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禁足日

 私の祖母から聞いた話。

 祖母が若く、母が小学生の一時期、一家はある山の麓に住んでいた。

 その山は万葉集にも歌われた名山で、その頃には禁足日があったそうだ。

 ある年の禁足日に、ご近所の頑固なおじさんが山に登ると言いはじめた。

 奥さんや近所の人が止めたのだが「そんなのは迷信だ」と、取り合わない。

 朝早くに家を出たおじさんが、その日の午後、青い顔をして山を下りてきた。

 何かを見たらしいが家族にも何を見たのか話さなかったそうだ。

 その夜、お手洗いで脳卒中の発作をおこし、その後は寝たきりの生活となった。

 祖母は、

「ダメだって言われていることには、やっぱり理由があるのよ」

 と話した。


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