表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/219

† 一の罪――堕天使斯く顕現す(肆)

「……体制側と対立しても、なんも得はしないよ」

咄嗟に魔力推進で割って入ろうとしたが、多聞さんに片手で易々と制されてしまった。

「林原くん、そのくらいにしておいてもらえるかな。君も職務中だろう。女の子に気を取られて万が一のことがあったらどうするさ」

 口調こそ普段の彼と同じく軽いものの、仲間でも息を呑む目力で前に出る。

「はん、俺がんなドジふむか。だいたい女だと思っていながらんな仕事やらせてんならまた驚きだぜ」

 しばらく睨み合っていたが、林原は溜息をつくと部屋を後にした。


「ほんっと、あの人あいかわらずほんとありえない……! ちょっと強いからって、なんなのあの態度」

 ビルを出てからも、三条の苛立ちは収まらない。

「ま、コーヒーでも飲んで落ち着こう」

「さっすが隊長―、部下想いっすね」

「奢るとは言ってないけどねー」

 数分前とは一変して、今は気が抜けた中年らしい、いつもの多聞さんに他ならなかった。


「……よくその歳でんな子供騙しな甘ったりーもん食えますね」

「大人騙しよりはマシじゃん。余計なオシャレ気どりで変なもの入れてないほうが好きなんだ」

 目についたカフェでテーブルを囲む。

「……あの踏み込み、あいつも人間じゃ――それに、三条のこと知ってるっぽかったけど」

「あー、政府直属の武力警察、ヘルシャフト長官・林原政俊。うちの元五位の妖屠だよ。ほら、妖屠って怪魔の残滓が濃く残ってる被害者を実験にかけて、彼らを憎む心が強いとなれるじゃん? 組織を離れても、その想いがある限り、力は使い続けられるわけ」

「何が支配ヘルシャフトだか……厚顔無恥もこじらせると死に至る病だよ、まったく。国に支配されている側のくせして」

 三条が嫌そうに付け加えた。

「……元ってことは――」

「まあ競争に敗れ去ったってことさ。自分のデスペルタルにキル・ザ・キングなんて名前つけちゃうような人だし、よく言えば上昇志向が強いから、挑まずにいられないんだよねー。ただ、あまりに相手が悪すぎた」

海外の支部だろうか? あのレベルに勝てる人間がいるなんて、つくづく恐ろしい組織だ。

「うちの世界ランカーでも最上位の七名――断罪ネメシスの七騎士って、聞いたことあるよね。あの上位三人はもはや人間であって人間をやめてる」

「あー、使い魔も必要とせず、己の肉体と武器で戦うから騎士って呼ばれてんでしたっけ」

「まあ他にも使役しない派は多いよ。リスクあるからねー。悪魔召喚にいたっては禁じられてるし」

「んな代償がデカいんすか?」

「無名の悪魔ですら危険らしいからねー。おじさんも興味はあったんだけど、昔の同僚がさ、信玄餅を開けるときクシャミが出る呪い受けちゃって、もう無理だなって」

信玄餅なんて、数えるほどしか食べない気がする。

「七つの大罪にあたる悪魔は中でもエグいと言われてるね。アスモデウスは生殖機能、ベルフェゴールは信頼、マモンは金運を対価に持ってっちゃうんだって。ま、背伸びしても人間に御せるのはこれぐらいが限界らしいよ」

「……それ以上の悪魔は、なにを……?」

 三条が恐る恐る尋ねた。不機嫌そうに口を閉ざしていたのかと思いきや、ケーキを食べるのに夢中だったらしい。

「ベルゼブブは魂。そして……史上最強の悪魔で地獄の頂点に君臨する魔王、ルシファーは――」



 蒼き鋼のアルペジオ、劇場版の追加キャストもいい感じ!

公開が楽しみです

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ