表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王の育児日記~史上最強の魔王、人族のチート赤ちゃんを拾う~  作者: 瑠璃猫


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
8/8

8話 迫りくる脅威

GWが終わってしまった……

投稿頻度をなるべく落とさないよう頑張ります!

ルシアは、ラジスのあとを追うように店の外へ急ぐ。


カンッ、カンッ、カンッカンッ!

今もなお街全体に警鐘が鳴り響いている。


店の外に出た瞬間、空気が変わった。

ざわめき、叫び、泣き声――街全体が揺れている。


店の前の通りには、すでに多くの人族が避難を始めていた。

ラジスの姿は、もうどこにもない。


(……見失ってしまった)

背後では、店にいた者たちも慌てて外に飛び出してくる。

その喧騒の中、鎧を着た騎士が声を張り上げていた。


「落ち着いて下さい! 避難は街の中央広場へ! 中央広場へ急いで!」

人々はその声に従い、雪崩のように同じ方向へと流れていく。

「押すな! 子どもがーー」と、あちらこちらから悲鳴にも似た声が上がっていた。


ルシアは、その場で立ち止まり、空を見上げた。


(……避難、か……)

魔王として最強の座に君臨し続けたルシアにとっては、街を襲う魔物など取るに足らない。

いくら人化の術を使い、力を抑えているとはいえ、ルシアに勝てる魔物などそうそういない。

だが、この場に居続けるわけにもいかず、わざわざ人族の街を助ける義理も無い。


それでもーーー。

(……無事に逃げているだろうか)

ルシアの脳裏に、赤子の顔が浮かび、胸の奥がわずかにざわつく。

こんな感覚を覚えるのは、いつ以来だろうか。


(……いや、あの老婆のことだ、問題ないだろう)

同時に孤児院にいた老婆のことを思い出し、ルシアは避難民と同じ方向へと歩き出した。



◇◇ ◇ ◇ ◇


――避難場所である中央広場には、かなりの数の人が集まっていた。

ルシアは、中央広場を歩きながら周囲を見渡す。

人族だけでなく、中にはエルフ族や獣人族もいるようだ。


(……いない)

何度見渡しても、あの老婆とアーサーの姿が見当たらない。

胸の奥が、じわりと冷たくなる。


その時ーー

「……北門が……ワイバーンの群れに襲われてるって……」

すぐ近くを歩いていた女性の声が、ルシアの耳に入った。

「大丈夫さ、この街は城塞都市、今までワイバーンなんて何体も撃ち落としてきたんだぜ」

心配そうにする女性を、安心させるように隣にいた男性が声を上げる。


(ワイバーンの……群れ?)

ルシアの眉がわずかに動く。

ワイバーン自体はそんなに強い魔物ではない。

だが、本来群れで行動することなどありえない。


「……嫌な予感がするな」

ルシアがそう呟いた直後――


「城門が突破されたぞーーっ!」

鋭い叫び声が広場全体を震わせた。

人々が一斉に悲鳴を上げ、混乱がさらに広がる。


(……っ)


ルシアの心臓が跳ねた。

考えるより先に、身体は動いていた。


人の流れを逆走し、孤児院の方角に向かって走り出す。

(……なぜ、なぜ最初から様子を見に行かなかった……!)

あの小さな笑顔が、胸の奥を強く締めつける。

そんな後悔がルシアを襲う。

だが、先ほどよりも避難民の流れは激しく、思うように前へ進めない。


「……くそっ」

すれ違う人々の中に、老婆とアーサーの姿はない。

遠くからワイバーンの甲高い鳴き声が響いてくる。


ようやく視界の先に孤児院が見えたーーその瞬間、ルシアは息を呑む。

孤児院の屋根が破壊され、瓦礫が散乱していた。

その真上を、ワイバーンが旋回している。


(……逃げていてくれ)

祈るような気持ちで、ルシアは孤児院へと走る。


その時だった――


空気を裂くような閃光が走る。

バチィィィインッ


孤児院の中から、鋭い雷光が走った。

その雷は一直線にワイバーンへと突き刺さり、魔物は悲鳴を上げて空中をよろめく。


(魔法……!?)

孤児院に飛び込むと、そこにはーー

額に汗を浮かべ、杖を握りしめた老婆の姿があった。


老婆は、ワイバーンを睨みつけながら、魔力を練り上げて再度魔法を放とうとしている。

だが、その手は小刻みに震え、杖を支えるのがやっとのようだった。

老婆の身体は、明らかに限界に近く、今にも崩れ落ちそうだ。

それでも、彼女は杖を離さなかった。


ワイバーンは怒り狂い、老婆へ向かって急降下してくる。


(……一晩とはいえ、世話になった)

――迷いはない。


「助太刀する」


ルシアは、老婆とワイバーンの間に、一瞬のうちに割って入った。


「えっ、あなた……?」

突然現れたルシアに、老婆は目を見開く。


だが、ルシアは振り返らない。

手を前にかざし、魔力を解き放つ。

この程度の魔物に、溜めなど必要ない。


「――“煉獄魔法”《ルグレイア》」


赤黒い炎の塊が、ルシアの掌から放たれる。

炎は大気を焦がし、軌跡そのものが灼熱の線となって残る。

それは一直線に飛び、大口を開けて迫るワイバーンへと突き進みーー


そして、ワイバーンの身体と衝突する。


――その瞬間、爆ぜた。

轟音とともに、ワイバーンは跡形もなく消滅した。


炎の残滓が空に散り、静寂が訪れる。

そして、ルシアはゆっくりと老婆の方へ振り返った。


――その瞳には、まだ消えぬ炎の影が揺らめいていた。



老婆さん、実はけっこう強かったみたいです。

ルシア様は、さすがですな!

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^


最後まで読んで頂き本当にありがとうございます!

もし「続きが気になる」「ちょっと面白かった」と思って頂けましたら、

評価やブックマーク登録をしていただけると作者の励みになります!

これからもこの作品を宜しくお願い致します!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ