2 引っ越し
何故か筆が進む……
「よいしょ……これでよし!」
荷物を纏めて、一息つく。
雪菜ちゃんと家族になることが分かってから数日が過ぎた。
学校では、いつも通り雪菜ちゃんにアタックする私だけど、家族になることは、まだ口止めされてるので、頑張って黙ってます!
それで、書類的な手続きはお父さん達がやってくれてて、新居で家族4人で暮らすことが決まりました。
やったね!広いお家だ!
しかも、冷蔵庫も最新のやつを買って貰えそう!
なんか、お義母さんが料理好きらしいから、私と話もあいそうで一緒に料理とかも出来そうで楽しみ!
「むふふ……」
「陽菜……その顔なに?」
初めての行事に心を馳せていると、一通り終わったようで休憩に来たお父さんに怪訝な顔をされる。
「あれ?お父さん、二次元のお嫁さんに別れは告げられたの?」
「いや、別に嫁では……」
「えー、だって、変な穴あいた人間持ってたじゃん!」
「ちょ!それ、絶対お母さんに言うなよ!」
何故に?
まあ、いいけど。
「でも、新居とか裏で色々準備してたのは気が早くない?結婚詐欺だったから、お父さんいいカモだよ?」
「怖いこと言うなよ……というか、紅葉さんはそんな人じゃないから!」
まあ、それは、私も知ってるけど……お父さん、ちょろそうだから凄く心配になるよ。
むしろ、私は再婚の話自体会うまで疑ってたくらいには……まあ、本人には言わないけど。
「陽菜……その残酷な心の声は届いてるよ……」
声に出てたらしい。
へこんでるお父さん。
なんだろう……お父さんの心へし折っても達成感ないなぁ……やっぱり、やるなら美少女だよね!
雪菜ちゃんとか、絶対絵になる!
まあ、本気でやるかは未定だけど……嫌われたくないし。
ただ、合意の上なら、バンバンイジメたい!
何この気持ち……これが恋か……
「あー、まあ、なんだ。紅葉さん……新しいお母さんと前から準備してたんだ」
立ち直ったらしい、お父さんから色々と説明を受ける。
ただ、かなり惚気も含まれてるので9割聞き流しながら、私はココアを飲む。
にしても、新しいお義母さんとラブラブそうで、良かった。
娘が居るから、再婚に乗り気でなかったお父さんをここまでたらし込むお義母さん……まさに、魔性だね。
そんな感じで、準備を進めていると、気がつくとゴールデンウィークに入り……本格的に引っ越しとなった。
「おおー!大きーい!ひろーい!」
一戸建てのマイホーム!
まさか甲斐性が微妙なお父さんがこんな大きい家を買えるとは!
流石二十一世紀だねぇ……
「あなた、お父さんのこと嫌いなの?」
「え?好きだよ?お父さんとして……って、まさか!雪菜ちゃんもお父さんのこと……!」
母親だけでなく娘まで誘惑……真の魔性はお父さんだったか!
「違うわよ。好みじゃないし」
「それもそうだよね〜」
「2人とも……せめて聞こえないところで言ってくれ……」
膝から崩れ落ちるお父さん。
ちょっと言いすぎた……まあ、いいか。
「ほら、中に入りましょう。あなたも」
「……ああ、そうだね」
ほら、お義母さんが少し優しくしたら直ぐに立ち直った。
ちょろ過ぎて本当に心配になるけど……お義母さんも演技とかではなく、お父さんのこと好きなのが分かるくらいにベッタリであった。
雪菜ちゃんは、それを見て呆れていたが……母親の幸せを願ってるのか、私と同じようにスルーしていた。
大人だね!
「じゃあ、雪菜ちゃん!私達の新居へいざ!」
「誤解を招くようなこと言わないの」
そう言いつつも、着いてきてくれる。
なんか、ちょっとお姉ちゃんっぽい。
雪菜ちゃんって、何だかんだ面倒見いいし、ギャップで萌えるね!
そうして、それぞれの自室を決めて、荷解きをしていると、あっという間に夕飯の時間に。
流石に一日では終わらないけど……新しい台所は凄くワクワクする!
「じゃあ、始めようか!」
「ええ、でも、陽菜ちゃんお料理出来るなんて凄いわね」
「えへへ、お母さんが亡くなってから覚えたの!でも、新しいお母さんと一緒に作れるのは楽しみ!」
「そう……」
どこか微笑ましそうに私を見るお義母さん。
「でも、陽菜ちゃんも、雪菜も直ぐに受け入れてくれて良かったわ。時間かかるかもと思ってたから……」
「うーん、その辺はまあ、私も雪菜ちゃんも頑張ってきたお父さんとお義母さんをそれぞれ知ってるから、幸せになって欲しいなぁーって」
「複雑じゃない?」
「まあね。でも、家族が増えたって思う程度だよ」
「ふふ……そうね」
何故か頭を撫でられる。
もう、子供じゃないのに〜!
胸だって、雪菜ちゃんより大きいもん!
って、あれ……なんか、寒気が……
「……誰の何が小さいって?」
ハッ!殺気!
ここだ!
ペシッ。
「痛い……」
オタマを白刃取りしようとして盛大に失敗する。
コツンとそのオタマでじゃれてくるのは、雪菜ちゃん。
意外とお茶目よね。
「雪菜、お手伝いに来たの?」
「飲み物貰いに」
「もう、陽菜ちゃんみたいに手伝う気は?」
「3人も要らないでしょ」
何ともクールにオレンジジュースをコップに注いで去っていく雪菜ちゃん。
その娘の様子に苦笑しているお義母さんだけど……まあ、事実3人も居ても仕方ないか。
私は寂しいしお手伝いしたいから混じるけどね!(ドヤっ)
そうして、初めてのお義母さんと作ったのはハンバーグでした。
というか、お義母さんめっちゃ料理上手くて凄い……お義母さんに比べると、私なんてヒヨコだよ。
よし!私はニワトリになってみせる!
そうして、夕飯は4人で食べたけど、雪菜ちゃんはハンバーグにどことなくご機嫌に見えた。
好物なのかな?
メモメモ……




