幼稚園
『あら、お隣さんなのね!』
『この子達、幼なじみになるのかしら(笑)』
ママ達の明るい笑い声が響き渡る
『しかも名前、花音と幸音くん。音って漢字使われてて共通点たくさんあるわね〜!』
『私の旦那、ギターを弾いてて。『音楽で幸せにできる子になりますように』ってつけたのよー』
『私、ピアニストだから音って感じを使った名前がいいなーって。花音は、『花のように綺麗な歌声で歌える子』っていう理由でつけたの』
『あら!じゃあ、うちの幸音といつか舞台に立って共演してくれるのかしら?』
幸音のママは、花音の顔を見てにっこり笑いました。
『ほらほらー笑ってー!』
入園式と書かれた看板の両側に花音と幸音は立っていた。
真新しい幼稚園の制服。花音は胸を弾ませていた。
『うちの子も幼稚園生かぁ。大変になりそうだ』
『そうだなぁ。』
幸音と花音のパパは顔を見合わせて苦笑いをした。
『でも成長したのがすごい嬉しいな。』
『そうだよな。これから小学生、中学生、高校って上がっていくのか。反抗期、正直ちょっと怖いかも(笑)』
『俺は、花音が中学とか高校になって彼氏連れてきたら大泣きするかもしれない(笑)』
そしてまた顔を見合わせて笑った。
『わぁ!幸音くん鍵盤ハーモニカ上手だね!』
同じ組の女の子が幸音の周りに集まった。
『幸音くん、他になにか弾けるの?』
『どうやって覚えたのー?』
周りの子はみんな、幸音にメロメロだった。
『僕のパパ、ギターっていう楽器弾けるんだ!だから、教えてもらってる』
『あ!私、ギター知ってるよ!この前、TV見てたらやってたもん!!』
『へぇ!幸音くんもすごいけどパパもすごいね!』
幸音が褒められ続けられてる中、花音は輪に入れなかった。
花音は積極的な幸音に比べて消極的だった。
口数も少なくて、友達も少ない。唯一得意な折り紙をずっと折っていた。
でも、そんな花音も歌うことが大好きなのだ。
『花音!!』
『わぁ!はい!!』
『花音、すごく歌上手いんだよ!』
『そうなの??聴きたい!』
『へ…?』
幸音がにっこり笑った。周りの女の子も花音に視線を集めた。
『早くー!』
『歌わないのー?』
『ホントは歌うの嫌いなの??』
女の子たちが攻め立てて、花音は泣いてしまった。
『どうして泣いてるの?』
『ええ!花音、ごめん…!』
幸音は、謝り続けた。
『花音ちゃーん?どうしたの?』
幼稚園の先生が駆け寄ってきた。
『幸音のバカ!!もう嫌い!!』
花音は、幸音のことを叩いた。
『う、ご、ごめんなさい…』
幸音も泣いてしまった。
『花音ちゃん!待ちなさい!』
幼稚園の先生が花音の腕をつかんだ。
『幸音くんのこと叩いちゃダメでしょ?幸音くん、ちゃんと花音ちゃんにごめんなさいしたよ?花音ちゃんもごめんなさいしよう?』
幼稚園の先生は、花音の顔を見つめて言った。
『ごめんなさい』
花音は、ぶっきらぼうに呟いた。先生は、顔の表情を緩ませて2人の頭を撫でた。




