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はじめてのパーティーその1

第15話

街に戻ってくるとさっそく魔石の換金に向かう。これの買い取りも冒険者ギルドでやってくれるらしい。

前回討伐部位を提出したカウンターで買い取りをしてもらう。

その結果は小さい魔石で銅貨5枚、少し大きいので銅貨6枚、小さいのが5個に大きいのが2個あったため、計銀貨3,7枚の収穫である。これまでの依頼と違っての成果にホクホクである。

ギルドから出た竜治は今回の収入でいいものでも食べようかと思ってふと気がつく。ジャケットをレイファにとられたままであることに。

このままYシャツでもいいのだが何となく防御面が不安であるのと、ずっとこれしか来ていないので匂いが気になる。

今回の収入で買ってみるかと防具屋を目指すことにした。


防具屋は見たまんまスーツ専門店で会った。店頭にはスーツを着せられたマネキンが並び店頭には閉店セールの垂れ幕がかかっている。日本にいることから気になっていたのだが、スーツ屋はしょっちゅう閉店の垂れ幕を掲げているのに実際に閉店することはまれなのがなんだかもやもやしてしょうがなかった。

防具屋のドアをくぐり中を見渡すとオーダーメイド受け付けます等の張り紙が目に入ってくるが、どれを見ても最低金貨であり竜治には縁がなさそうである。

はっきり言ってどのスーツにも変わりがないように見えるのだが、それぞれに様々なモンスターの皮が使われているらしい。中にはドラゴンの皮を使ったものもあり、おそらくこのあたりになると相当防御力があることが予想できる。


「ありあしたー」


結局竜治が購入したのはジャケットとYシャツのセットで銀貨1枚というグレイフォックスの皮を使った品物であった。



いつもの店で今日は定食にビールをつけてささやかな贅沢をする。

1日働いた体にビールはまさに染み渡るといったものだ。

宿もちょっといいものを選ぼうかと思ったが竜治の貧乏性が発揮され結局いつものところに泊まることにした。

店主にYシャツを洗う為に水をくれないかと聞いてみると銅貨1枚で裏の水道を使っていいとのことだった。

洗いながらふと思う、そう言えばずっと体も洗っていないと。水道の水はかなり冷たかったが久しぶりに体が洗えて満足だった。因みに今日買った物に着替えてみると少しごわごわ売るくらいで問題なく着ることができた。

1日体力を使い疲れていた体はあっという間に眠りに落ちていった。


今日も今日とてギルドに向かう。出来ればダンジョンに行きたいなと思いながらもそう言えば連続で同じ依頼を受けてはいけない決まりがあったのを思い出す。

仕方ないから適当な討伐依頼でも請けようとギルドまでたどり着くと、その入り口にもたれかかっているレイファを見つけた。

昨日の今日である、彼女も木間づいであろうとそそくさと通り抜けようとするが


「おいっ」


結局声を掛けられてしまった。


「えー何か用?」


「あんた今から依頼を受けるんでしょ?」


「そうだけど」


「喜びなさい、あたしがパーティを組んであげる」


急にそんな事を言い放つ。どうしたのだろう、実は昨日頭でも打っていたのではないだろうか。


「勘違いしないでよ、あんたが言いふらさないか監視するためだから」


そう言いながらそっぽを向き少し顔を赤くした姿はまさしくテンプレ的ツンデレである。

昨日のことでフラグが立ったのならばとんだチョロインだろう。


「いや、大丈夫、俺知り合いとかいないから。言いふらす相手いないから平気だって」


「あんたの意見は聞いてないの。私が決めたんだからあんたは黙って従えばいいのよ」


それだけ言うと話は終わりだと言わんばかりにギルドのドアをくぐっていき、竜治は一人取り残されてしまう。

(逆に今なら逃げられるのでは?)

そう考えてギルドに背を向けると


「さっさとしなさい」


着いてこないのにしびれを切らしたのか入口から再度くぎを刺され


「あい……」


大人しく従うのであった。



ギルド内に入るとづかづかとカウンターに向かって行く。


「ほらあんたも免許証出しなさい」


どうやら受付でパーティの登録をするようだ。帰ってきた免許証を見ると彼女の名前が追加されている。これで登録完了ということなのだろう。


「さぁさっさと受けるわよ」


そう言うとこちらに振り返りもせずにPCに向かって行くのであわててその後を追う。


「そう言えばあんたのランクは?」


「……Eだけど」


「はん」


こちらのランクを聞いて鼻で笑うその姿に少しいらっとくるが、こちらは大人であるこの程度で怒ったりはしない。そう多分。


「私はDランク。このランクで依頼を受けるから足を引っ張るんじゃないわよ」


そう言いながら依頼を検索していく。

いや、俺の方がランク低いんだから合わせろよとか、適正より上のランクなんだから足灯っぱ手も仕方ないんじゃねーのとか色々言いたいことはあるのだが何とか飲み込む。そう大人だからな。


「さて行くわよ」


こちらが色々と考えている間に依頼は決まったようで、さっそく依頼書を印刷している。

どんな依頼を受けたのか全く知らされていないので彼女の影から依頼を覗き見るとそこには“オークの巣討伐”の文字があった。



二人並んで森の中を進む。彼女は目的地が分かっているのかずんずんと迷うことなく足を進めていく。もちろん今の二人の間に会話らしい会話はない。

黙って歩いていても仕方がないのでギルドで確認してきたオークの情報について思い出す。

それは竜治もよく知っている創作から大きく外れることはなく、一つ醜い豚の顔を持ち二足歩行をしその身長は2m近くになる。一つ自分たちの種族以外の雌と子を生すことができ、特に人間の幼女を好む為、巣の規模は大体20匹前後であり、巣が発見されればなるべく早く駆除するのが好ましい。ただその見た目によらず肉の味はいいとのことだった。

まあ突っ込みどころは好みが幼女ということぐらいだが、うちには幼女が居ない為襲われる心配はあまりしなくていいだろう。まあ、くっ殺が見たかったという思いもあるのだが流石にそこまで鬼畜になれる自信はない。


しばらく歩くとレイファがこちらの動きを手で制して草木に隠れるようにしゃがみこむ。

今度は手を動かしこちらを呼ぶ仕草をした為こちらも同じように姿勢を低くして彼女の隣へ並ぶ。

そこから見えたのは木が切り倒され作られた広場に集まるオークたちの姿だった。

オークはそれぞれ盾や剣、斧などを持っている。

だいたいここから確認できるのは10匹程度だろうか、調べた内容では20匹ほどで巣を作るとのことだったのでこれが少ない巣なのか10匹がどこかに行っているのか判断することはない。

まあなんにせよ数が少ないならそれに越したことはない。彼女もそう判断したのか


「いい、合図したら私は右側のに奇襲するからあんたは左側を攻めるのよ」


「わかった」


流石にこんなときまでは軽口をたたかない、それは彼女も同じようだ。


「じゃあ行くわよ」


ごくり、自然と自分の喉が鳴り、メイスを握る手に力が入る。オークの挙動を見逃さないようにじっくり見つめ


「……3、2、1、今!!」


彼女の合図と共に茂みを飛び出し思い切りメイスをふりかぶる。こちらを振り向いた顔は驚愕に見開かれていて、そこに頭上から叩きこむと頭が体にめり込むように沈み、次第にその体が傾いていく。

完全にその体が倒れ切る前に次のオークに向けて駆け出し横なぎに振りかぶる。

相手はなんとかこちらに対応しようと盾を構えようとするが遅い、間に合わずこちらの攻撃が相手に通りその弛んだ体をくの字に曲げながら吹き飛んでいく。生死は確認できないが今は正面の敵だ。

ちらりと見ると彼女も2体目を倒したようでその巨体が血を吹き上げながら倒れていくのが見えた。

なにはともあれ残り6体、そのうち1体がこちらに大きく斧をふりかぶって突っ込んでくる。冷静にその斧をかわすとしたからアッパー気味にメイスをふりぬく。顎をかちあげられる形になった体が少し地面から浮きあがり、その勢いのまま今度は頭に叩き込みその頭をかち割る。残り5体。

“パンパカパーン レベルが12に上がったよ”


目の前にステータスウインドが出現するがはっきり言って邪魔なだけである。

そんな少し視界の悪くなったところを2体のオークがこちらに向かってくる。

1体が大きく斧をふりかぶり、もう1体が横なぎに剣をふるう。

それをバックステップでかわすと、大振りで地面に斧を叩きつけて隙だらけの相手にメイスを振り下ろす、がもう1体の出した盾にはじかれてしまう。

そのまま体勢を立て直そうとするところに再び剣が振られ横っ跳びでよけようとするが


「ぐっ」


少し腕を切られてしまう。やはりグレイフォックスのスーツはそこまで防御力があるわけではないらしい。

横っ跳びで体勢を崩しているところに上から斧が振り下ろされるのをメイスを盾にして防ぐと、その間にもう1匹は背後に回り込みこちらに攻撃してくる。


「くっ」


その攻撃を前にいる相手の股の下を滑り込んで避け、相手が振り向く前にその体に攻撃を叩きこむと2体折り重なるように倒れこむ。


「うおおおおおおおお」


今しかない、倒れたオークの上の個体の頭をたたきつぶすと、その重みで動けなくなったもう1体の頭にもメイスを叩きこんだ。


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