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孤島奮起  作者: つふら
ドワーフとアンドロイドと馬があらわれた
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45/126

増える仲間、増える食料、増える資源、増える悩み


「で、シャインは山賊から逃げる途中、崖から落ちた。気がついたらここにいたと。」


シャインの顔を見ると真剣な目付きで頷く。彼女はまだ、山賊から逃げてる途中の山の中だと思っていたそうだ。ドワーフ村の出身というシャイン。もしかしたらルルとおなし世界かもしれない。


「ハナはシャットダウンされてる最中に、ここに来たと。」

ハナも頷く。


ハナも頷く。表情は読めない。なんせ話を聞く限りでは俺のいた世界よりも遠い未来から来たアンドロイドらしいから。見た目はまるっきり銀髪のヨーロッパ系民族だ。


2人の話を一通り聞き、俺も自分の話をした。死にそうになって、気がついたらここにいたこと。ルルやレビルさんが現れたこと。生きるために色々なものを作ってること。


2人は、最初は信じられないって、顔をしていた。だけど、お互いの言語が通じる事、高台の拠点をその目で確認した事、実際に作業を終えて戻ってきたレビルさんやルルと会い、実際に、話してみた事で、少しは信じてくれてきているみたいだった。


「僕、親父の所には帰れないのか?」


シャインが不安そうな顔で俺に尋ねる。俺だってわからない。だから、俺達が遂行している計画のことを説明した。この場所を探索するために、保存食を作っていることや、家を建てていることを。


ハナは冷静に聞いてくる。


「元の世界に帰ることが出来る確率はどのくらいですか?」


正直に『わからない』と、俺は答えた。だって、わからないもん。


わからないからこそ生きるために、こうやって俺達3人が自分達の出来ることをしている、と伝えた。


シャインとハナの表情が曇る。何を考えていいのかすらわからない、そんな表情をしていた。


「2人で生きていくのであれば、少しなら水や食料がいるなら分けることは出来る。だから、2人で少し話し合ってみたらどうかな?俺達ここで寝起きしてるんだけど、2人はどうする?」


「私達は河原の馬車の近くでひとまず休もうと思います。そこで今後の話を検討しようと思います。」


そう、ハナが毅然と答えた。


「構わない。でも、何か困ったことがあったら出来る限りの協力はするから、頼ってほしい。」


と、俺は告げた。


手伝ってほしいなんて、無理強いできない。だから、俺は2人の意思に任せることにしたんだ。


ルルもレビルさんも俺の意見に納得してくれた。


「たまたま拙者達はタケル殿と出会え、こうして協力し合っている。しかし、彼女達は価値観も考え方も違うであろう。拙者はタケル殿の考えでよいと思うぞ。」


「私もよ。私は自分の意思でタケルといるの。だから、彼女達のことは、彼女達自身が決めることだわ。」


ありがとう。あとは彼女達の決断に委ねよう。


夕飯も誘ったのだけど、夜になっても2人は現れなかった。








9/2


朝、川に水を汲みに行く。馬車はまだ河原にある。まだ今後を決めかねているのだろうか。


俺はいつも通り朝食の準備を始める。


ルルもいつ通り猪を仕留めてくる。


ダイヤ達・・・今日はハズレだったようだ。しょんぼりしてる。こいつらも昨夜は緊張して余り眠れなかったんだろ。気にするなと4匹とも分け隔てなく撫でてやる。


朝食に誘ってみようか。いや、余計に気を遣わせるかもしれない。一応、彼女達の分、多めに用意だけはしておこう。来なくてもレビルさんがペロッと食べてくれるだろうし。


俺は猪肉を竹串に刺し、焚き火の周りに並べていく。魚の干物は細かく千切ってスープにした。それと、焼きバナナ。炭水化物を食べたいけど、米も尽きてしまった。


「いただきます。」


3人と4匹で朝御飯を食べ始めた。


すると、シャインとハナが拠点に現れた。


こらこら、ダイヤとルビーよ。腸を咥えながら威嚇してもカッコ悪いからやめときなさいよ。誰もとらないから。


サファイアは食べ物に夢中にならず、少しくらい威嚇行為をしておくれ。



「タケルさん、朝御飯をシャインに分けていただけますか?」


「もちろん。シャイン、おいで。」


シャインはなかなかハナの側から離れようとしない。でも、シャインの目は猪肉を凝視している。


「ハナも座って。シャインもその方が安心して食べれるみたいだから。」


「そうですね。」


ハナが俺の隣に腰かけると、シャインも続いて座り込む。ほいっと、シャインに猪肉の竹串焼きとスープを渡す。


「・・・ありがと。」


食べ始めた。肉があれよとなくなっていく。余程お腹がすいてたんだろう。多めに作っておいて良かった。ルルもそんなシャインの食べっぷりをみて、シャインの前に焼きバナナを置く。優しいとこあんじゃん。レビルさんは負けじと肉にかぶりつく。


「ハナは・・・・なにを食べれるの?」


「私は摂食によるエネルギー摂取が出来ないタイプなので、食べることがことが出来ません。お構い無く。」


「えーと、充電・・・・はどうするの?」


俺とレビルさんは科学の知識があるけど、ルルとシャインは『?』という表情。精霊翻訳で一体どのように訳されてるのか興味あるな。後で聞いてみよう。


「太陽光です。私の表在皮膚にソーラーパネルが内蔵されていて、そこから蓄電されます。」


「いやはや凄い技術であるな。拙者の国にもアンドロイドはおったが、ここまで精巧ではなかったぞ。まさに最新技術であるな。」


「そんな事ありませんわ。その証拠に私は買い換えの為、シャットダウンされそうになり、ここにいるんですもの。」


フフっとハナが笑う。


「・・・・であったな。すまない。」


そうだな、今のはデリカシーのない発言だったぞレビルさん。俺も危うく言いそうになったけど。


「で、2人で話し合ったの?」


話題を返る。そうしないとレビルさんが切腹でもしそうな雰囲気だったから。今、腹を切られるわけにはいかない。


「はい。」


ハナとシャインはお互い顔を見合わせて、お互い頷く。


「私達もここの仲間にいれていただきたいです。このまま2人でいるより、皆さんといた方がシャインを元の国に戻す確率が高いと判断しました。お願いできますか?」


『シャインを元の国に戻してあげたい』ってのはよくわかった。けど『ハナ』は、戻りたくないのかもしれない。そんな口振りだった。


「シャインもそれでいいの?」


咀嚼している食べ物をゴクンと、飲み込み、シャインは俺と目を合わせる。


「うん。僕は村に帰りたい。親父に会いたい。だから、ここで少しでも生きる方法を選ぶ。だから、頼む。」


そういって両腕を胸の前でクロスする。ドワーフ流の挨拶なのかな?


「ルル、レビルさん、いいかい?」


「勿論よ。よろしくね。」


「お二人とも、よろしくお頼み申す。」


9/2、ここに来ておよそ三ヶ月。最初は1人だったけど、今日で5人と4匹になった。



「じゃ、現状の確認と今後の計画について少し練り直そうか。」


朝食後の片付けを終え、俺達は竹茶を飲みながらモーニングミーティングを再開した。


シャインが乗ってきた荷馬車。

中には植物の種や小麦、調味料などがあるそうだ。量や正確な内容は馬車に戻らないとわからないそうだが、種があるのは嬉しい。少し分けてもらえないかとシャインに尋ねると、少しと言わず全部使って構わないとの事。後でみんなで確認しに行こう。


ハナは何も持っていなかった。持っていなかったけど、その存在自体がレアスキル。ネットに繋ぐことは出来ないけど、その脳内(システム)に色んな知識が入っているらしい。音の解析や物の分析なんかも出来るらしい。食せない物の分析が出来るのは嬉しい。エメラルドの負担が少し減らすことが出来るぞ。


話し合いの結果、俺達の今日のスケジュールはこうだ。午前、俺とレビルさん、シャイン、エメラルドは海へ。ルルとハナは薬草散策。ダイヤとルビーとサファイアはまた遠出し獲物狩り。


よし、じゃあ今日一日、怪我なく頑張ろう。俺達は各々の役割に取りかかった。




海。


レビルさんは張り切って突きまくってる。


「人数が増えたからな。もっと捕らねばならない。」


下処理するのは俺なんでほどほどでお願いします。レビルさん用に一斗缶位あるかなり大きい籠を作って渡しているのだが、この調子だとすぐに満杯になりそうだ。


俺とシャインとエメラルドは潮の引いた岩場で貝の収集。貝、湯がいた後で干すと保存食になることがわかった。それからは積極的に集めている。


シャインの方は・・・、とった貝をエメラルドに確認し、許可が出たものをエコバッグにいれていく。生きた貝を見たことがないらしく、おっかなびっくり採取している姿は可愛らしかった。俺は大分食べれるものと食べれないものの区別がつくようになってきた。それでもエメラルドがいないと不安だよ。


エコバッグいっぱいに貝を捕り、レビルさんのいる海辺へ戻る。籠から魚が溢れていた。


俺は急いで片っ端から血抜き、内臓処理を始める。早くしないと痛んじゃうし、味も落ちる。


以外とシャインのナイフ捌きはうまかった。親父さんとよく川魚を捕りに行っていたそうだ。シャインが親父さんにもらった護身用のナイフで次々捌いていく。これならシャインに任せても大丈夫だろう。ある程度処理をした後、俺はバナナとパパイアを採りに行った。


海組の結果


海魚が21匹、貝がエコバッグいっぱい。バナナ3房、パパイア5個。充分だ。


拠点に戻るとルルとハナは既に帰宅し、加工作業を始めていた。いつもよりも倍の量と種類が短時間で採取出来たとルルは大喜びだ。


やっぱり、人手がいると効率がいい。魚の下処理も随分と早く終わった。いつもかかる半分位の時間で午前の仕事をそれぞれ終わらすことが出来た。


その空いた時間で食材加工を皆ですることにした。2人増えるだけで早い早い。分業が出来るのはなんて効率がいいんだ。


少し早めの昼食をとる。鯛の香草焼き、鰹の塩焼き、パパイアと干し鹿肉蒸し、貝出汁のスープ、ブルーベリーと野イチゴとバナナの酸味果汁かけ。デザートもつけてしまった。


旨い旨いとシャインは喜んで食べている。よかった。





午後、皆で馬車を荷物を確認しに行った。昨日、皿を焼いていた焚き火の近くに馬車を停めていた。あ、皿は見事に割れました。7回目の失敗でしたよ。馬は近くの木に括ってある。木の桶から水を飲んだり、草を食べたりのびのびしている。


「ふむ、馬小屋が必要であるな。」


レビルさんは作る気満々だ。


で、肝心の荷物だ。


荷馬車の中には、町で手に入れた食料・種・衣服・薬、売れ残った鉱石・工芸品・武器があるとシャインは言った。目録があったそうだが、ガジェットという死んでしまった従兄弟が持っていたそうだ。


シャインによると、村の人口は大体100人くらい。鉱物はよく取れるが、村人全員を賄えるほどの食料は育確保できず、月に1回、食料等を買い出しに出ていたそうだ。


まず食料。

小麦・大麦・赤い豆・黒い豆・白い豆・緑の豆・サトウキビみたいな茎・ソバの実のような茶色い実。あとは、見たこともない野菜達。俺が知っている野菜とはちょっと違う。赤いジャガイモ・緑の人参・赤いカボチャ・緑のナス・キャベツと白菜の混ざったような野菜・スイカのように丸く大きい大根。これがそれぞれ大きな麻袋に入っていた。一袋5kg位だろうか。あと、木樽の中に蒸留酒と葡萄酒。俺とレビルさん、大喜び。大切に飲もう。


次に種。

これはそれぞれ10種類、500gくらいの麻袋に入っていた。なんの種かはシャインもわからないそうだ。食べ物だと嬉しい。育ててみよう。


衣服。

これは麻布で作られた上着とズボンとワンピースだった。それぞれ5着ずつ。シャインによると俺達の国でいう成人式用の一張羅らしい。俺達は入るけど、レビルさんは無理だな。


薬。

これもシャインはよくわからないそうだ。200gくらいの麻袋に3種類ほど入っていた。ルルに見せると、


「あー、これ整腸薬と頭痛薬、あとは胃薬の材料ね。でもどれもこのままじゃ使えないから、調合する必要あるけど。」


おぉ、ルルの国にも整腸剤があるんだな。あとで俺の持っている救急セットの中の薬も見せてみるか。今までは文化が違うからと遠慮していたんだけど。


次に売れ残ったという工芸品。

陶器の壺が2つ、鉄の鍋が2つ。どれもビッグサイズ。


おぉぉぉ、嬉しい。陶器の壺は俺がすっぽり隠れるくらいのデカさ。鉄鍋は巨大な中華鍋そのもの。1mはあるな。因みに売れ残った理由はどちらとも『大き過ぎる』。シャイン曰く、町の需要は『小型で使いやすい物』なのだが、ドワーフ職人の中には『大きい物こそ正義』と考えている人もいるらしく、時々このような大きな商品を作って売っているそうだ。ありがとう、ドワーフの職人さん達。


売れ残った鉱石。

これは鉄鉱石というらしい。某ゲームで地面を掘っていたら出てくるアレか。実物を見たのは初めてだ。売れ残った理由は、町での需要があまりなかったそうだ。戦争前には飛ぶように高値で売れるそうだ。大きな麻袋ひとつ分残っている。


そして武器。

小さなナイフ一本と中型斧。これは売れ残ったのではなく、シャインの従兄弟がこっそりネコババしようとしていたそうだ。


これが荷馬車の荷物全て。


あとはシャインの私物のナイフやコップ、馬の水飲み用の木桶、馬を繋ぐロープ、売り上げの銅貨がわずか・・・こんな所か。


「今回はそんなに大物取引じゃなかったから。」


「いやいや、十分色々あるよ。問題は収納、馬小屋・・・・種があるなら畑も作りたい。それに折角野菜や豆も手に入ったから、定期的に手に入る仕組みも整えたいし・・・。」


「そうね、それに2人が寝る場所も作らないと・・・。」


拠点は今、保存食で溢れている。2人の寝床を確保するスペースはない。新しく作るか。


「材料保存庫と食糧保管庫の外観は完成しておる。これからすぐに拙者が急いで棚を作る故、そこに拠点とこの馬車の荷物を移すのはいかがか。」


「まずはそうするか。じゃあレビルさんは棚作りを、俺達は荷物移動をしよう。」


俺達は手分けをして、荷物を運び始めた。


旧拠点と新拠点の間の川には、レビルさんが橋を架けてくれた。そのお陰で行き来は大分楽になった。


レビルさんが建てている新拠点は屋根以外、外見は殆ど完成している。見事なもんだ。この間、中を見せてもらったけど、あのミニチュアログハウスと寸分違わず作られていることに驚いた。レンガはやっぱり作れなかったけど、石を重ねて粘土で隙間を埋めて、暖炉の煙突も作ってしまった。窓には以前に宣言していた通り木の窓、それに簾のカーテンを設置した。


その拠点の横に、食料保管倉庫と資源保管庫が建っている。レビルさんが作った棚に次々と食料が入った籠を置いていく。置く場所はルル司令官の采配である。食料系と資源系の分け、運び入れる。4人いればあっという間、1時間くらいで運び終わった。


10分ほどで棚を作り終えてしまったレビルさんは、馬小屋を作っていた。


「床を作らなくて良い分、丸太だけで作れるから楽に作れる。どれ、すぐ作ってやるからな。遊び場も作ってやるから待っているのだぞ。」


レビルさんは馬好きらしい。顔をベロンベロン舐められているが、全く気にしていない。凄まじい勢いで木を伐採した後、小一時間程度で立派な馬小屋と、柵で囲った放し飼いできるスペースまで作ってしまった。すごいよ、レビルさん。まじ、半端ないっす。


そして、夕方。


旧拠点の片付けをし、なんとかルルとハナとシャインが眠れるスペースを確保。夕食を作る。鯛の干物焼き、鰐の竹串焼き、キノコの竹串焼き、赤いカボチャとキノコの貝出汁のスープ。


カボチャの種は取っておく。発芽させてみたいから。そして、赤いカボチャは甘くて美味しかった。シャイン、ありがとうよ。犬達も美味しそうに食べている。よかった。おまえ達が獲ってきてくれた見たことのない大きな鳥は、明日の朝、美味しく頂くからな。



夕食後、少しだけワインを飲んだ。


美味しくて、美味しくて、涙が出そうだったよ。

気分はマ●クラ

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