ケットシー物語 クロ、故郷に帰る 129
「こいつはここの卒業生でキャメル、お前達の先輩だ」
「おいらはキャメル、よろしく」
軽く頭を下げる。
「こんにちは」
「ちーす」
「先輩?いきなりすぎだろ」
反応はそれぞれ。
「急で驚く奴もいるだろうけどな、お前達の様子を見て手本を見せてくれるそうだ。しっかり見ておけ」
教官は有無を言わさせずに、サクサクと用件を伝えた。
「おいらが手本見せるから、よく見ててね」
キャメルもそれに乗っかって、進める。
スラロームのスタート地点まで歩くと一旦振り返り、
「スラロームのコツは、まず尻尾さ」
おもむろに尻尾を、これ以上ない程に持ち上げて見せた。
「おおっ」
練習生から漏れる響めき。
「じゃあ、いくよ」
キャメルが走り出した。
スラロームを次々とクリアーしていく。
よく見れば、尻尾をただ立てているだけではなく、スラロームに合わせて右に移動させたり、左に移動させたりしているじゃないか。
ただ動かすだけではなく、尻尾を動かすことによって身体の向きすらコントロールしている。
ただ尻尾を柱に当てないだけではなく、走りの一部にまで進化させているのだ。
見事な尻尾捌きを見せて、キャメルは一度も柱に触れることなくスラロームを走り抜けていった。
「うぉぉぉ、凄ぇ!」
「先輩ってあんなに凄いんだ!」
「凄いよ、凄いよ」
後輩達からは賞賛の嵐だった。
「どうだった?」
汗をかきながらキャメルが戻ってくる。
「先輩、流石です」
「参考になりました」
「あの速度で走り抜けれるんですね」
後輩ドラゴン達が、拍手で出迎える。
「コーナーでの尻尾のコントロールが大事だから、しっかり練習してね」
キャメルはアドバイスをして、その場を去る。
「ただいま」
ミケラ達の所に戻ると、
「キャメル凄い」
「キャメル走るの速い」
ミケラとサクラーノが両手を挙げて出迎えてくれる。
「えへへへ、どうだいおいらは」
調子に乗って、胸を張る。
「調子に乗るな!」
速攻で、クロッポに怒られてしまったけれど。
「でもな、これであいつらもスラロームを抜けられるようになるな。よくやったキャメル」
後から誉めるのも忘れない。
「クロッポに誉められると、ちょっと照れ臭い」
少し照れるキャメル。
「らしくないよ」
プラオをがチャチャを入れた。
「だな」
にやっと笑うクロッポ。
「うっさいな・・・次いこ、次」
照れ隠しの為か、キャメルはさっさと次に行こうと歩き出してしまう。
「おいおい、次に行くならお客達を乗せていかないとダメだろ」
クロッポに呼び止められ、
「そうだった」
慌てて戻ってくるキャメル。
「あはははは」
一同から、暖かい笑いが漏れたのだった。
後書きです
「わたし、普通の女の子になります」
「えっと神様ですよね?神様辞めるんですかナナ様?」
「ナナ様、神をお辞めになられるのですか!」
「ミーム、慌てない。騒がない」
「でも、でもですね・・・」
「神の座から降りられるなら降りたいわよ、神も大変なのよ」
「好き勝手にやってる気が・・・」
「そうですわね」
「ちょっとミーム、そこで頷かないでくれる」
「でも、唐突にどうしたんですかナナ様?」
「神様やってるのに疲れてきちゃったのかな?わたしって気を遣うタイプだし」
「・・・」
「・・・」
「なんで二人ともそこで黙っちゃうわけ、わたしって気を遣うタイプだよね?そうだよね?」
「気を使わないというか傍若無人と言うか」
「もう少し、周りの迷惑も考えて頂けると・・・」
「ううっ、グレテやる。グレテやるから」
「ああ、行っちゃった」
「本日はここまで、お読みいただきありがとうございました」
また来週(^^)/~~~
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