† 五の罪――運命(さだめ)との対峙(弌)
「ッ……!」
左でブロックされた直後に、その腕でフックを返されてしまった。やはり、ボクテクでも差があり過ぎる。
(焦んな、焦ったら三条の二の舞だ……!)
実戦に判定はないが、ヒット・アンド・アウェイを常にアウェイで終われるように繰り返せれば、いつかは勝つ――そう語ったのは、他でもない多聞さんだ。
(……それをあんた自身を相手に、証明させてもらう!)
当然、彼も烈火のように撃ち込んでくる。
(そうやってローを蓄積させてハイキックを狙うのはバレバレだ――こ、これは……!?)
多聞さんの脚が曲がった。ガードした上から、蹴り降ろされる。
(……極真空手の、ブラジリアンハイ!?)
「オァズボォ……ンッ!」
人体からしちゃいけない類いの音が出た。それを知覚したときには、膝から崩れ、俺の視界に天井が広がる。意識がはっきりしない。だが――――
「――いつまで寝ている、緑川信雄。忘れたか、戦うと決めた日の自分を。お前の足は、なぜついている?」
多聞さんの声が耳朶を打った。
「誰よりも……速く駆けるためです」
横たわったまま、朦朧とする頭で答える。
「お前の腕は、なぜついている?」
「誰よりも多くの怪魔を討ち果たすためです」
「お前の心の火は、燃えているか?」
もはや、言葉にするまでもなかった。
高校ぐらいまで、ずっと○I○Iのこと「オイオイ」って読んでました。




