# 最終章 ## 「会社員勇者と、みんなの明日」
# 最終章
## 「会社員勇者と、みんなの明日」
第三世界の城から溢れる光。
それは破壊の光ではなかった。
優しく。
暖かく。
長い冬が終わる朝のような光だった。
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空の亀裂が閉じていく。
崩れていた世界が元に戻る。
現実世界。
異世界。
第三世界。
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三つの世界は消えなかった。
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互いを認め合う形で、
新しい関係を築き始めたのだ。
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ミレイが端末を確認する。
「世界融合率安定」
「境界維持成功」
「奇跡的です」
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美咲が笑う。
「奇跡じゃありません」
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「え?」
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「高橋さんです」
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俺は嫌な予感がした。
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「また俺か」
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「またです」
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ルクレシアが笑う。
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「勇者様らしいじゃない」
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リリアも頷く。
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「はい!」
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なぜか嬉しそうだった。
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その時。
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ゼロが空を見上げる。
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長い間。
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絶望だけを見てきた王。
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その表情は穏やかだった。
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「綺麗だな」
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「そうだな」
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俺も空を見る。
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青空だった。
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それだけなのに、
なんだか特別に見えた。
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終焉の勇者が近づいてくる。
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「これで俺の役目も終わりだ」
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「帰るのか?」
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「ああ」
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彼は笑った。
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「未来は任せた」
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「重いな」
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「お前なら大丈夫だ」
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そう言うと、
もう一人の俺は光になって消えていった。
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少し寂しかった。
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でも。
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嫌な別れじゃなかった。
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## 一か月後
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世界は落ち着きを取り戻していた。
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会社も普通に営業している。
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ただし。
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普通ではない。
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受付にゴブリンがいる。
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経理部にエルフがいる。
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人事部にドラゴンがいる。
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そして営業部には魔王がいる。
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「慣れって怖いな」
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俺はコーヒーを飲んだ。
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そこへリリアが来る。
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「勇者様!」
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「会社では高橋でいい」
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「高橋様!」
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変わってなかった。
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美咲も来る。
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「会議です」
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「また?」
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「またです」
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ルクレシアも来る。
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「勇者様♡」
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「仕事しろ」
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「してるわよ」
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意外と優秀だった。
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そして。
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会議室へ向かおうとした時。
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スマホが鳴る。
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差出人。
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絶望王ゼロ。
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件名。
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**『友達料無料キャンペーン中』**
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俺は吹き出した。
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「何やってんだあいつ」
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すると返信が来る。
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**『今度遊びに行こう』**
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その下には。
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**『給料日は避ける』**
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完全に覚えていた。
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俺は笑う。
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そして返信した。
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**『了解』**
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窓の外には、
現実と異世界が共に存在する世界。
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少し不思議で。
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少し騒がしくて。
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でも。
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悪くない世界だった。
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俺は席を立つ。
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今日も仕事がある。
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明日もたぶん仕事だ。
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それでいい。
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特別な勇者じゃなくても。
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魔王を倒さなくても。
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世界を救わなくても。
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明日を生きることはできる。
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そして。
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その積み重ねが、
誰かの希望になることもある。
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俺はドアを開けた。
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「さて、働くか」
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その言葉と共に、
新しい世界の新しい一日が始まった。
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# 完
**『休日だけ異世界でモテモテなんですが、現実では誰にも相手にされません』**
~END~
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### エピローグ後の一言
数年後――
高橋悠斗は伝説になる。
だが歴史書に書かれた功績は、
魔王討伐でも世界救済でもない。
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**「どんな世界になっても、ちゃんと出社した男」**
だった。




