† 五の罪――運命(さだめ)との対峙(捌)
愕然と立ち尽くす三条。
「あの首席妖屠が…………」
「ま、とりあえず支部行こうぜ」
「いや、集まる時間も惜しいから現地で合流だってさ。くわしくは車の中で話すよ」
隊長にうながされるまま、固まったままの三条を引っ張って乗り込む。
「優秀な軍人だった茅原くんがたった数十人で挙兵なんて、なにかしら考えてのことだろうし、東京湾に多くの怪魔の反応があるとも聞いた。まあ陸路は陸軍とヘルシャフトが構えてるから、僕らはお台場に展開して沿岸で迎え撃つ」
南へとひた走る車で、銃のチェックを行いながら隊長の説明に耳を傾けるが、こんな事態なのに対応の早さが気になった。政府の指揮下にある軍や林原正俊なんかと、各国の承認と協力を得てるとはいえ、俺たち民間組織が連携して動いているのも違和感がある。あたかも、乱が発生することを知っていたかのような――――
「しっかし、連中が陸を北上しねーでも、勝手に殺し合いが始まりそうな組み合わせだな」
「林原くんもこういうときぐらいは大人になれる子だよ、たぶん。んで、こっちは中央に沢城所長。左翼にオネエ系最強の鞭使い、世界五位の赤崎真備。右翼にかつての首席妖屠で、現四位のクロムウェル卿の七騎士コンビが布陣。そして、我々チーム多聞丸は栄えある先鋒を任せられたよ」
「そいつはわかったけど、政府は何してるんすか」
「対話による平和的な解決を模索してるんだって。おこがましいことこの上ないねー。戦争を知らずに平和を語るなんて、見苦しくて腹立たしい」
「革命側の言い分に耳を貸そうなんて笑わせてくれますね。正しい戦争も間違っている戦争もねーのに。罪なき人々を巻き込んだことは許されない。どんな理由があっても、戦争は人殺しだ。で、今さらだけどヤツは何歳なんすか?」
――――とある漫喫の皮肉看板
「ぬーべーはマンガを読んだらいいと思うよ」
鵺野先生がこう言ってるポップを見て、顔も知らないけど店員さん少し好きになった




