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5.勇者の痕跡 前半

 僕は今王国の集会に来ている。なぜ僕が招待されたのかというと、ハイフレードについてのことが原因である。


 王国聖騎士ハイフレードは憑依した魔王を倒すために自ら命を絶った。彼の功績は多くの人に称えられることとなり、更に僕も彼の健闘をたたえるためにこの会に参加することになったのである。


「あ」


「へ?」


 そんなことで王国の集会に立ち寄った僕であるが、そこで偶然レネと遭遇した。


「何しに来たんですか?」


「いや、僕もハイフレードさんの集会に参加しようと思って」


「あなたがハイフレード様に情を書けるなんて、ずいぶんと態度が大きくなったものですね。流石魔王を倒した英雄は違います事」


「……」


 まあ確かにレネの言っていることは間違いではない。正直ハイフレードさんの事はそんなに好きではないし、というか王国追放を物理的に行ったあいつのことを正直恨んでいたまではあった。


 まあそんなことはギルドのみんなとの楽しい生活によって流れた時間により、どうでもいい事になっていたが、


 じゃあ何で集会に集まったのかというと、単純に自分の過ちに気づき自らの命を魔王と道連れにして立つ覚悟を見せていたことに、少し尊敬の念を抱いたからだ。


 命を捨ててまで、周囲の人に貢献するというのは中々真似できることではない。そう言った意味で真の聖騎士長と言えるのではないだろうかと感じた。


 とまあここまで完全に上から目線でものを語っているが、選抜冒険者時代にはハイフレードさんは僕にとっては手が届かない王国の英雄的存在であった。あの時からみたら今の僕の行いはとても傲慢な行為なのかもしれない。ある意味魔王を倒して一定の評価を周囲から得たから出来ることな気がしなくもない。


「僕なんかに構ってないで、集会の準備でもしたらどうだ、そっちは主催者側だろお姫様」


「は、はあ? 何ですかその言い方は! 別にあなたに構って欲しくて話かけたわけじゃありませんが? たまたま視界にあなたが移ったので反射的に話しかけたんですよ。いちいち癇に障りますね」


 そう愚痴ると、レネは僕の元から消えていった。





 ハイフレードの石碑に人がたくさん集まっている。僕もそこに訪れたのだが、見覚えのある人物がそこにいた。


「ゼ―ネシアさん!」


 ギルドマスターのゼ―ネシアさんも集会に参加していたのである。


「こんにちはグラスさん、あなたもいらっしゃっていたんですね」


「ええ、まあ」



 それからしばらく石碑を見つめるゼ―ネシアさんと僕、しばらく沈黙が流れることになる。


「私ですね、いまだにハイフレードとの戦いの情景を思い出すんです。万策尽きて仕留めるなら今だと思っていたあの時、でももし自分が手にかけていたと思うと、恐らく罪の重さに耐えきれなかったと思います。だってこんなに沢山の人に彼は慕われていたのだから」


 ゼ―ネシアさんは周囲の人を見渡すとそう言う。


「確かにあの時のゼ―ネシアさんは一時の感情に任せていた気がしました。冷静に考えると手に掛けるという行為はそれだけで凄まじい代償を払うことになる。一時の感情で決めるべきことではありませんよね」


「ええ、やっぱりあの時私を止めてくれたグラスさんには感謝しかないんですよ」


「そうですか……」



 再び沈黙が流れる、沈黙というよりは各々が色々思っていることを思い返している状態が続いているという感じだ。


「ホルテラ様は元気ですか?」


 ふと思ったことを僕は口に出してみた。


「ホルテラ様ですが、なぜか最近私の呼びかけに応じませんの。しばらく、なので会ってませんね」


「そうなんですか! 実は自分も暫くミルティと会ってなくて、何故か呼びかけに応じないんですよね」


 ホルテラ様とミルティ、最後に出現したのは浜辺での砂崩しでの激闘の時だっただろうか。あれから数か月ほど経過したが、実を言うとあれ以来ミルティには会っていない。時々呼びかけてはいたのだが応答はなし、あまり気にしていなかったのだが、ホルテラ様も同じだと聞いて僕はこれが何かあったのではないかと考えた。


「精霊に何かあったのかもしれませんね。もう少し様子を見たほうがいいかもしれませんね」


 まあ、これは一時的なものだと願いたい、しばらくすれば戻って来ると思うし。


 それから集会が終わり解散することになったのだが、僕にゼ―ネシアさんが提案を持ちかけてきた。


「グラスさん、この後時間開いていますか?」


「あ、大丈夫ですよ」


「そうですか……そしたらちょっと私と一緒に付きあってくれません」


「いいですけど何処へ?」


「今回の集会で少し思い出したんですよね。師匠……勇者セルファシアの石碑へ伺おうと思います」


 僕は度々出てくるそのワードの実態がそろそろ明らかになるのかとその時勘ぐることになった。


「面白かった、続きが読みたい!」


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