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産まれた後に、懐かしい暖かさに抱きかかえられた。耳元に、規則正しい心音が聞こえる。
「マーティ。私があなたのお母様よ」
お母様。その呼び方に今は慣れないけれど、これから当たり前になっていくのだろう。
やがて目が開くようになって、初めて家族の顔を認識する。
お母様は、プラチナブロンドのゆるい巻き髪で、灰色みがかかった瞳は長い睫毛で縁取られている。優しそうな柔和な顔立ちの美人さん。
お父様は、赤茶色の髪と瞳で色彩は地味な色合いだけれど、鼻筋の通った整った顔立ちで人の良さそうな笑みが印象的。イケメンですね。
お兄様はお母様と同じプラチナブロンドの髪と、お父様のような赤茶色の瞳だ。可愛らしい男の子で、少しだけお父様に似ているので、成長したらそっくりになるかもしれない。
でもどこかで見たような顔である。どこであったか……。
とにかく、父と母のどちらに似ても美人さんになるだろう、と他人事のように思う。
目が開くようになって知ったことだが、このお家は大層なお金持ちであるようで、沢山のメイドさんや使用人の人達が働いていた。
お母様とは生まれてしばらくして別々の部屋になったようだったが、赤子の部屋であるはずの私の部屋は、装飾が綺麗なタンスや家具が置かれていた。
寝かされているベッドはフカフカだ。
お母様は煌びやかでいて清楚なドレスを身にまとい、お父様もお兄様もジャケットにスラックスを履いていて、まるでいいとこの貴族のようである。いや、貴族なのかもしれない。
ベッドもフカフカだし。そうに違いない。
寝る時はお母様と別だけど、毎日お母様は来てくれた。
お母様は私をよくあやしてくれて、遊んでくれる。そして沢山お話してくれる。お母様のお話はとても楽しいものばかり。
お母様の腕の中は暖かくて、心地よくて。すぐに眠くなってしまう。
腕の中で目を覚まして少しだけ不機嫌になった私に、お母様はいつも優しく笑いかけてくれる。
「どうしたの? 怖い夢でも見たの? 」
違うよ、お母様。私はお母様のお話が聞きたいの。
そう言えたらなんていいものか。
早くお話できるようになりたい。
心の底からそう思った。




