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第3-4話 【パーティ転落サイド】ルード、怪しい魔法使いに付け込まれ、仲間を手に掛ける

 

 おいおいマジかよ……なんとか隙を見つけて逃げないと……。


 ルードの冒険者パーティの頭脳役、武闘家兼シーフのダレルは盛大に焦っていた。


 いま彼らがいるのはS-007迷宮。


 明らかに彼らのレベルでは手の追えない上位迷宮に、ルードのパーティは無謀な挑戦を続けていた。



 ***  ***


 先日の迷宮探索でガード兼戦士のジョンを失ってから、ルードは変わった……いや、()()()()()と言った方が適切か。


 彼らが所属するギルド支部長ブライアンと結託し、不正なアイテムの転売を手掛け始める。


 転売するアイテムが不足すれば、初級パーティに声をかけ、分け前をやるよと上級迷宮に連れ出しては特攻させ、ゲットしたアイテムを横領。


 文句を言う連中は迷宮の奥で抹殺……ギルド支部長ブライアンが、それを事故として処理する。



 これもあの女魔法使いレイラがルードとブライアンに何か垂れ込んでいるからに違いない……いまのところ分け前もらえているし、この俺がターゲットにされることも無いが……どこかでコイツらとは縁を切らなくては……ダレルはそのタイミングを探っていた。


 ちなみに、回復術師のフレッドはこの不正を通報しようとしたため真っ先に消されてしまった。

 馬鹿なヤツだ……こういうのは、損切りするタイミングが重要なのである。


 ***  ***



 利益が最大になるタイミングで、このパーティを脱出するつもりだったのだが……。

(Sランク迷宮に挑むとか、馬鹿かコイツら……!)


 いつものようにBランク迷宮に初級パーティを連れて行く道中、ふっと気が遠くなり……気が付いたらここ、Sランク迷宮の中にいた。


(くそ……あの女魔法使い……レイラに何か盛られたか?)


 魔法使いの使う術の中には、相手を意のままに操るものがあると聞く……しかしこの俺が抵抗すらできないとは……。


 当然のように、連れてきた初級パーティの連中の姿はもうない。

 ルードに盾にされたのだ。


 Sランク迷宮の中でひとり、逃亡するというのも無謀だ……ダレルは先ほどからチャンスをうかがっていた。


「くふふ……ルードぉ……あなたの剣にエンチャントしてあげるね……むちゅっ……」


 レイラがルードを抱き寄せ、濃厚な口づけをかわす。


 ……パァ


 その途端、ルードが持つ魔法剣が妖しく輝く……。


(なんだ? あんな”付与魔法”……見たことが無いが……)


「くくく……こりゃあいい、最高だぜレイラぁ……」



 ズバァ!



「!! なっ!?」


 強化された魔法剣が、迷宮最深部へ続く通路を守る”レッサードラゴン”を真っ二つに切り裂いた。


 いくらレッサー種とはいえ、ドラゴンである。


 ダレルたちのレベルでは、とても一撃で倒せるモンスターではないのだが……。


「……おいダレル……罠を確認してこい……くくく」


 なにかに憑かれたような表情で笑うルードに、ダレルは逃げ出すタイミングを失っていた。


 ***  ***



 なんとかルードが最深部のボスを倒した時、ダレルはまだ生きていた。


 決して小さくないダメージを負っているが、まだ戦闘は可能だ……。


 ダレルは、隠し持っていたハイポーションでひそかにダメージを回復すると、何やら迷宮の宝物を調べているらしい二人の様子をうかがう。


 特にレイラ……状況的に、ルードを操っていると思われるアイツを始末すれば、ルードも正気に戻るかもしれない……過去に培った暗殺者としての技術を総動員し、慎重にタイミングを計るダレル。


「おおっ! あったぞ! これか、レイラ?」


「あはっ……これこれ……やるじゃなぁい、ルード……」


 目的のブツを見つけたのだろう……歓声と共に一瞬警戒が解けた。



 いまだ!



 ダレルは全身のばねを使って跳躍し、レイラの背後を取ると、彼女の心臓をめがけてナイフを突き入れ……な、刺さらない!?


 必殺のタイミングと勢いで放たれたはずの一撃は、レイラの肌10センチ上で魔法障壁に阻まれていた。


 くそ、読まれていた!

 こうなったら逃げるしか……ダレルが一瞬で退却を判断した瞬間……!


「ダァァレェェェス!! てめえ、裏切りやがったなあああああっっ!」



 ザシュッ!!



 激昂したルードが、手に持った魔法剣でダレルを薙ぎ払った!


「ぐはっ! ぐううっ……だがっ!」


 とっさに身をかわしたおかげで、致命傷は避けられた。


 もう一つ持っているハイポーションで回復し、ルードの魔法剣を奪えれば……魔法障壁があってもレイラを倒せるはず……そう考えたダレルはふところから最後のハイポーションを取り出し、握り潰すことで”使った”のだが……。


「回復……しないだと!?」


 とろり……普通なら淡い光と共に傷を癒してくれるはずの、ハイポーションに封じられた回復薬は、何の効果も示さずに迷宮の床に染みを作った。


 まずい!


 敗北を悟ったダレルが最後に見たのは、目前に迫ったルードの魔法剣だった。


 ***  ***



 我を疑っていたパーティメンバーのダレルは、ルードの魔法剣により一刀両断された。


 誘惑魔法が切れたのか、ダレルの残骸と共に血だまりに沈むルードは気絶しているようだ。


 さて、仕事を済ますとしますか……女魔法使いレイラは、迷宮最奥にある祭壇……そこから青いオーブを取り出すと、ニタリと笑う。


 各迷宮に設置された”魔導オーブ”……これが各()()()()()()()()()()()()()()()()()している事など、ほとんどの人間は知らないだろう。


 ぱりん……


 小さな破壊音と共に、粉々に砕ける”魔導オーブ”……。


 これで、このルードとかいう雑魚のレベルで潜れる場所の”魔導オーブ”は破壊したな……次なる宿主を探しに行くか。


 レイラはルードを始末してから、脱出魔法を使いその場を去ろうとしたのだが……ふむ、正気に戻った後に、奴が絶望する様子を見るのも一興だ……。


 彼女は気まぐれに迷宮脱出用のアイテムである”脱出の羽根”を、一つルードのそばに投げると、霧のように姿を消した。



 数時間後、正気に戻り目覚めたルードは、自分のしでかしてしまったことに絶望し、誰もいない迷宮の中で絶叫するのだった。


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