† 五の罪――運命(さだめ)との対峙(参)
(ちくしょー。まぶしい。今の俺には、まぶし……すぎ……る……ぜ――――)
クロスカウンターを喰らったからか、空が青すぎるからか。いや、その両方だろう。目が眩んだと思いきや、俺の感覚は、雲の彼方へと消え去っていった。
「君は反応もいいし、身体だって強い。持ち前の剣技に加え、教えたことを片っ端から身につけてる。だがそれゆえ、技に頼り過ぎなのも事実。日々の演習でいまだ僕に有効打を与えられていないのが、なによりの証拠だ。君は戦争を経験らない。極限の攻防はいかに僅かであれ、その差が命を左右する。既存の攻撃を勢い任せにかますだけじゃ、いずれ通用しない場面が訪れる。もっと俯瞰的に見ろ。視野が狭い奴は乱戦で死ぬぞ」
宿舎に戻って、多聞さんからのダメ出しを聞く。
「ってなわけで、次は大事な大事な栄養の補給だ」
なぜこの人たちは、俺を当たり前のように見つめてくるのか。
「つまりアレっすね、作れと。ちぇっ……十位以内は幹部食堂が使えんじゃないすか」
俺の不平に、多聞さんは大袈裟に口を尖らせる。
「えー、仕事じゃないときぐらいお偉方の顔色うかがわずに過ごしたいよー」
彼はチーム多聞丸の構成員でなくなった今でも、こうして俺たちと同じ宿舎に寝泊まりしていることが多かった。若者だけでは自己管理が不安なのか、上層部も黙認しているようだ。
「……おなか減った」
「はよ用意せい。間に合わなくなっても知らぬぞ!」
視線がつらい。間に合わなくなると、どうなってしまうのかは分からないが、女性陣も弱り果てているようだった。
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