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初めは読み書きだけだった勉強の科目が、算段や歴史、貴族としてのことなども勉強し始めた。
そして分かったことがある。
私の住む世界の名前がゲームの世界と同じ名前だった。
名前はエレーン王国。
魔法大国で国民の全てが少なからず魔力を保有しているらしい。大昔に魔族がこの国住んでいたらしく、その恩恵が未だにあるのだとか。
つまりこの国はゲームに似た世界ということは確定した。
マーティナは高い魔力を持っていた気がするので、頑張れば少なくとも序盤で死ぬことは無いかもしれない。
しかし、封印する予定である魔王であるが、全エンドを解放後現れる隠しキャラである。実は友人を魔王が乗っ取っていて、そのことに気づいたヒロインちゃんは葛藤する、と言ったシーンがあった。そこでまた一つ成長するらしい。いや、トラウマものであろう。
ということは、普通の人間で、乗っ取られた体を引き離すことが出来なければ、彼も同時に封印されてしまうのである。
ノーマルで泣く泣く封印してしまった時は、なんともいえない嫌な気持ちを感じたものだ。魔王に乗っ取られたばっかりに、最悪殺されてしまうのだ。
私は魔王の悲しげな表情が忘れられなかった。
ハッピーエンドではなくては魔王を引き離すことが出来なく、なかなか難易度が高かった覚えがある。
けど、今のままでは彼を助けることは出来ない。
私に足りないものは何か。
そう、戦闘力である!
あと、魔王についての情報。
戦闘力がなくては話にならない。すぐ死んでしまう。
どうしたら戦闘力が上がるか。
幸い魔力が多いらしいが、まだ魔法を使えない私は、この日から本を読み漁り始めた。
言わずもがな、魔法と魔王についてである。
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秋晴れの天気のいい日だった。
数週間前から、お母様が風邪を拗らせ寝込んでしまわれた。元々弱っていた体に流行病を患ってしまったことで、悪化させてしまったようだった。
お母様の体に負担をかけては悪いので、私たち子供は面会することが出来なかった。なのでどんな様子かも、お父様やローラなどから聞くことでしか知ることは出来ない。
せめて私が前世で医学に関わる知識があれば、お母様を助けることが出来たのだろうか……。
所詮小さい子供である私には、何もできることはないのだろうか。
落ち込む私に、エド兄様がやってきて言った。
「父様が、窓からなら顔を見せてもいいと仰っていた。ほら、マーティおいで」
手を引かれてお母様のお部屋に面しているお庭に向かう。途中で花を摘んで行った。
「着いたよ、マーティ。あ、母様が気づかれたようだ」
嬉しそうにエド兄様は言うけれど、小さな私は頭一つぶんも飛び出ておらず、全く中を見ることは出来なかった。
「エド兄様。私の背ではお母様に会うことなんて出来ないよ」
悔しくて恨みがましくエド兄様を見上げると、少し思案したあと私の頭に手を置いた。それから、ほらおいで、とこちらに手を伸ばしてきたけれど、さっぱり意味がわからない。
エド兄様は私の後ろに回り込み、脇に手を入れ持ち上げた。
「よいしょ……どうだい? 」
「わあ! ありがとうございます! あっお母様に会えた」
お母様は手を小さく振ってくださった。
記憶の中のお母様よりも、痩せこけていて、顔色も悪い。
もう何日も部屋にこもっているし、とても具合が悪いのかもしれない。それでも私に手を振ってくれた。無理をさせてしまっただろうか。
申し訳なく思って、エド兄様に降ろして貰うよう言った。
「……何も、出来ないのかな」
そう呟くと、またエド兄様は私の頭に手を置いて、ぐちゃぐちゃとかき混ぜるように撫でた。
「僕らが楽しそうにしているのを見ているのが好きなんだって。だから、そんな顔するな」
私は小さく頷いた。顔を上げ、エド兄様を見る。
エド兄様もまた、泣きそうな顔をしていた。
その日から、私は毎日お外で遊ぶことにした。お母様に元気な姿を見せるために。
雨の日はお外には行けないけれど、部屋の中から外を見上げては早く晴れないかと願っていた。




