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異世界建築無双《BLUE COLORS》〜BIMとCADが使える俺、美少女領主に雇われ、伝説の職人たちを率いて理想の街を爆速で竣工させる〜  作者: beens
第3章:蒼海を繋ぐ架け橋

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第1話:塩風の港町と、不可能な架橋計画

 王都でのコンペを圧勝で終えた俺たち一行が次に向かったのは、王国最大の交易拠点である港湾都市『マリーナ』だった。

「……ひどいな。これが王国一の港かよ」

馬車から降りた俺が目にしたのは、活気こそあるものの、非効率の極みとも言える港の光景だった。

 入り江を挟んで対岸にある商業地区へ行くには、一度大きく陸路を迂回するか、小さな渡し舟を待つしかない。大型の魔導商船は接岸できずに沖合で停泊し、荷揚げを待つ小舟が水面を埋め尽くしている。

「聖様、あちらをご覧ください。対岸までわずか数海里だというのに、荷物を運ぶだけで半日もかかるそうですわ」

リアナが心配そうに、滞った物流の列を指差す。

「一ノ瀬様、これまでも歴代の魔導建築士たちが『大橋』の建設を試みましたの。でも、激しい潮流と底なしの泥、そして何より鋼鉄を腐らせる『塩の呪い』によって、すべて一ヶ月も持たずに崩落していますわ」

エレナが過去の失敗資料をBIMに投影しながら補足する。


「『塩の呪い』じゃねえ。ただの『塩害えんがい』と『電蝕でんしょく』だ。……お嬢さん、エレナ。ここに橋を架ければ、この街の物流は十倍……いや、百倍に跳ね上がるぜ」

俺は港の岸壁に立ち、激しく泡立つ海を見つめた。

 潮流は確かに早いが、現代日本の本州四国連絡橋を経験した技術者エンジニアの知識があれば、突破口は見えている。

「ボス! 海の中での作業なんて、ドワーフの俺たちには無理だぜ! 金槌ばっかりだからな!」

ガッツが不満げに叫ぶが、俺は不敵に笑った。

「安心しろガッツ。お前らに潜れとは言わない。……今回は『ケーソン工法』で行く。地上で基礎を作って、海に沈めるんだ」

「沈める……!? せっかく作ったものを捨てるのかい!?」

フィラが驚いて空中で一回転する。

「捨てるんじゃない、配置するんだ。……それと、今回の主役はもう一人いる。……マリーナのギルド長! 呼んでいた『彼女』はどこだ?」

俺が呼びかけると、潮風を切り裂くようにして、水面に一本の筋が走った。

ザバァッ! と豪快な水しぶきを上げて現れたのは、美しい青色の鱗を持つ人魚の少女だった。彼女は岸壁に手をつくと、勝気な笑みを浮かべて俺を睨みつけた。

「あんたが、王都で暴れ回ったっていう変態建築士? 海の底に柱を立てるなんて、寝言は寝てから言いなよ」

「彼女はミーナ。この海域を統べる人魚族の若きリーダーよ」

リアナが紹介してくれる。新たなヒロインの登場に、現場の空気がまた一段と騒がしくなりそうだ。

「寝言かどうか、この図面プランを見てから判断してくれ、ミーナ。俺が作りたいのは、ただの橋じゃない。……荒れ狂う海をねじ伏せ、百年先までこの街を支える『大吊橋だいりょうきょう』だ」

俺は【スキル:脳内BIM】を全開にする。

港を跨ぐようにして現れた、巨大な主塔と優美な曲線を描くメインケーブル。

それは魔法でも神の奇跡でもない、現代工学の粋を集めた「機能美」の塊だった。

「な……っ!? あんな細い線で、あんな巨大な道を吊り下げるっていうの……?」

ミーナの目が、驚愕で見開かれる。

「ああ。潮流は人魚族に手伝ってもらう。基礎はドワーフが地上で造る。そして、現場管理マネジメントは俺がやる。……工期は三ヶ月。この『マリーナ大橋』を竣工させてみせる」

俺は作業着の袖をまくり、潮風に向かって宣言した。

異世界建築無双。

今度の敵は、広大な海と、目に見えない塩の侵食だ。

「よし、野郎ども! まずは海底の『ボーリング調査』からだ! 一ミリの地層変化も見逃すなよ!」


今回の建築用語解説

塩害えんがい: 海水の塩分によってコンクリート内の鉄筋が錆び、建物が劣化すること。

• ケーソン工法: 地上で箱状の構造物ケーソンを造り、それを海や川の底に沈めて基礎とする工法。

• ボーリング調査: 地面に細い穴を掘り、地層の構成や強度を調べること。橋を建てる際の必須工程。

電蝕でんしょく: 異なる金属が接触し、電解質(海水など)を通じて電気が流れることで腐食が加速する現象。

吊橋つりばし: 塔から吊ったケーブルで道を支える橋。長い距離を繋ぐのに適している。

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