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異世界建築無双《BLUE COLORS》〜BIMとCADが使える俺、美少女領主に雇われ、伝説の職人たちを率いて理想の街を爆速で竣工させる〜  作者: beens
第6章:月面開拓編

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第10話:月を護る一撃――超巨大迎撃砲の「絶対不動」基礎工事

 太陽系外縁から迫る謎の天体。その速度と質量を計算したエレナの顔は青ざめていた。衝突まで残された時間はわずか72時間。月を回避させる時間はなく、残された唯一の手段は、ピラミッドの地下に眠っていた古代の「超巨大迎撃砲インターセプター・カノン」を地上に引き出し、迎撃することだった。

しかし、最大の問題はその「反動」だ。全長数キロに及ぶ巨砲が放つエネルギーは凄まじく、生半可な土台では最初の一射で砲身が月面にめり込み、都もろとも自壊してしまう。

「……いいか野郎ども、泣いても笑ってもこれが最後の現場だ! 砲身の全反動 F を受け止め、月面の地殻に逃がすための『超重量マット基礎』を、48時間以内に打ち立てるぞ!」

俺の号令と共に、月面の静寂は建設機械の咆哮によって破られた。俺たちが選んだのは、タイコ・クレーターの中央丘ちゅうおうきゅう――最も強固な岩盤が露出している地点だ。

まず着手したのは、直径500メートルにおよぶ広大な敷地の『掘削くっさく』だった。ガッツが操る魔導掘削機が月面の岩盤を砕き、ミーナがその破片を魔法の突風で一気に場外へと吹き飛ばす。通常なら数ヶ月かかる土木作業を、俺たちは魔力と執念で数時間に圧縮した。

掘り起こされた巨大な穴の底には、俺の指示で、高強度の魔導炭素繊維カーボンファイバーを編み込んだ『鉄筋てっきん』が、まるで緻密な幾何学模様のように張り巡らされた。

「聖、鉄筋の結束が終わったよ! どこを歩いてもビクともしない、最強のジャングルジムだね!」

 空から吊り下げ作業を指揮していたフィラが親指を立てる。そこへ、ガッツたちが地下プラントから運び出した『速硬性魔導コンクリート』を流し込んでいく。これは硬化時に熱を発するが、月の真空環境ではその熱が逃げない。そこで俺は、冷気を操るリアナに協力を仰ぎ、コンクリートの内部温度を一定に保つ『プレクーリング工法』を導入した。

「リアナ、頼む! 内部が冷えすぎても、熱すぎてもひび割れる。お前の魔法で、この『巨神の足場』を優しく冷やしてやってくれ!」

「お任せください、聖様。このコンクリートに、永遠の静寂しじまを与えましょう……!」

コンクリートが硬化を開始すると同時に、俺は最上層に特殊な『免震・減衰ダンパー(めんしん・げんすいダンパー)』を1,000個以上配置した。ただ固いだけでは、衝撃を逃がせずに基礎が砕ける。巨大なバネと粘性体を用いたこの機構が、砲撃の瞬間に発生する数百万トンの衝撃波を「いなす」のだ。

そして衝突まで残り12時間。ついに、月面から突き出した無骨な銀色の砲身が、マット基礎の上にガッチリと据え付けられた。

「……全固定フルロック完了。基礎の沈下、誤差ゼロ。……エレナ、点火しろ!」

俺が叫ぶと同時に、月面が真っ白な光に包まれた。

ゴォォォォォン……!

空気が存在しないはずの月面で、足元の岩盤を通じて「音」が伝わってきた。巨砲から放たれた光の弾丸が、宇宙の彼方へと吸い込まれていく。その直後、足元の基礎には凄まじい反動が襲いかかったが、俺たちが打ち立てた土台は、一ミリの揺らぎもなくその衝撃を受け止めてみせた。

 数秒後、漆黒の空で「もう一つの太陽」が生まれたかのような大爆発が起きた。迫り来る天体は砕け散り、月面には再び静寂が戻った。

「……勝ったぞ。基礎は、びくともしてねえ!」

ガッツが基礎の端に腰を下ろし、豪快に笑う。俺たちは、月面の砂にまみれた作業着のまま、自分たちが守り抜いた「蒼い故郷」を静かに見上げた。それは、どんな豪華な建築物よりも美しい、俺たちの仕事の報酬だった。

月面という最大の現場を制した俺たちは、今や新大陸、天空、そして宇宙を繋ぐ「インフラの守護者」となっていた。

だが、作業着を脱ぐ暇はない。

 地球のギルド本部から、緊急の魔導通信が入った。

「一ノ瀬 聖! 至急戻れ! 海底に沈んでいたはずの『伝説のアトランティス』が、あんたが作った宇宙エレベーターの張力バランスに影響されて、地上へ浮上を始めたんだ! 街ごとひっくり返る前に、地盤を固定してくれ!」

「……やれやれ、今度は海底都市のリフォームか。よし、野郎ども! 道具をまとめろ。次の現場が待ってるぞ!」


今回の建築・土木用語解説

基礎きそ: 建物の重さを地面に伝えるための下部構造。これが弱いと建物は沈んだり倒れたりする。

• マット基礎(ベタ基礎): 建物の底面全体を厚いコンクリートの板で支える基礎形式。重い構造物を支えるのに適している。

掘削くっさく: 基礎を作るために、地面を掘り、土砂を取り除く作業。

鉄筋てっきん: コンクリートの中に入れ、引っぱる力に対する強度を補うための鋼鉄の棒。

速硬性そっこうせい: 短時間で固まる性質のこと。緊急工事や工期短縮が必要な際に使われる。

• プレクーリング工法: 大量のコンクリートを打つ際、あらかじめ材料を冷やしておくことで、硬化時の熱によるひび割れを防ぐ手法。

• 免震・減衰ダンパー: 地震や衝撃の揺れを吸収し、建物に伝わるエネルギーを弱めるための装置。

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