第9話 乙、覚醒
ーーああ、痛いもう嫌だ、なんだよここは。
ドバッと起き頭を抱える。上がってくる血の感覚が残っている。腹部を確認するが血も裂けた身体でもなかった。
幼女サラブレッドが俺に細い針状の武装で何百回も腹部、肩、頭部、顔面を刺しては俺の身体を快感になるまで容赦なく刻み込んで、優越に至るまでループしてくる。冷たい地面から全身に血にまみれる。
「ーーっぐああああああああああ」
白いベットの上だった、見慣れたリコルの残骸の部屋。星牙の部屋だ。
「乙くん起きた、痛みはどこかな」
俺は身体を凝視するが、痛い感覚は何もない。
「、、どこも、、なんで、、俺」
「セレスティアルは死ねないんだ」
「はあ?」
「乙くんはフェンドとヴァルエイターから殺されるように機関ごと動いている。ここからは死との戦いだよ」
「先に言えよ!!お前この結末を分かって」
星牙に飛びかかり、鋭い緑目を見て項垂れる。
はあ?まだまだこんな痛みが続くのかよ。ありえねえだろ、、
「俺が必ず守るって言ったよね、警察内部にヴァルエイターがいた」
「あの幼女か。俺を、、」
「あいつはサラブレッドって言って快楽のまま虐殺するヴァルエイターだよ」
このまま行ったらまた、虐殺される。
嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、、
「、、、俺なんでセレスティアルなんだ」
星牙は冷たい空気を飲み込んだ。ゴクリと音がなり静寂がピンと鳴る。
「、、、、俺はなんにも悪いことしてない、フェンドのために人間をリコルにした。それだけだ。お前らに痛みと引き換えに食料付与して生存させてやってんだ!!俺が何したってんだ、むしろ崇拝しろ、俺が、俺が千切ってやるよ、フェンドを殺してやる」
言ってしまった。内心は思うまま、吐き出したがただぐちゃぐちゃだった。
「やっぱり乙くんは僕のセレスティアルだよ
フェンドを犯す方法をたっぷり教えるね」
それじゃサラブレットに会うしかないよね!っとウインクして言ってくるのは星牙の特徴なのだろう。
ーーー怖い、また再会するのか、もう再開じゃない、快楽のまま殺されにいくという自殺行為だ。
「サラブレットは快楽の魔獣だよ。今は警察内部に準服している。快感をお手玉にしてさらにもっとおもちゃを増やして躾を始める。
快楽に勝つものは快楽以上のものをこちらが提示しないとならない。乙くん、サラブレットには僕の快楽を乗せるから任せてね」
ーー警察署内部。管理倉庫に俺たちは通された。
サラブレッドが大量の資料を読んでいる。
「いんインイン!!なんだ消えたんじゃなかったのか!!いんいんいん!!!」
「再び舞い上がってきたぜサラブレット、興奮してるのか?」
星牙は自身の精霊を呼び込むために、興奮状態を作ることに集中する。サラブレットはこの事象を完全にごっくんと丸呑みして、笑いの制御が止まらなくなっている。
星牙の腕と脚に精霊の紋様が浮かび興奮を煽る。
「精霊憑依拳」
内側から爆ぜる。サラブレッドを的確に打撃のたびに空間が歪む。肉弾戦だけど、実態は精霊砲撃を打っている。
「があああああああああああ」
「サラブレットわかるよなああ!!乙くんを傷つけたってことは快楽をもっと燦々とおおおお!!与えてやるよ」
「あっはははははあああ!!!快感で跪くがいいいんんん!!!《プレジャー・コード》」
サラブレットは星牙に生体エネルギーで形成された見えない鞭で、打ちひしがれる。
「はああああ!!!ありふれてる!!ありふれているよおおおお!!!まだ身体がある!!君には何一つ必要ないいいんんん!!」
「お前の望みは快楽だろ?一生吐き出してろよ」
星牙は精霊降臨刃《シグマ=クレイド》背後の半実体の刃を抜き、黒い精霊を大量に吐き出し、サラブレッドを襲う。サラブレッドは快楽を機転に拘束縄ごと星牙の両腕を切り落とす。
「ひゃあああああああああううううう」
「ーーっっ星牙!!!」
この声聞いたことがある。人間をリコルにする瞬間快楽で、すみずみまで堪能していた、俺だ。
同じだ、、同じだったのか、、
星牙は両腕が捥がれても、俺の所に引きずってくる。一つだけ違う。俺に寄生虫のように死んでも生を約束してくれるやつがいる。誰のものでもない俺だけの星牙だ。
血を流すことで興奮するのを知っていたため、星牙はわざと大量の血を出し、血まみれの中での対話は恐ろしい。
「はああああたまらないね、、、ぜんっぜん可愛くない、、可愛いいいいいいいんいんん!!!!脳間」
サラブレットが双子になった瞬間にサラブレットの空間内に入った。
ここは星牙の脳内だろうか、欲望やトラウマ、
恐怖の記憶を再生させる全体が黒に包まれていて見えない。星牙の背後から、サラブレッドの手が貫通している。
「可愛くないいいいいいいいいいんんんんんんいいいいいんんん!!!!」
「ーーーぐはっ!!!」
血が足りない。乙くんに手を伸ばそうとするがどこにもいない、意識が、、できない、、
サラブレッドは見えない鞭で乙の背後から何百回も仕返しの様に打ち込む。
「はああああ!!もういいいいいんんんん可愛いんんんんん」
「、、きつい、、きついきついきついってえええええええ!!!!ぐちゃぐちゃにしてやる、、、あああああああああああああああなんで俺しかいないんだ。なんでええ俺がセレスティアルなんだよ!!!」
時が止まる、乙は感じる、神々しい何かが近づいてくる。乙の全身から精霊術が発して、関節・筋肉・神経が精霊側に上書きされる。
神域反射結界が全解放され
乙の周囲に薄く展開される不可視の膜ができる。物理的物質、快楽干渉を拒否する。
その力はまるでこの世のものとは思えないほど、乙の身体は精霊によって可憐に動き、目の前のサラブレットを粉々にした。
乙の精神はルミナ・セレスティアと統合する。赤ちゃんを育てるようにサラブレットに触れると爆せた。
「、、あぁ、、覚醒したんだね。ルミナ・セレスティアと。大天使乙くん」




