ケットシー物語 クロ、故郷に帰る 128
「ああ、見ちゃいられないな」
キャメルがスラロームに苦しむ新人ドラゴン達の様子に、思わずため息を漏らす。
「仕方ないさ、自分であれに気がつかせるのが狙いなんだから」
プラオがそんなキャメルを諫めた。
「と言ってもさ、あの様子じゃ誰も気がつかないぞ」
キャメルはうまく出来ずに、雄叫びを上げ続けるドラゴン達を覚めた目で見た。
「スラロームの肝は、尻尾のコントロールなんだけど。あれじゃいつまでやっても無理だよな」
キャメルはつい、イライラした口調で言ってしまう。
キャメルもプラオもここの卒業出来たから、ドラゴニュート達と一緒に仕事が出来るようになったのだ。
スラロームも当然出来る。
出来るからこそ、練習しているドラゴンのどこがダメかも判ってしまうのだった。
「それもそうだね。それにいつまでも、ミケラちゃんに歌を歌わせているわけにもいかないよね」
ドラゴンの練習が再開してから、ミケラは耳を塞いで歌い続けている。
その声が、だんだん苦しくなってきたように思えたのだ。
「おいら、やっぱ行ってくる」
キャメルはスラロームの方へ走っていった。
「こんちは」
教官のドラゴンに挨拶をする。
「キャメルじゃないか、今日はなんか用か?」
教官が不思議そうな顔で聞く。
「神龍様のお客がここを見たいって言うから、案内してきたんだ」
「神龍様のお客様?あちらの方達がそうかな?」
教官はクロッポの側にいる、ミケラ達の方を見た。
「そうだよ」
「そうかそうか、神龍様のお客様なら大切にせんとな」
教官がニコニコと笑う。
「でもさ」
キャメルが少し言い淀む。
「どうした、お前らしくないな」
いつも陽気なキャメルが言い淀んだりしたので、心配そうに聞いてきた。
「うん、実はさ。お客の中に小さい子がいるんだけど、その子がドラゴンの叫び声が怖いって言うんだ」
ミケラのことだ。
「確かにな、俺たちは聞き慣れているけどな。他所から来た方達には、怖いかもしれん」
教官は腕組みして頷く。
「ボクが見本見せていいかな、そうすれば叫ぶ奴も減るだろうし」
キャメルの提案に、教官は少し考え込む。
「本当は自分で気がついて欲しいんだけど、小さい子が怖がっているなら今回は特別に許可しようじゃないか」
神龍のお客の為と言うことで、特別に許可が下りた。
「おーい、お前達。練習は止めてこっちに集まれ」
教官が、スラロームの練習をしていたドラゴン達を呼び集まる。
「なんですか教官」
「今、いい感じだったのに」
「休みには早いですよね?」
次々と集まってくるドラゴン達。
(Copyright2026-© 入沙界南兎)




