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第4-2話 ポゥとエルの甘いプレゼント

 

 うへへ……ふたりから”プレゼント”をもらい、ニヤニヤしていた僕を凍り付かせた一通の書状……。


 それは”王宮”への出頭命令だった。

 えっ!?

 僕、なんかやっちゃいました!?


 派手に商売しすぎたのかなぁ?


 ***  ***



 街の空気は浮ついており、どこからか甘い臭いが漂ってくる。


 今日は女神バレスタイン様のお祭り……”わくわく商店街”の企画部長として、新しいイベントを企画したのだっ!


 このお祭りでは、女神様にお菓子をお供えして、家内安全を祈る……これは女神様がスイーツ女子であったという言い伝え(だいぶフランクな説明)が元になってるんだけど……それにちなんで恋人同士や夫婦、好きな人に対してお菓子などのプレゼントを贈るイベントにしよう!


 というのが今回の僕の企画である。


 ん?

 ポゥやエルからプレゼント欲しいだけだろって?


 ほ、ほっといてよ! オクテな18歳男子が精一杯考えた作戦なんだから!



 という事で、商店街のそれぞれのお店でも、イベントにちなんだプレゼント用セットを販売している。


「ねぇねぇ、グラス……ウチは”ポーションとエーテルの赤青夫婦セット”を売るってコトでいいの?」


 ポゥが、展示用のサンプルをきれいに飾り付けながら聞いてくる。


 僕たちのお店の売り物はポーション、ハイポーション、エーテル(たまにハイエーテル)だけなので、どんなセットにしようかと皆で考えた結果……。


 青いエーテルと、赤いポーションが男と女っぽいよねという事で、この2つをセット販売することにしたんだ!


「ね、ねえポゥ……そのサンプルを、僕に手渡してくれないかな?」


「? いいよ! はいっ!」


 僕のささやかな要求に、疑問を抱かずサンプルの”夫婦セット”を渡してくれるポゥ……。


「ああ、これだけで幸せ……」


「にひひ……やることが非モテの極致じゃん、グラス……ってトリップしてるし……」


 夢見ごこちの僕は、エルの声も耳に入らない。



「ん~、そうだ……せっかくだし……ちょいちょい、ポゥ、こっちに来て……」


「ほえ? なになに?」


 そのまま5分くらい昇天していた僕は、ポゥとエルがひそひそと何かを相談していることに気づかなかった。


 ***  ***



 積極的に宣伝したことが功を奏したのか、「わくわく商店街のバレスタインイベント」は大盛況だった。


 300センドもするので売れないだろうと思っていた、僕の店の”ポーションとエーテルの赤青夫婦セット”も好調だ。

 冒険者夫婦などが意外に買ってくれるのだ。


 流石にイベントの途中で品切れになるのは企画部長として申し訳ないので、ポゥたちとこっそりバックヤードで()()したくらいだ。


 ……だけどなぜか僕がキッチンに繋がる扉を開けようとすると、「グラスは見ちゃダメ―!」「ったくも~、グラスはえっちなんだからっ♪」


 とふたりに制止されるんだ。


 き、キッチンがえっち……もしかして何かの隠語なのだろうか……聖なる夜……()()()()()()()()()(意味深)とか……ここでありえない妄想にふけるのが非モテドーテーたるゆえんである。


 その後もお客さんは途切れることなく続き、「わくわく商店街のバレスタインイベント」は大盛況のうちに終了するのだった。


 ***  ***



「ふぅ……」


 僕は、打ち上げパーティの喧騒から離れ、ひとり夜空を見上げる。

 ここは商店街のとある建物の屋上。


 屋根のないオープンスペースとなっており、現在は「バレスタインイベント」の打ち上げパーティが盛大に行われていた。


 先ほどまで企画の立案者として、商店街のおっちゃんおばちゃん達に褒められ撫でられまくっていたんだけど……基本恥ずかしがり屋の僕にはムズムズするイベントだった……うう。


 アルコール度数は低いはずだけど、勧められて飲んだシャンパンのせいで頬が熱い。



「えへへ、グラスぅ」


「おっつ~、グラス!」


 背後からかけられた声に、僕は振り返る。


 ピンク色を基調にしたエプロンドレス……仕立て屋のエリーンさん考案のイベント衣装にふたりは着替えていた。



 ……なにこれめっちゃ萌えるんですけど!!



「今日はお疲れ様! はいこれ、あげるっ! ハッピーバレスタイン!」


「これ、欲しいっしょ? アタシたちの手作りだから! はいっ!」


 ふたりが笑顔で手渡してくれたのは、可愛くラッピングされた包み……(そしてデカい!)


「……これは、チョコレート?」


「せいか~い! 女神バレスタインはね、お菓子が大好きなんだけど……特にチョコレートがだいすきなの!」


「にしし……だから女神にチョコレートを添えて祈ると……願いがかなうと言われてるんだぞ?」


 おお、さすがアイテムの精霊……まるで見てきたように、僕が初めて知ることを教えてくれる……いやもしかして、本当に女神に会ったことがあるのかも……。



「と、ゆーことで~! これもわたしからのプレゼント!」


 ちゅっ……


「んじゃ、アタシも!」


 むにっ……



 わわっ!


 ふたりは抱きついてくると、ポゥがキスを、エルがそのちっちゃい手で僕の肩をマッサージしてくれる……あれ、アイテムが出ないぞ?


「えへへっ……いまは”あいてむぱわー”を込めてないから……これは普通のキスっ!」


「へへっ……”生産活動”でいちゃいちゃするだけじゃ、味気ないよね?」


 おおおおお!?

 なにそれ!?


 ふたりとも超かわいいんですけどっ!!


 星空が降る中、愛らしい笑みを浮かべる美少女ふたりに挟まれながら、聖なるお祭りの夜は更けていくのでした。


みなさま、良いバレンタインを!


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皆様の応援が、最高のポーション、エーテルになります!

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