† 五の罪――運命(さだめ)との対峙(玖)
「えー、いくつだったっけなー。ああ見えて三十はいってたような」
信じ難いが、こんなときにまで冗談を言うような人ではない。多聞さんも真顔でハンドルを握っていたが、ふとバックミラー越しに三条を一瞥する。
「桜花くん、大丈夫かい? 契約について、まだ結んだわけじゃないんだろう」
「生身でもやれます! 対人戦闘の特訓をしてきたかいがありました。ぼくも戦います……!」
彼女は、意思と緊張のせめぎ合うような表情で口にした。
「おお、来たか多聞丸」
割れる人だかり。妖屠数十人の中心で座っていた沢城是清が、俺たちの姿を認めて歩み寄って来た。
「彼に呼応して武力蜂起した軍関係者たちと、大量の怪魔による二段構えじゃ。総勢は百に満たぬというから、本命は後者だろう。こちらもかき集められるだけの妖屠とエージェントを召集しているよ。さらに、陸海空軍に海兵隊が計九万五千。情報の漏洩を防ぐため、警察は使わない。叛乱鎮圧の総指揮を執るのは、君もよく知る陸軍の日笠時宗中将であられる」
「ここへの道中でいくらか目にしましたが、そこまで多いとは……これほどの大規模な混成布陣を即座に整えるなんて、いくら日笠さんでも――」
「ああ、都内のあいさつ回りを済ませて仙台ゆきの便を待っていた象山さんが一報を受けて、空港から飛んで来てくれたんじゃ。彼のアドバイスに基づいて、中将が編成をされたのがこれだ。どうだ、隙のない配置だろう?」
所長の言葉に、背後で控える妖屠たちが口々にうなずく。
「いやー、それにしても、筆頭顧問が東京を出る前で良かったな」
「……ホントによかったのかな」
【悲報】俺氏、人生初の60kg台へ




