07 城塞都市ディスタン
投稿が遅れてしまいすみません……汗
そして、累計100PV突破!!!
まさか、連載開始から5日でこんなに見て貰えるとは……!
GWが明けてもなるべく毎日投稿が出来るように頑張っていきます!!!
孤児院を後にして、ルシアはしばらく街を歩いていた。
夜明け直後の薄い光が、石畳の道を淡く照らしている。
最初は人影もまばらだったが、時間が経つにつれて、通りには人が増え、店の扉が開き始めた。
パン屋の前では焼きたての香りが漂い、露店では商人たちが威勢よく声を張り上げる。
馬車が行き交い、子供たちが走り回り、冒険者らしき人々が武具を鳴らしながら歩いていく。
(……これが、人族の街か)
ルシアは足を止め、ゆっくりと周囲を見渡した。
高い石壁に囲まれた城塞都市。
建物は木と石を組み合わせた素朴な造りが多く、人族がここで生活を送っていることが分かる。
魔王城とは、あまりにも違う世界だった。
そんなときーー
「お、やっぱりあんたかい」
前方から歩いてきた男が、手を軽く上げて声をかけてきた。
昨日、城門から孤児院まで案内してくれた冒険者の男だ。
「昨日は助かった、あの子は無事に預かってもらえた」
ルシアは、男に昨日の礼を告げる。
それと同時にアーサーのことを思い出すだけで胸の奥がざわつきを覚えた。
「とんでもねぇっすよ、あっしの名前はラジス、しがない冒険者でさぁ」
ラジスと名乗った男が、自分は冒険者だと背中に担いだ大剣をちらりと見せてくる。
その瞬間。
――ぐうぅぅ。
ルシアのお腹の音が響いた。
「……っっっ」
ルシアは耳まで赤くなってしまう。
「……よ、よかったら、近くにあっしのお気に入りの店があるんで、一緒にどっすか……」
ラジスはきまずそうに、ルシアを食事に誘う。
「……いや、遠慮してーー」
◇◇ ◇ ◇ ◇
◇
(……来てしまった)
食事の誘いを色々と理由をつけて断ろうとしたが、今までのルシアであれば、容赦なく断っていたはずだが、なぜかラジスの勢いに押され、ついてきてしまった。
目の前には、湯気を立てる豪華な肉料理が並んでいた。
厚切りの肉を香草で焼き上げたステーキ。
野菜がたくさん入ったスープ。
香ばしい香りのする焼きたてのパン。
(……これは)
森で食べていた獣肉をただ焼いただけのものとは、まるで別物。
かつて魔王城で口にしていたような豪華な食事を見て、ルシアの喉が唸る。
「ルーシーさん、ここはあっしの驕りでさあ、遠慮せずに食べてくだせえ。
ここの食事、ほんとに美味しんすよ」
ラジスは、目の前に並んだ食事を見て満足そうに言う。
(……?)
ルシアは、ルーシーと呼ばれ、一瞬戸惑いを見せてしまった。
しかし、すぐに昨日自分が偽名を名乗ったことを思い出す。
「……感謝する」
ルシアは、お礼を言ったあと、厚切りのステーキを手頃なサイズに切り、口に入れた。
――じゅわり
肉汁が口いっぱいに広がり、思わず目を見開く。
「…」
ルシアが美味しそうにステーキを食べているのを見て、ラジスは満足そうに頷いた。
「……へへっ、それじゃあっしも頂きやすか」
ルシアとラジスは、ただひたすら食事を続けるのであった。
◇◇ ◇ ◇ ◇
「……ご馳走様でした」
ルシアは、全ての料理を食べ終え、満足そうに息をついた。
そして、食事を取りながらラジスに人族のことや、この街のことなど色々と聞いた。
ルシアが、何も知らなさ過ぎて最初は怪訝な反応をされたが、最近まで森の奥地で魔法の研究を続けていたと言いごまかした。
ここは城塞都市ディスタンと言い、ディスタン伯爵が治める領地らしい。
街の隣にはフロンティエール山脈があり、その向こうはルシアが暮らしていた魔族領。
そしてこの街は正方形の形をしていて、東西南北に城門があるらしい。
南は貴族の住むエリア。東は商業区で、西は職人たちの工房が並んでいる。
ルシアたちが今いる北区は、冒険者ギルドや孤児院があるエリアだ。
他にも、人族の常識や通貨の話、冒険者の話など教えてもらった。
「……ルーシーさん、他に気になることありやすかい?」
ラジスは、かなり親切な性格のようで、嫌な顔ひとつせずルシアに他にも知りたいことはないかと聞いてくる。
「……いや、大丈夫だ、ありがとう助かった」
最初はラジスのことを警戒していたルシアだったが、こうして話してみると、彼が根っからの善人であることが分かってきた。
(……人族にも、こういう者がいるのだな)
魔王として生きてきた頃には、決して抱くことのなかった感情が胸に広がる。
「へへっ。そういってもらえると嬉しいっすよ」
ルシアとラジスがそんな他愛もない会話を続けているとーー。
――カンッ、カンッ、カンッ、カンッ。
甲高い金属音が街中に響き渡った。
店内にいる客たちが一斉に顔を上げる。
「……警鐘」
ラジスの表情が一瞬で引き締まる。
「ルーシーさん、街に危険がせまっている合図でさあ、他の客と一緒に避難しててくだせえ」
ラジスは立ち上がりながら、ルシアに説明をしてくれる。
「……ラジス殿は、どうされるのだ」
ルシアは、立ち上がり周囲を見渡すラジスに問いかけた。
「へへっ。初めて名前呼んでくれやしたね、安心してくだせえ、あっしは冒険者でさあ」
ラジスは、そう軽口を叩きながら、近くにいた店員になにかを告げ、店を出て行くのであった。
ラジス、ちょっとかっこいいやん……?
街と山の名前考えるのに苦労しましたが、いい感じのが付けられて良かったです
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
最後まで読んで頂き本当にありがとうございます!
もし「続きが気になる」「ちょっと面白かった」と思って頂けましたら、
評価やブックマーク登録をしていただけると作者の励みになります!
これからもこの作品を宜しくお願い致します!




