48.囮~レネ(追放)サイド~
嘘……まさかハイフレード様が消えてしまうだなんて……。
「さて、王国破壊と行きますか」
続けて赤髪の少女はこちらを見て圧を放つ。
「き、貴様は何者だ」
「あ? 私か。そうだな……魔王とでも名乗っておくか」
「ま、魔王それはどういう……ッ!」
その時魔王を名乗る少女の姿が消える。
「ぐああああああああ」
「ドドドドドドドドドガアアアアアアアン」
「こ、こんなことが……」
次の瞬間、城門の上に配置していた兵約100人が一瞬でやられてしまった。目に見えぬ速さで高速移動するあいつの動きは、私には全く捉えることが出来ない。
「好き勝ってやらせてたまるかよ。行くぞシステラ!」
「ああ! 言われるまでもないな」
「ちょっと! 2人とも待って……」
レジンさんとシステラさんが魔王を名乗る少女目掛けて走っていった。どう考えても勝ち目がない……ここは城を捨てて一時撤退するしか。
「サンダーブレイク!」
「サンダーブレイド!」
「ドカドカドカアアアアアン」
レジンさんの雷魔法とシステラさんの雷の斬撃があいつ目掛けて飛んでいますが、これでは明らかに威力が足りないとしか……。
「なんだお前ら、何かしたのか?」
「やっぱり、全然効いてないか」
「フッ、まあ予想通りってところだな」
必殺技である雷攻撃が通じていないのに、2人ともかなり余裕そうですね。何か秘策があるのでしょうか。
「俺達も魔王幹部戦やグラスにやられてから学んで成長したんだ。その成果をここで見せられるなんて嬉しいね」
「おいレネ、私達の成長をここで見せてやるから、よく見ておくといいぞ」
「システラさん! 何をするつもりなんですか」
「行くぞ、システラ! 合体魔法だ」
「言われなくても分かっているわ」
合体魔法ですって。そんな高等魔法、いつの間に2人は使えるように。
「ツイン・サンダーブラスト!」
「ドドドドドドドドドド」
2人の最大出力の魔力が合わさって更なる強大な技が出現した。凄い……これならいけるかもしれません。
「ふーん、面白い技を使うね」
片手を前に出しているようですが、まさかこの魔法を受け止めるつもりなんでしょうか。
「ドドドドドドスッ……シュゥゥゥ」
「馬鹿な、こんなことが……」
噓でしょ、あのレベルの魔法を受け止めるだけじゃなく、片手で消し去るなんて、格が違い過ぎる。太刀打ちできるのはハイフレード様を除いたらアイツくらいしか……。
私の頭の中にふとあの眼鏡の男が思い浮かばれるも、直ぐに消し去りたい気分になり首を横に振る。
「これはもう私たちの手には負えません! 撤退しましょう。 また機会を伺って、戦力増強を……」
「はあ、なあレネさんよ、この国のどこにあいつに太刀打ちできる奴がいるんだ」
「そうだな、ハイフレード様がいなくなった今、こいつに太刀打ちできるのは王国内で私達くらいに違いない」
「そ、そんなこと、知った事ではありません。私達ですら通用してませんよ」
「……」
「ふ、2人とも逃げないのですか。こんな格上相手に、そんなのはただの無謀というだけです」
冗談じゃない、まさか2人がこんなに馬鹿な人たちだったとは、ハイフレード様もいないしもうこの国は終わりでしょう。かくなる上は私だけでも……。
「キルティオ出て来なさい」
「はい、このキルティオお嬢様の御呼び出しを受けて参上いたしました」
「私を今すぐここから遠い場所に転移させてください」
「お嬢様、ですがシュレッタ王城はどうするのですか」
「そんなこと今は考えなくていいです。とにかく今は私の命が大事でしょ」
「そ、そうですね。では【転移陣】発動!」
ふっ、これで何とか逃げられ……。
「逃がすかよ!」
「っ!」
まずい速すぎる。キルティオの魔法陣が発動する前にこれでは攻撃があたってしまう。
「サンダーバインド!」
「くっ、なんだこの魔法は雷の網? 時間稼ぎか? 小癪なことを」
「レジンさん?」
「へへへ、自分だけ抜け駆けとは流石だぜレネお嬢様。だが、それでいいぜ。王国最後の姫であるお前を守るのが俺たち選抜冒険者の役目だからな」
「幽閉光結界発動!」
「っ! 何だこれは」
「それは我がレーラ家の秘術、幽閉光結界だ。この中に閉じ込められたらまず、私が術を解かないと脱出することはできない……まあお前のような格上には時間稼ぎにしかならないが」
「ふふふ、時間稼ぎか、無駄なことを」
「ふ、2人ともよくやりましたね。そこの貴様、いずれ部隊を再編してあなたを葬りに行きますから首を洗って待っているんですね」
「お嬢様転移陣発動します」
「よろしく頼みましたよ」
「シュン」
「行っちまったな」
「まあ何とか役目を果たしたといえるさて……」
「バキバキバキ、ドガアアアアアアン」
レジンの雷魔法の網と、システラの防御結界は悪性ホルテラに一瞬で砕かれる。
「この程度でこの私を縛れるとでも」
「もう私の秘術を解くとは、規格外な奴だ」
「相手にとって不足はないんじゃないってね」
「どうした震えてるぞレジン」
「いやだなシステラ、これは武者震いっていうんだよ」
「おいそこの魔導士のお前、さっきはうちの部下を随分痛ぶっていたようだな」
「ハッ、それがどうした」
「今度は自分が逆の立場になるってことだよ」
「それはどうかな……行くぞシステラ」
「ああ行くぞレジン!」
「来い」
「はあああああああああああ」
「ドカアアアアアアアアアン!」
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