1話 魔王
はじめまして、瑠璃猫です!
本日より、魔王の育児日記~史上最強の魔王、人族のチート赤ちゃんを拾う~ 連載開始しました!
ぜひ楽しんでいただけたら幸いです!
夜の森は、まるで世界が眠りについたかのように静まり返っていた。
木々の間を吹き抜ける風でさえ、今は息を潜めている。
そんな闇の中を、ただひとりの影がゆっくりと進んでいた。
漆黒のローブをまとい、フードの隙間からは深紅の髪がこぼれ落ちる。
金色の瞳は、月明かりに照らされ淡く輝き……
それだけで、見る者の心を奪うほどの美しさを宿していた。
その姿は、どう見ても人族。――絶世の美女。
だが、その正体は……
史上最強の魔王、『ルシア=スカーレット』。
今の彼女は、人化の術で力を抑え、人族の姿をしている。
「……はぁ」
|ルシアはふと立ち止まり、夜空を見上げて小さな溜息をこぼした。
その横顔には、魔王とは思えないほど深い憂鬱が滲んでいる。
数百年続く魔族と人族の戦争。
その間、魔王討伐を掲げて彼女の城へ攻め込んできた勇者は、もう何人いたのかすら覚えていない。
そして……
魔王は、その圧倒的な力で、全員を例外なく返り討ちにしてきた。
倒しても倒しても次の勇者が現れる。
その終わりのない繰り返しに、さすがの魔王でさえ心が擦り減っていった。
さらに魔族たちは、口々にこう叫んだ。
「魔王様! 御身のそのお力で人族など滅ぼしてしまいましょうぞ!」
魔王軍四天王のひとりが、人族の根絶を掲げーー
「魔王様万歳! 魔王様万歳!」
それに呼応し、配下の魔族たちも声を上げた。
期待……恐怖……依存……。
その全てを押しつけてくる魔族たちにも、もううんざりしていた。
(…私はそんなことのために魔王になったのではない……)
争い続けることにも、恐れられ続けることにも、担ぎ上げられることにも、
ルシアは、心の底から疲れ果てて、逃げ出したのであった。
そしてこの夜ーー
ルシアはまだ知らない。
静かな森の奥で、彼女の運命を変える “出会い” が待っていることを――。
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