ日陰の外に出てしまっている。その後ろに並ぶ人たちも当然ひなたで待つことになるのだが、無理にでも日陰に入ろうと押し掛けてくることもある。そんな面倒な人たちに絡まれないようにするための防衛線としての役割でもある。
「……我慢しないで、入って。」
アカリに腕を引かれ、レイジは日陰に詰め入る。
「臭いの、気にならないのか?」
「別に、どうってことない……」
不機嫌そうにアカリは言う。このときの彼女の表情は、最初のバスでアイリに写真を見せてもらったときのと似ている。つまり本心も、あのときと似ていると考えられた。
「なんか、恥ずかしいな……」
レイジはアカリから目を逸らしながら呟く。共感を得てくれたかを確かめるべく、チラッと顔を覗いてみた。俯いていてよく見えないためレイジはさらに首を傾ける。
ちょうどそのタイミングで、アカリもレイジの顔を見上げようとしてきた。顔が向き合い、お互いの肌と肌が触れ合いそうなほど近くなる。
「うわっ、ごめん!」
思わずレイジは体を引いたが、そのまま後ろの人にぶつかってしまう。謝る声を聞いてアスミは呆れ顔だ。
「何やってるのよあんた……」
「どうしたのアイリ。スマホ見つめて。」
ヨウコたちに見えるように、アイリはその画面を見せる。二人は何かを察してニヤニヤしている。
「私たちにも送ってよ、それ。」
アイリはその画像をアスミとヨウコ、そしてアカリにも送信した。
長らく待っていたバスが着き、レイジたちはモールに到着した。最初に来たときと同じ入口から入り、今度は左に曲がって二階に上がる。
館内を歩いていると、三郷楽阿からメッセージが届いた。今から合流してもいいかという内容だ。レイジは今いる場所を伝え、館内に着いたら再度連絡することにした。
「あっ、あそこにもガチャガチャ発見!」
二階の通路を歩いていくと、CDショップが見えた。ガラス張りの壁の向こうには数台のガチャガチャが見えたので、中に入ることになった。
アスミとアカリは我先にと回しに行こうとするが、耳にした話題に足を止めたアカリは回しに行かなかった。
「レイジはどんなCD聴くの?」
「俺はコスモのファンだからな。結構集めてるぜ。」
ヨウコとレイジが好みのCDについて語り合っている。彼が向かったのはこの島一番のアーティスト、新宿香李のコーナーだった。彼女のことはアカリも知っている。同い年の現役女子高生だ。
曲のことはよく知らないが、楽しそうに語るレイジの姿に、人知れず心を締め付けられていた。
「あれっ、あそこにもゲームセンターがある!」
「最初に来た所だろ。」
反対側から来たため別物に見えたのだ。特にアスミはガチャガチャのエリアしか目に入ってなかったため、奥のメダルゲームやクレーンゲームの存在など気にも留めていなかった。
「この辺のベンチで休んでようぜ。」
昼食以来の休憩。それほど運動したわけでもないがこの暑さ、目の前にふかふかのソファーがあれば座りたい気持ちにもなる。
レイジは今の場所をラクアたちに連絡した。ちょうど館内に着いていたため、数分で合流した。
「あっ、ヤッホーラクア。」
アスミの声が聞こえるとラクア、そして酒々井鉄道はこちらへ向かってきた。四時間ぶりの再会となったが、彼らの荷物は見た目的には何も増えていなかった。
持参した鞄に収まる程度の買い物、それが計画性のあるものと言えよう。彼女たちにも見習ってほしいものだ。
「なんか、荷物増えたな。」
もともとそれなりのサイズのポーチをアスミとアカリは用意していたのだが、それはあくまでガチャガチャ用。他に買った、事前に購入する予定を立てていなかった物は、四人とも店のレジ袋に詰めて手に持っていたのだ。
「たくさん買ったよー。ボールとか、Tシャツとか……あと水着とか。」
「み、水着……」
ツトムがごくりと唾を飲む。彼の脳内には、彼の想像した通りの水着を着たアイリの姿が浮かんでいた。
「見せてあげよっかー?」
「おい待てアスミ。」
彼女の魂胆など、心の声の聞こえるレイジにはお見通しだ。アイリの水着姿の画像と見せかけて、さっき彼女から送られた画像を見せるつもりだ。その画像とは、レイジとアカリが同じタイミングで顔を向き合わせたことによってキスしているように見えてしまうものだ。
「あっ、返せ!」
レイジはアスミからスマホをぶんどり、見られるのを阻止する。しかしその画像の送り主はアイリであり、ヨウコにも送られてしまっている。そしてヨウコは何のことかと混乱しているアカリに、裏でその画像を見せていた。
「アイリ、この騒ぎはいったい……」
「たぶん、アスミはこれを見せようとしたのだと思うわ。」
アイリは躊躇することなくその画像をテツジとラクアに見せた。送らないだけ良心的とは思ったが、そもそも元凶は彼女だ。
「消してもらおうか!」
「アイリに触るな!」
レイジはアイリの手にあるスマホを奪取しようとするが、失敗に終わった。ラクアに足を踏みつけられ動きを封じられた。そしてその隙を突かれ、アスミにスマホを取られてしまう。
レイジは取り返そうと取っ組み合っている間に、ラクアとテツジにもその画像を見られてしまった。変に彼らに歯向かったところで勝てないので、見られないようにすることは諦めていたレイジはスマホ奪還に専念した。
「れ、レイジ……これって……」
「違うし! 未遂だし、故意でもないから!」
とはいえここまで顔を近づけたのは事実だし、半分は自分から近づけたのも意図的なものだ。そこを突かれるとぐうの音も出ない。
「だいたいそこまでアカリに肩入れするのは何でだ! 俺は付き合いたいなんて一言も言ってねえ!」
「決まってるわ、そんなの。」
アイリはさも当然のように答えた。
「私は、アカリのことが一番かわいいって思ってるので。」
内緒で画像フォルダを作ってしまいそれを他人に自慢するくらいには好きなのだろうが、問題はそこではない。
「お、俺はアイリの方がかわいいって思うぜ。」
「えっ……ありがとう。」
思いもよらぬラクアからの渾身のフォローに救われた。レイジはスマホを取り返し、鞄の底に突っ込んだ。
「ともかく俺は、なぜアカリがそこまで執着するのか分かったし、それを踏まえて気持ちは受け取れないことを伝える。だから余計な外堀を埋めるな。」
「返事が決まったってことね!」
どうも会話が噛み合ってない。そのうえ誤解したままアイリはアカリへ伝えにいく。力ずくで止めようとすればまたラクアにやられるだけだ。
アイリが伝えたのは、レイジから話があるということだった。それは今でなく、帰る直前、つまり日没後。少なくとも四時間は先となる。かなり長く感じるが、アカリにとっては急すぎる話のようだ。
それまでの時間は、全員でまだ見てない店を回って買い物をする、バスで他の店や施設に行って珍しい物を見るなどをして過ごした。そして気がつけば午後六時を過ぎ、戻ってきたモールからバスに乗って駅へ帰る時間になった。
「うわっ、すごい行列……乗れるのか、これ?」
店を出た所にあるバス乗り場には、三十人近い人の列ができていた。レイジは運行中のバスの中の様子を読んでみたが、次に来るバスにはすでに多くの客が乗っている。ここにいる人たちでも、半分は乗れずに次を待つことになるだろう。
話し合いの結果、歩いて帰ることになった。
ラクアたちは楽しそうに話しながら歩いている。レイジも会話の輪には入れているが、気がかりなのが一つだけあった。アカリのことだ。彼女だけは、いまいち心が落ち着かずにいて会話にぎこちなさが見られる。それを感じているのはレイジだけではない。誰もが気付いている。
アカリとは帰路が真逆。どちらかの乗る電車が来れば、そこでもうお別れだ。
伝えるべきタイミングは、ここが最後だ。
「アカリ!」
国道に架かる歩道橋。階段を上り終え、車道の真上を渡っている。そこでレイジは、アカリの後ろから彼女の名を叫んだ。
アカリは足を止めた。心は読めなくともレイジには分かる。今の彼女が、爆発しそうなほどの感情を抑え込もうとしていることを。けれどもその感情が、これからどう変化するかは分からない。だからこそ、時間をかけてはいけない。その一心で、彼は言葉を続けた。
「俺は、ようやく分かった。お前の能力、あべこべの感情の意味が!」
悲しいとき、つらいときはそんな素振りを見せずに笑う。嬉しいとき、楽しいときは悲しげに泣く。恥ずかしいときは不機嫌になり、優しくしたいときに無愛想になってしまう。
それは表面的なものでなく、心の声すら支配する。そして何より、自らコントロールすることができないもの。アスミやアイリが能力に目覚め、後を追うように目覚めたアカリの能力。
強さにも利便性にも恵まれなかったアカリの能力。それによって彼女は一年半、悩み苦しんでいたのだ。まともな人付き合いができなくなり、恋愛ができなくなった。藁にもすがる思いで告白しても、誰も彼女を受け入れなかった。レイジもその一人だ。
これはあくまで推測だが、彼女の本心を知る唯一の方法、アイリにも明かさなかったそれを今、レイジは実行することができる。
その唯一の方法を実践するべく、レイジはその両手で、アカリの手を握った。
「聞かせてくれ。お前の本心。」
誰かと手を繋ぐことによって、その間アカリは能力に侵されずに本心を明かすことができる。
溜め込んでいた感情が、レイジの頭へ流れてくる。能力者となって苦しみを味わった自分と同じ立場にある彼女。しかしアカリは自分と違い、まだ希望がある。その希望に気付かせてあげたい。
「つらいよな。手を繋いでないと、あまのじゃくになってしまうのは……」
出したくても出せなかった感情が一気に溢れる。抑えきれないほどに、表情、心の声となって露になる。
「私、怖かった……誰からも愛してもらえないのが……だから私、私……」
「いいんだ。俺を選んで良かっただろう。こうして今、本音を見せられているんだから。」
手さえ繋げば、能力に妨げられず思うがままに笑い、泣ける。だからずっと手を繋いでいられる、そんな理想の人と出会えれば、アカリは幸せになれる。
「俺はお前の気持ちには応えられない。彼女がいるからな。けど、きっといつか会えるさ。」
「いいえ! 私は……」
アカリは力強く首を横に振る。そして顔を上げて、その思いを伝えた。
「まだ好きでいます。振り向いてもらえなくても愛しています。」
アカリは泣きながら笑っていた。レイジが思っていた以上に彼女の決意は固く、強かった。
「気持ち悪い、不便な能力を持ってしまった私でも、人一倍の幸せを願いたい。」
アカリはレイジの手をぎゅっと強く握った。もう離さないと言っているかのように。
「今この瞬間、笑えているから。伝えられてますよね、私の本当の気持ちを。」
伝わっている。だからこそ、下手に彼女を突き放してはいけなくなってしまった。最も恐れていた事態。それは現実になりかねない。レイジは必死に訴えた。
「もし俺のことを嫌いになっても、心が壊れそうになっても、絶対に死なないでくれ。」
抱きしめながら、泣きながら、レイジはアカリの顔の横で必死に伝える。自分のせいで、死なれてしまいたくない。だからこそ、ここでアカリとの縁は切りたかった。しかし、もう遅いのだ。
けれども、彼女を、一ノ宮耀を裏切るような真似は絶対にしない。彼女の心の崩壊、それが死に繋がってしまったことを、レイジは心を刻んでいる。
「俺には彼女がいる。だからアカリとは付き合えない……でも……」
「いいんです。それで……」
アカリは笑った。安心したような微笑みを見せた。
「やすやすと乗り替えるような人なら、私だって不安になります。でも、それだけ決意が強い人なら、大丈夫だって思えて。」
アカリとの縁は、ここで途切れるものではない。今度また会うとき、遠い未来に会えたとき、彼女が望む自分の姿。涙ながらに語る思いを、レイジはただひたすら受け止めた。
「歌、とか……まだ自信ないけど……コスモさんには遠く及ばないけど……あなたの隣に立って、一緒にステージに立って歌いたいから! 」
アカリの本気の思いを、レイジはウンウンと頷いて受け止める。
「私は……諦めませんから!」
「……終わった?」
アスミはひょっこりと顔を覗かせ、二人の様子を見る。その手は離れており、アカリの目元には涙が残っている。
「何で手ぇ繋いでないの。」
「そんな返事出してねえからだよ。」
結論としては、レイジはアカリとは付き合えない。けれどもこれからも好きでいてくれていいという、彼にとって都合のいいものだった。しかしアカリ本人はそれで納得している。今のままに納得したのではなく、彼女の座を奪い取るために全力でぶつかるという決意を固めていることによるものだ。
「ふーん。まあ、今日のところはこれぐらいでいいかな。まだ夏休みは長いしね。」
「あっ、そのことなんだが……」
また明日会いましょう。そんな言葉がアカリの口から出る前に、レイジは皆の前で打ち明けた。
「俺、明日から帰省するんだ。」
レイジは一度実家に帰り、今後の生活を家族で話し合うことにしている。いつこの島に戻ってくるか、そもそも戻ってくるかも未定という状況だ。
「心配することないわよアカリ。あの街にレイジの居場所なんて無いんだから。」
確かにその通りだが、軽々しく言われると腹が立つ。もちろんアスミも茶化すつもりで言っているのは分かっているため、そこに余計なトラブルを生み出すわけにもいかない。
「まあでも、不安なことがあれば電話なりメールなりしてくれ。手は繋げないけどな。」
下り電車に乗って、レイジは家に帰っていく。見送るアカリのスマホには、新しく彼のIDが登録されていた。
「伝えられたね、アカリ。」
「うん……ありがとね、アイリ。」
上りの電車に乗って、二人は今日の出来事を語り合う。
「今度は私がアイリの応援するから。」
「えっ、いいよ、私は別に……かわいくないし。」
自虐的に言うアイリの頭に、ふとある声が過った。
『俺はアイリの方がかわいいって思うぜ。』
その声に、アイリの心がきゅっと締め付けられる。
「今の……何だったんだろ……」
「じゃあ、俺たちはこっちだから。」
「うん、バイバーイ。」
二度目の乗り換え。ここでラクアとテツジとはお別れだ。同じホームから反対方面の電車に乗るため、ここでお見送りとなる。
「いやー、まさかあそこで本当に告白とは……なかなかやるね、レイジ。」
「ああ、そうだな……」
会って二回目と聞いていた。それだけであそこまで関係を深めることができるのが、ラクアは羨ましく思えた。それでも、初めて会ったときの思い出なら、彼は負けない自信があった。
しかしそれは、アイリにとっては些細なことだったのではないかと思えてしまったのだ。今日偶然にも会えて、話す機会も度々あったのに、一度も触れなかったあの日のこと。
「やっぱり、避けられてるのかな。あの件以来……」
「それこそ、彼に聞いておけば良かったんじゃない? 心が読める能力者なんでしょ?」
テツジの言うことはもっともだ。しかしラクアは、聞き出す勇気が出なかった。そんな悩みさえも、レイジは知っていたにちがいない。知っていたうえで聞いてこなかったのだから、それが答えと言っているようなものだ。
「いやまさか……レイジともう会えないなんてこと……」
「帰省先に……居場所が無いって言われてたね。何をしたの?」
ラクアも詳しくは知らない。聞かされたのは、前の街にいた頃に拉致されて、脱け出してこの島に流れ着いたということだけだ。
「じゃあやっぱり、自分で言うしかない!」
「それができれば苦労しないっての!」
ラクアは自棄になって、スマホを開く。するとついさっきアスミが載せていた企画が目に入った。
「海行きます。アイリも行くって……」
「なんだ、チャンスじゃん。」
ラクアは眺めたまま指を動かすことができず、参加すると返せずにいた。しばらく経って、レイジからのメッセージがそこに届いた。
「へっ、レイジ、行くって……」
「予定大丈夫? 帰ってこれるのかね、彼は。」
ついさっきのことだというのに、迷いなく行くと連絡するレイジの考えについていけない。ラクアは勢い任せにコメントを送り、スマホを閉じた。




