トカゲの言い分
「これでよしっと。」
トカゲの手と足を麻紐で縛り、更に地面に立てた木の枝に縛り付ける。
トカゲの足元には『いつでも火を点けます』という姿勢を見せるため葉っぱや木の枝を焚き火ののように組んである。その横にサファイア、エメラルドを臥せの姿勢で待機させる。勿論『なにかしたら噛みついていいぞ』と、あえて声に出してから。
俺とレビルさんとハナは、それぞれ愛用のナイフを手に、ディディは筆と紙。
「さ、話してもらおうか。」
「ミーはミーの知ってることしか話せないぞ。」
「うん、それでいいから。まずは何故ここに来た。」
「ミーの任務だ。」
「どんな任務だ。」
「ここまでシルバートを運転する任務だ。」
「シルバート?」
「あの、ミーが乗っていた墜落した機体の名前だ。」
・・・・・聞いたことがある気がする。いや、あれは『バート』ではなく、『バード』だったかな。昔のゲームでそのようなタイムマシンがあったような・・・・。
「タケル殿、どうされた?」
「あ、いや大丈夫。で、そのシルバートを運転して何でここに来た。」
「ただのエンジン故障。操縦ができなくなったんだ。」
「任務内容は?」
「上空の偵察。この辺がミーの偵察範囲。」
「何を偵察していた。」
「敵がいないかどうか。」
「敵?」
「そう。ミー達を襲ってくる敵。」
「そもそも貴方はなんていう生物なんだ。」
「ミーはレプティリアンという種族。」
「・・・ハナ、調べてみて。」
「わかったわ。」
「で、その敵というのは?」
「アクトゥリアンという種族。」
「俺達を『実験動物』と言ったな。どういうことだ?」
「詳しくは知らん。ミーはここで何か実験されているらしいとしか知らされていない。」
「なんの?」
「だから!ミーはソコまでしか知らない。」
「・・・・、火をつけるか。」
「本当に知らない!何の実験とか、目的とかわからない!ミーが知っているのはそのアクトゥリアンがここで何か実験をしているってことだけだ!」
本当に知らないのか?それとも、聞き方が間違っているのか?
「みんな、ちょっと来て。」
ハナが調べ終わったようだ。
サファイアとエメラルドの見張りは解かず、俺達は集まる。
「まず『レプティリアン』。私のデータによると神話の時代に現れたとされる『宇宙人』と出てきたわ。しかも容姿は『爬虫類』だそうよ。『アクトゥリアン』も同じ。けど容姿は人間に近いみたい。色々な情報はあるけど、どれも空想の域を出ない眉唾物だわ。」
「あやつも見た目はトカゲであるしな。」
「クククククククッ、でも真実かどうかはわからない。」
「まだ、何かを隠しているようにも思うんだけど、今のところは疑わしいだけで確証はないしな。」
「はははは、タケル殿。拙者に尋問を任せてもらえぬか?」
「それは構わないけど・・・。」
「拙者の国にはこんな言葉がある。『疑わしきは罰せよ』と。」
あ、罰するんだ。
俺の国は逆だわ。
「面白くなってきた。クククククククッ、我も一泡吹かせてやる。」
あー、魔王と吸血鬼のコンビとか恐ろしいわ。
レプティリアン種族のトカゲ、俺はお前に少し同情する。
「さて、参りますか。第二回戦ですぞ。」
ディディとレビルはルンルンです