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森での出会い

短く毎日投降が目標

第5話

悲鳴とともに転がり込んできた少女を見る。年のころは14,5歳だろうか、アップにして髪をまとめ割と尾計に見える顔をしているがまだ幼く見え、その体はスーツを着ているより着られているといった印象がある。

そんな事を考えていると少女があっという間に先ほどの犬型モンスター4体に囲まれる。

少女はナイフを構えて応戦するようだが、怖いのか少し腰が引けている。

このまま見ていればおそらく少女はあのモンスター達のお昼ご飯になってしまうだろう。

流石に見捨てるなんて後味の悪いことはしたくない。竜治はメイスを片手に駆け出した。


“ブン”大きくメイスを振り下ろすが少女に注目していたはずのモンスターにあっさりよけられてしまう。

少女よりこちらを危険と判断したのか4体の包囲がこちらに移る。

そして飛びかかってきた一体を“グチュ”野球のバットを振るように思いっきりフルスイングする。

殴られた犬型は数メートル吹き飛びピクピクと痙攣して動かなくなった。


「今のはセンター前ヒットかな」


そんな事を言いながらメイスを構えなおす。そしてこちらに3体の注意が向いている間に、少女が1体の首にナイフを突き刺した。

大きくのけ反り暴れるモンスターから少女が離れる。

そしてその暴れているモンスターに頭上から振りかぶったメイスを叩きつけた。


これで2対2、数の上では互角である。


「大丈夫?」


一応少女を気にかけて話しかける。


「はい、大丈夫です。ありがとうございます」


言葉を交わしながらも警戒は怠っていない。暫くにらみ合いが続くと、モンスター達は森に引き返して行った。

少しの間警戒をしていたがモンスターが戻ってくる気配はない。

ようやく警戒を解き肩をなでおろすと少女に話しかけた。


「手助けしちゃったけどよかったかな?」


「はい、本当にありがとうございました。私ひとりではグレイフォックスに殺されてしまうところでした」


グレイフォックスというのが先ほどの魔物のことだろうが、まさかあの外見でフォックスだとは思わなかった。ネーミングセンスは微妙に違うのだろうか。


「しかし大変だったね、この森へは一人で?」


「あっ……そう、そうなんです。小鬼の依頼を受けてきたんですけど間違えてグレイフォックスの縄張りに入っちゃって」


「グレイフォックスってあれだよね?」


そう言いながら先ほど倒したモンスターを指さす。


「はい、そうですよ、そう言えば証明部位って回収しなくていいんですか?」


「えーっとナイフを忘れちゃってね」


「あっそうなんですね。お礼と言ったらなんですが私が剥ぎとりましょうか?」


「お願いしちゃってもいいかな?」


「はい任せてください」


そう言いながらグレイフォックスの死骸に向かって行き、取り出したナイフでその耳を切り始める。

年端もいかない少女が血に汚れるのも気にせずナイフで剥ぎとる姿に逞しさを感じた。


「はい、とれましたよ」


そう言いながら笑顔でこちらに切り取った耳を渡してくる。


「あ、ありがとう」


少しひきつりながらもそれを受け取る。


「じゃあそろそろ俺は行くから」


そう言いながら少女に背を向け歩き出そうとすると


「あの、厚かましいお願いなんですけど、街まで付いてきてもらってもいいですか?」


不安げにこちらを見上げる少女を前に、とても無碍に断ることなんてできなかった。




「山中さんもここには一人で来られたんですか?」


「そうなんだよ、ただ結衣ちゃんと違って薬草の採取依頼だけどね」


たわいない会話をしながら森の中を進む。

少女は結衣・平田というらしい。色々なところが日本と似通っていたが、どうやら姓名の順番は逆らしい。本人から結衣で読んでほしいと言われたので名字ではなく名前で呼んでいる。しかし相変わらず微妙なところが違っている。


「そうなんですか。でも山中さんぐらい強かったら軽い討伐クエストでもよかったんじゃないですか?グレイフォックスも簡単に倒してましたし」


「あー……そうだねー……」


まさかこんな一回りも幼そうな少女が討伐クエストを受けているのに、初めてのクエストだから討伐を避けましたなんてとてもじゃないけど言えない。

そこは一応男として、大人としての意地があるのだ。


「でもなにかすみません、私のせいで山中さんも帰ることになっちゃって」


「あーいいよ気にしないで。元々一区切りしてそろそろやめようかと思っていたところだし」


当然嘘である。午後も使って最低でもあと一回分の薬草を集める気でいた。

二人並んで森の中を歩いていると、


「gaaaaaaaaa」


茂みから小鬼がこちらに向かってくるのが見えた。

小鬼――どうやらゴブリンでいいらしい――がこちらに走ってくるのを見ると結衣ちゃんも駆け出す。

そして左右にフェイントをかけながら近づいていき“ザシュ”ゴブリンの背中をナイフで切りつけた。


「gaaa」


だがどうやら切り傷は浅かったようでゴブリンは振り返り結衣ちゃんに向けて手を振り回す。

バックステップでよけると、今度はじりじりとゴブリンとの間合いをはかっていく。

ゴブリンもそのまま結衣ちゃんの動きに注意を払っていて――“ゴシュ”余りに隙だらけだったため竜治が後ろからその頭にメイスを叩きつけた。


「すみません、また山中さんの手を煩わせちゃって」


「気にしなくていいよ。むしろ邪魔しちゃったよね?」


「いえ、いいんです。わたしじゃもっと時間がかかっていたでしょうし」


そう言ってはにかみながらこちらに語りかけてくる。ただしその手元では先ほどと同じようにゴブリンの耳を切り落としており、なかなかシュールな光景である。


そうこうしながら歩いているとようやく森を抜け街が見えてくる。ここまで短い間だったがここ数日と違い人とふれあうこともできて誰かと一緒にいるよさを感じる。

結衣ちゃんの話ではこの世界の冒険者もパーティを組むのが一般的らしいので自分も組んでみたいという欲求がわいてくる。

とはいえ今のところ知り合いは結衣ちゃんしかいないのではあるが。

そう言えば彼女も一人だし、このあたりで苦戦しているレベルである。

もしかしたら誘ったら組んでくれるんじゃないかとそんな淡い期待を抱いていると


「結衣!!」


街の方から彼女の名を呼ぶイケメンがやってきたのであった。


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