72 いざ、ラスカール王国へ向けて出発!
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「むう、カナエには敵わんな」
「もっともーっと好きになってくれていいんですよ?」
「君も俺の事をもっともっと好きになってくれると嬉しい」
「ええ、そうさせて頂きますね?」
そう言って頬にチュッとキスをされ、俺もカナエの頬にキスをして、お互い唇を寄せ合いキスをすると微笑み合ってから元の拠点へと戻り、その後はニノの手伝いに走り回った一日だった。
そして翌朝――、ついにラスカール王国へ向けてキャンピングカーを走らせた。
元オスカールを出る時よりは時間は掛からないだろうが、朝ディア様にラスカール王国へ行く事も報告して来たし、拠点を作り、店を建てストレリチア村の作物を売る事についても話しをしている。
文官たちは起きたばかりで大変そうだったが、ここからキャンピングカーでもそれなりの日数が掛かる。二泊三日くらいだろうか。
朝ご飯を食べてくる暇はあったので皆には軽く説明したし、仕事の方は問題ないと思うが――。
「先生、隣良い?」
「うむ、構わないぞ。気を付けてな」
そう言って拠点から入ってきたのは愛しい恋人のカナエだ。
カナエは隣の助手席に座ると俺にチョコを食べさせてくれつつ会話をする。
「オスカール王国の時は絶対帰らないって思ってたけど、王様が替わって、国が変われば行けるようになるのね」
「そうだな、ある意味水野の犠牲のお陰ともいえるが」
「水野ねぇ……本当に死んだのかしら?」
「どういう事だ?」
「『遺体を持ち帰った』って話を聞かないじゃない。菊池も死んだ事にされたし」
「確かに……」
「前の王の時だからなんだかキナ臭くて」
「商業ギルドとラスカール王にそれとなく聞いてみるよ」
「ええ」
確かに遺体があったとしたら持ち帰る筈だ。
だが死んだとしか俺達は聞いていない。それでは信憑性に欠ける気がする。
もし生きていても助ける気はないし、一緒に生きて行こうとも言えないが。
何かしら助かって生きていればそれでいいのだが。
「まぁ考えても仕方ない。まずは俺達もやる事をやらないとな」
「そうね、食糧事情は何とかしたいし、衛生面もね」
「そこは大事だ。うちの皆も手洗いとうがいを徹底させているから風邪とかは掛かりにくいからな」
「恐ろしいのは病気よね」
「ペストなんて流行ったらアッという間だ。鑑定で病名がわかっても医者でもない俺達がネットスーパーで治療薬なんて難しいだろうからな…」
「確かに」
「この世界にあるかどうかは分からないし、俺達の知らない病気もあるかも知れない。出来る事はしておこう」
「ええ」
そんな話もしながら、やはり二人だけで過ごしたいと言うカナエの為に二人用の家を使う事を考え、道中は違う所に泊まるというのをカナエに伝えてきて貰い、少しだけ顔がニヤケてしまう。
恋人同士らしいことが出来るのは凄く嬉しいのだが、暴走だけはしないようにしないとな。
「言ってきたわ。ロスターナさんから仲良くね~って」
「ロスターナはどこまでわかってるんだか」
「不思議な人よね、でも私は結構好きよ? 年上のお姉様って感じで」
「ははははは!」
そう笑いながらも車は進み、昼時は車の中でネットスーパーから食べたい物を購入。
俺はカルビ弁当が食べたかったし、カナエは甘いドーナッツ系が食べたかったらしい。
飲み物も俺はお茶と珈琲を、カナエはカフェオレを購入して食べた。
その後も食べ終わって少し休憩したら運転に戻り、カナエも隣に座ってシートベルトを着けてから車を走らせる。
「前来た時も二泊三日くらいだったかしら」
「そうだな、でもあの時は国境までは急いだがその後はゆっくり目だったからな。今回は結構飛ばしている」
「一泊二日くらい?」
「それくらいかもしれないな。急がないとストレリチア村の最初の頃みたいになっていたらと思うと気が急いてな」
「ああ、子供達も皆ガリガリだったものね……」
「子供が飢えるのは精神的に良くない」
「先生子供には甘いものね。うちの従業員の子供達にも甘いし」
「それは否定しない。ただ、成人するまではあの子たちの面倒を見ないとなって思って奴隷にしたし、うちにいるというのならやっぱりな。成人するまで面倒見てやるのが親代わりだろう?」
「私、アツシさんのそう言う所大好き」
「そうか、ありがとう!」
思わずカナエに大好きと言われて顔が赤くなったが、俺としては当たり前のことをしているだけだし、奴隷を買うと言っても結局子供ならば解放して上げたいと思うのだ。
犯罪を犯した訳でもないのに奴隷に落とされる子供がいるのは気に入らない。
「しかし、国に提出する書類の計算は疲れるな」
「ああ、経理係でもいればいいんだけどね」
「そうだな、仕入れ値とかは出さないにしても売り上げを毎回纏めて出すだけでも目が疲れる……」
「確かに。先生目が疲れてたものね」
「俺は歴史科の教師で数字にはそこまで強くないんだよ」
「あはははは! 確かにね~」
「その内計算に強い人を雇いたい所だな」
「そうね、でも経理だけなら商業ギルドから借りることもできるんじゃない?」
「それもそうか、担当者を決めてもらえばいいか」
「うん」
「リウスさんに相談しよう」
「それがいいと思うわ」
こうして店の事や皆の事を語り合いながらキャンピングカーは進み、夜になる前にカナエは二人の家に向かって軽く掃除したり料理を作って来るらしい。
それまでは一人でキャンピングカーを走らせる訳だが、道中冒険者も度々見ることがあった。
皆驚いていたが車はまだまだ進み、人気のない森の方で停車させるとエンジンを切り、俺も車の中から移動して二人だけの家に戻る。
「ただいま」
「お帰りなさい」
「手を洗って来る。今日はステーキか!」
「折角二人だけだし、豪華にね?」
「そりゃいいな!」
「ポンドステーキにご飯に野菜スープよ!」
「しっかり食べて力付けないとな!」
そう言うと手と顔を洗いうがいもしてからリビングに向かい、丁度テーブルに出している所で手伝う事になった。
ポンドステーキも食べやすいようにカットしてあって、中々に豪勢だ!
「うまい!!」
「やっぱ和牛よねぇ」
「そう言えば子供達にはまだステーキ食べさせてないよな」
「一枚で足りると思う?」
「足りないな」
獣人族は肉が大好きだ。
ステーキを出したくても出せないというのは確かにある。
出せても鶏肉や牛肉に豚肉、唐揚げにソーセージ、後はハンバーグが多い。
特にテリーは野菜がやはり苦手なようで、毎回食べさせるのにテリアが苦労していた。
そこにステーキを出せば大変な事になるのは目に見えているので出せないのだ。
「子供達も好き嫌いはあるからなぁ」
「そうねぇ」
「ダグラスもナスは嫌いだし」
「食感が嫌いって言ってたわ」
「エリーナさんはトマトが苦手だ」
「トマトの皮が駄目なんですって」
「食事は一筋縄にはいかんな」
「そうね」
日頃食事を用意してくれるテリアとロスターナに感謝しつつ俺達はシッカリ美味しい物を食べ、俺も洗い物を手伝い、二人で食後の珈琲を飲みつつお風呂を入れてから一緒に入り、夜は熱い夜を過ごした。
そして翌朝、カナエはもう起きていた様で朝ごはんの匂いがする。
服を着て顔を洗い歯磨きをして髭を整え、髪も整えてから着替えを済ませ、今日の夜前にはラスカール王国だ。
もう一泊此処でするかもしれないと告げるとカナエは嬉しそうにしていたが、やはり二人だけの時間が少なかったのだと反省する。
朝は軽めにチーズを乗せたパンにコーンスープ、レトルトだがこれもうまい。
それに昨夜の事もあるから身体も辛いのだろう。
手抜きできる時はドンドンして欲しいと思う。
「朝、ちょっと寝坊しちゃって」
「楽が出来る時は楽をしていいんだ。ここでは二人きりだろ?」
「アツシさん……」
「それでカナエを嫌いになったりしない」
「ありがとう!! もー大好き!!」
「俺も大好きだ!」
こうして大声でイチャイチャできるのも二人だけの家だからこそだ。
子供たちの前ではとてもじゃないが出来ない。
こうして食べ終わって珈琲タイムを過ごしてから洗い物をし、二人でキャンピングカーに乗り込み車を走らせる。
「後半日くらいで着くか着かないかだな」
「結構飛ばしてきたのね」
「馬車より車は早いからな」
「確かにそれは言えてるわ」
「ラスカール王国に入っても急いで拠点だけ作って二人で過ごそう。その前に王様への謁見とか街を見て回るとかはあるが」
「夜だけは二人きりにしてくれるのよね?」
「ラスカール王国にいる間、必要な連絡事項はするが二人だけのあの家で過ごそう」
「嬉しいわ」
嬉しそうに語るカナエに俺も気合を入れて車を走らせ、まだ日が高いうちにラスカール王国の王都の門前に到着した。
キャンピングカーから降りると兵士たちが慌てて出てきたが、俺が車を消すとギョッとした目で見ていた。
「ノスタルミア王国の女王陛下とラスカール王に依頼されてきたストレリチアのアツシと申します。陛下が帰国されていれば謁見を申し出たい」
「陛下に!? 直ぐに確認します。暫くお待ち下さい。」
「「お願いします」」
暫くすると城ではなく商業ギルドに向かって欲しいとの事で、俺達は歩きながら街並みを見つつ商業ギルドを目指した。
さて、この国は今どんな状態だろうか――。
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