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和解と協力

 「キク、起きてキク」ラミルが部屋の外から呼ぶ。

「ごめん、つい寝過ぎちゃった。今すぐ準備する」

「いや、そんな早く準備しなくていいよ。まだ日が明けていないから」

「え!じゃあ、なんで起こすんだよ。もっと長く寝ていたかったのに……」

「ごめんって、キクにこの地の日の出を見てほしいと思ってね」

「確かに日の出は見たことがないな」

「会議はもう少し経ってからだから、行って戻ってきたらちょうどいいかなって思って。それに少し動くと頭が冴えるだろ」

そうして俺たちは昨日の丘へ行った。


 少し冷えた空気が俺の体の中を巡っていく。そして世界が暗闇の支配からだんだんと解放されていく。

「やっと着いた。間に合って良かったよ。おお!ちょうど出てきたか」

「うわぁ!すごい色が鮮明で太陽の周りのグラデーションでさえなんとなく分かる。

言葉で言い表せないほど美しい」

「ここはあまり遮る物が無くてはっきりと見えるんだ。そうだキク、遠くの方に建物みたいなのが見えるか?」

「え、どれどれ。ああ、あれか、ほんとに目を凝らさないとわかんない。けどなんか塔みたいなのが見える」

「あそこはナイロ王国で勇者が治めている国だ。勇者はカーミンと言うのだが、普段は温厚なのに怒らせると手がつけられないんだ」

「会ったことあるんだラミル」

「結構前にね、懐かしいな。この森からナイロ王国までの道はいつも花が咲いていて綺麗だった」

「そうなんだ、見てみたいな」

「後で、行ってみようか。おっとそろそろ帰ることにしよう。会議に遅れると怒られるし」

そうして、朝日を鑑賞した後村に戻ることにした。


「ああ、お二人ともこちらです」カリスが案内してくれた。

「会議はいつもと違って屋内だ。内装がすごいな、まるでヨーロッパのお城みたいだ」

そして、会議部屋に着くと、そこには刀進組の大将二人とマイルがいた。

「キク殿、ラミル殿、先日は迷惑をかけた。勘違いしていたんだ。我らの村を

バーニングボルトで攻撃できるのはラミル殿しかいないと思ってな」

「バーニングボルトってなんだそれ?」

「バーニングボルトは下位スキルである火の銃系統の技で、アルティメットよりは弱いが、ノーマルよりは強い。僕でも毎回使えるかどうかだ」

「ラミルでも上手く扱えない技を使うやつなんて、真犯人は誰なんだ」

「そのことなんだが、最近竜の姿を我の部下が目撃してな。そいつは魔王の幹部の一人ヒリュウという名の怪人さ。やつは火の番人と呼ばれていて、普段は人間の姿だが

力を使うと竜の姿になるらしい。まさか、下位スキルをノーマル以上に成長させるとは」

とコマチはひどく怒り心頭という感じだった。

「やつは現在、山の上の湖にいるとの情報だ。次の攻撃のために力を溜めているのであろう。ここも、もうじき攻撃されるかもしれない。そうなった場合は我らでも太刀打ちできない」

「キク、この任務は君にピッタリだと思うのだがどうかな。たぶん、火のスキルも獲得できると思うし」

「大丈夫かな。一人で戦ったことないし」

「大丈夫、今回はここの族長マイルに同行してもらうから。それに昨日教えた技はどれも強力だ」

「わかった、やってみる」

「ということで、コマチ、その件は俺の相棒に任せる。その代わり君達にはこの村で何かあった時に協力してくれ」

「感謝する、ラミル殿、我らはこの村のために全力をだすと約束しよう。それにしても一度刃を向けたのにここまでしてくれるとは」

「まあ、今は仲間同士で戦っている場合じゃないし、こっちも戦力が欲しかったところだからな」

「どうしたキク?大丈夫、一応マイルはアキュレットというノーマルスキル持ちだ。

いざとなったら助けてくれるだろう」

「そうですよ、キク殿、私の正確な狙いは一発で相手の急所を捉えることができます」

「ありがとう、ラミル、マイル。俺も初仕事を完璧にこなして見せるよ」

「頼もしいなキク、僕もこの村をしっかりと守ってキクたちが安心して帰ることができるようにしておくから」

「うん、よろしく」

そうして俺達は次なる戦いへの作戦を終えるのだった。


その晩ラミルと色々と話をしようと思い、ラミルを呼び出して話をした。

初めて一人になるし、それにしばらく会えない可能性があるからだ。

「そういえば、レピタルロードのときは、水面波切りしか使ってなかったけど、昨日教わった技みたいなのはなんで使わなかったの?」

「それは単純さ、僕は刀系統の技が得意なんだ。それにあの時は、君に昨日教えた攻撃だと距離を詰めすぎて逆にピンチになる可能性があったんだ。いくら技が強いと言っても、その状況で適切に判断しないとね」

「なるほど、技を適当に打ってもダメなんだな。もう一つ、ラミルがコマチに使った最後の技は何なんだ?」

「あれはスピリットドミネントという技で精神攻撃だ。相手に一度大量の痛覚の情報を流し込んで、からだを一時的に麻痺させることができる。一応ノーマルだけどね」

「考えただけで恐ろしい攻撃だな」

「そうでもないかもよ、相手にとっては一瞬の出来事だし」

「そうなんだ。良く言えば瞬間睡眠導入剤って感じだな」

「変なことを聞くが、ラミルって性別はどうなんだ?」

「僕は性別は無いけど、まあどんな姿にもなれるから今はキクにちょっと似せてるかな」

「俺ってこんな美少年だっけ?そういえばこっちの世界に来てから鏡を見てなかったな」

「鏡だったら、人間の国にあるから今度行く時見に行こうキク」

「そうだね、まずは目の前の問題から一つずつ片付けていこう」

そんな感じでラミルと他愛のない話をしていた。

「なんか、ラミルって頼りになるし、俺のこと助けてくれるし、それも容姿もなんか遠くから見ると女性みたいだし、なんだこの気持ち……」

「キク、なんか変なこと考えて無かった?すごい顔してたけど」

「いやいや、全然、技をどんな感じで使おうかなって考えてた」

「キクは真面目だな、期待してるよ頑張って」

なんとか誤魔化すことに成功した俺は、ラミルに促されるように部屋へ戻って、明日のことを考えて眠りに入った。


次の朝、俺とマイルは必要最低限の荷物を持って出発した。

「みんな、行ってきます。必ず勝って見せましょう」そう言ってマイルは意気込んでいたが、俺はマイルとは正反対に不安を抱えていた。

山の上へは迂回路を通っていくことにした。

「うわぁ、高い、さっきのゴブリンの村がだいぶ遠くに見える」

「ここをあと数日歩いたら着きますよ」

「あと数日?だいぶ遠いな」

そうして、俺達は村を出て初めての夜を過ごす。

その日はマイルが近くの魔物を狩ってきてくれた。

「今日は、明日のためにたくさん食べるぞ」

「マイルって、村での時と違って外では野生的なんだな」

「何をいうのですか?生きるためには必要でしょう」

「そうだな、それと一つ聞きたいことがあるのだけど、マイルとラミルはどういう関係なんだ?」

「私はかつて、ラミル様に助けられた借りがあります。その当時は、人間の国どうしで何度も戦いがあり、その戦いに私たちも巻き込まれていてどうしようもないと思っていたところ、ラミル様が村を再建して、農耕の土地まで元に戻してくれたのです」

「この世界は、魔王だけでなく、人間どうしの戦いもあるのか」

「まあ、話はこれくらいにしましょう」

そうして、その晩はゆっくり休み、三日後俺達は予想より早く着いた。

「ここが湖か、ヒリュウとやらはどこにいるんだ?」

「わからない、だけど必ずどこかにはいる」そうマイルが言った時だった。

突然大量の黒い影が現れた。

「あそこを見て、大勢のヒリュウの手下だ、それに私たちの後ろにまで。どうやら、囲まれてしまったみたいです」

「よし、俺達の力を見せてやろう」

そうして、不安を押し潰してヒリュウ戦の前哨戦が始まった。


今回は戦闘を入れようと思ったのですが、日常シーンを書きすぎて次回に持ち越しです。

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