第10話 欲望の残虐
TWIST! ねじれてく運命ごと
壊れたいほど輝いていたい
嘘でもいいから抱きしめて
この世界の好きを独り占めしたい
TWIST!声が擦り切れても
本物なんていらない
君が見てくれるなら
吐き出す事で何もかも安全にいた。音楽は精神行為で、僕の快楽行動と近づいてくる、食料捕獲のためだった。
――乙くん9歳。
俺の妹は身体が弱かった。普段からずっと家で療養生活を送っていた。学校から家に帰ると、乙葉が待っている。
「お兄ちゃん、何してたの?乙葉ずっと待ってたんだよ」
「ごめんね、乙葉」
学校から帰ると、乙葉と絵を描いたり、ゲームをしたり、ご飯を作ったり、家事は全て俺がやっていた。
もちろん家庭は崩壊していて、親は基本帰ってこない家庭だったから妹の面倒は俺が見ていた。
「ねえ、お兄ちゃん、私が死んだらどこに行くのかな」
「またそんな事言うなよ」
「私は、身体たくさん動いて、お外で遊んでみたいな」
「そうだな」
「ねえ…お兄ちゃん、お兄ちゃんの身体欲しいな」
俺は何も言えなかった。何もできない代わりに、乙葉の欲はどんどん増していった。
「お兄ちゃん、なんで私の事優先してくれないの」
「もう乙葉の事、嫌いなんだね」
「もういいや、お兄ちゃんなんて大嫌い」
***
「乙葉、乙葉!!」
学校から帰ると、乙葉が固まって、動かなくなっていた。欲望が膨らんで、リコル化してしまった。
もう疲れた、妹が死んだんだぞ、こんな時に母と父はどこにいるんだ。なんでこんな事態に一緒にいないんだよ。
くそ、くそが、憎い、憎い。
無慈悲に扱う奴らを、殺したくて仕方ない。
この気持ちが勝手にリコルという異生物に変貌して、ある日、俺はスーパーに陳列された。
――星牙、15歳。
「お前さ、もう一人でやっていけるだろ、じゃあな」
兄が亡くなってから母は酒と男にまみれていた。僕が高校1年生の時に母は突然出ていった。
意味がわからなかった。本当に帰ってくる事もなく、生活が大変だった。そうか、僕は捨てられたんだ。
「星牙アイドルだし、自由で最高じゃん」
家には同中の男子と女子といつも溜まり場になっていた。
「てかさー星牙、ギター始めたの」
「それ兄の」
「星牙、兄貴いたっけ」
「あーなんか出ていったけど」
嘘をつくのは簡単で、適当に話していた。
「星牙が音楽なんてやってるのみたことないよね」
「やってるの見せてよ」
「つむつむ、詰んでるから」
「えー俺触っていい」
「勝手にしろ」
同中の柏木健太がレイブのギターを触っている。
健太が押さえているマイナーに手を合わせて、移動させる。
「違う、ここはこうだろ」
「星牙、やっぱやってたんじゃん」
うそだろ、甘い匂い、そんなことあるわけない。
健太は無邪気でこっち見てくる。健太はリコルなのかな、この笑顔だけは守りたいけど、身体中が疼いて仕方ない。
この時から何もかもが壊れて、なくなった。
健太を喰ってしまった。大切な僕の友達だった。
どうでもいっか。あの匂いを嗅いでいるとふらふらしてくる。
スーパーで甘く血肉の匂いが漂っていて、無性に沸く。早く、僕のものにしたい。
「乙くんは、僕の側にいてね」
お願い、奪わないで、この子だけは僕のものだ。




