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4.術析師論文を作る 後半

「一先ずいつも自分が行っていることを振り返っていくべきだと思う」


 今まで僕は分析をするとき頭の中に魔法陣が数値化されて認識することが出来ていた。魔王との戦いで、この能力は演算能力であるという事が分かっていたから、魔王が僕に演算能力を与えたように、他の人の演算能力を高めることが一番重要になってきそうな気がする。


 それでもう一つ問題になってくるのが頭の中で構築した魔法陣のイメージを出力する能力である。僕の場合は解魔石を使ったり、勇者セルファシアからの受け売りである魔力への出力能力のお陰で、出力が可能になったというわけである。


 こう考えてみると、演算能力が得意な人と、出力能力が得意な人とでも別れてきそうだな。


 ならば、演算能力が得意な人には出力能力を補正できるようなものを、出力能力が得意な人には演算能力を補正できるようなものを考えるのが自然になってきそうだ。



 まず前者の出力能力補正についてだが、解魔石が先ずは思い浮かんだ。ただこれを扱うのはあまりにも綿密過ぎる演算能力が必要になってくる。そりゃあみんなが僕みたいになんでもかんでも分析出来たら、凄いことになってしまうし、何でも分析というわけにはいかない。ただ現状から少し向上させる程度でいいのである。


 その場合解魔石の構造について考えてみようと思う。解魔石の原理としては内部に神級の魔力が込められている。なので僕の元々あった神の分析の出力能力を満たすというわけだ。


 あれ、じゃあそもそも神の分析の出力能力がなきゃ意味ないじゃん。つまり解魔石は僕にしか役に立たないと言う事だ。


 やっぱり普通の人が魔法陣を使いこなすには、演算能力を高めて同時に出力能力も高める必要があると言えるな。


 だったらその二つを補助する新しい方法を普段の行動から考えればいいんじゃないかな。


 まず僕は魔法陣を分析する時に数値化して頭の中から自動的にフィーリングで認識されていくわけだけれども、これが他の人ができるようになるには、やっぱり分かりやすく公式化してあげればいいんじゃないかと思った。


 この学園で学んだ座学での数式は何となく僕が普段からやっていることと変わらない気がする。やっぱりそうなると魔法陣を分析するのに、補助的に能力を向上させる方法としては公式化がいい気がするな。


 これを繰り返していけば、やっぱり認識する時の魔法陣の精密さもより上がってくるだろうしね。


「よし決まり、先ずは演算能力の向上方法についての考察が終わったぞ。今度は出力能力の上達方法について考えてみるか」



 出力能力の補助体な能力向上については、アイテムがいいと考えていた。かつて魔王は自らの演算能力向上のために、解魔石を作ったと言っていたけど、結果的に見ればそれは本質は勇者セルファシアと変わらない。出力能力は本当に貴重なもので神級魔力に反応した場合でのみその力を発することが出来るのだ。魔王の本質もSS級魔力に反応して出力するのは元々あった能力であり、普通の人がそのアイテムを使っても意味がないのである。


 なら勇者セルファシアの出力能力が何故高かったのかを考えてみよう。それは単に才能である。ホルテラ様曰く、セルファシアの魔力は荒々しく、ホルテラ様の制御能力がなければ扱いが難しいそうであった。


 ならばそのセルファシアの荒々しい魔力が出力能力向上を自然に行う鍵なのかもしれない。その際に補助的な制御能力向上も必要になってくる。荒々しい魔力に関してはこれから実態を明かしていく必要があるとは思うが、制御能力向上は日頃の訓練で何とかなるかもしれない。出力能力はやはりこのセルファシアの荒々しい魔力を解明することが向上のカギになるかもしれない。


「そんなわけで結論としてはこうだ、魔法陣を上手に作り出すには演算能力と出力能力が必要になり、演算能力を向上させるには、数式など常に具体的な数値を誰にでも理解できるように体系化させていくことが必要になりそう。そして出力能力向上には、制御能力と荒々しいセルファシアの魔力が必要になり、制御能力向上には日頃の魔法の訓練が役に立ち、荒々しい魔力に関してはこれから解明していく必要があると言う事だ。つまり出力能力向上にはもう少し調査が必要になっていくかもしれないとまとめられる」


 とひとり図書館でブツブツ呟いている僕であるが、やっと論文が完成したことでこの時大きな達成感を感じることになっていた。


「さて、これから教授にこの論文をだしてくるか」


 こうして僕の論文作成が終わりを迎えるのだった。



 後日僕の論文は称賛されて、魔法学園のアルトさんから賞をもらうことになるのだった。更に学園には勇者セルファシアの荒々しい魔力を解明する研究所が設立されることになったのであった。


 まあ、正直言ってしまうとこの魔力は解析不可能で単に勇者の加護による恩恵だとは思うが、如何にこの魔力に近づけることが出来るかが重要になってきそうな気がするかな。懸念されるのが誰もが勇者の力を持ってしまったら暴走が起こるのではと言う点ではあるが、そもそも演算能力がないわけだから単に器用貧乏が生まれるだけでその心配はいらないだろうな。


 ともかく今回魔法学園に体験入学できたのは中々いい体験になったのであった。


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